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ニュース在留資格の取り消しはよくある話ってほんと?

現在では、改正入管法の導入で外国人受け入れの拡大が進んでいます。それに伴い、問題視されているのが在留資格の取り消しです。
在留資格の取り消しといっても、身近に起こる事があまりないため、在留資格の取り消しってよくあるの?取り消しになったらどうなってしまうの?と疑問に思う方もいるのではないでしょうか?
そこで今回は、在留資格の取り消しについて、取り消しになってしまった場合にどうなるのか、取り消しになるケースや注意点を詳しく説明していきます。
在留資格の取り消しはよくあるのか?
外国人が日本に済むために必要になる在留資格。日本に在留する外国人は様々な理由で日本に来ており、その目的に応じて在留資格が与えられています。
では、在留資格とは具体的にどんなものなのか、また、取り消しになってしまった場合はどうなるのか、年間の取り消し件数はどれくらいあるのか、詳しくみていきましょう。
在留資格とは
在留資格は、外国人が日本に入国・滞在するために必要な資格です。在留期間や在留中にできる活動は在留資格によって法で定められており、就労ができるものとできないものがあります。そのため、日本で就労するには就労可能な在留資格が必要です。
令和元年11月現在の在留資格は33種類が定められており、大きく分けて「活動類型資格」と「地位等類型資格」の2つに分類されます。
また、在留資格の変更・在留期間の更新には法務大臣への許可が必要になり、2週間から1ヶ月程で受理。許可された場合は手数料が発生します。
活動類型と地位等類型の違いは?
「活動類型資格」とは、外国人それぞれに定められた活動を行うことで日本に在留できる資格を指します。例えば、日本と公私の機関の契約による研究活動の指導をするのに必要な研究員など、本邦にとって必要だと認識された外国人に与えられる資格です。
「地位等類型資格」は、定められた地位や身分を有する者として、日本に在留することができる資格を指します。これは、永住者や定住者、日本人と結婚して日本人の配偶者となった外国人が与えられる資格です。
取り消しになるとどうなるのか
日本に在留する外国人が、虚偽の記載によりビザを不正に取得したり、在留資格に応じた活動を一定期間行っていなかった場合などに在留資格の取り消しが行われます。
在留資格を取り消そうとする場合、入国審査官による該当する外国人の意見の聴取が義務付けられています。意見の聴取の際、該当外国人は、意見を述べたり、証拠の提出、資料の閲覧を要求せることが可能。不正ではない事の主張や意見は聴取でしか述べられません。
聴取が終了し、在留資格の取り消しが決まると、即時強制退去、最大30日の決められた期間内に自主的に出国しなければいけません。
さらに、在留資格取り消しをされた場合、一定期間日本への再入国ができなくなってしまいます。
本邦または、本邦以外の国の法律に違反し、1年以上の懲役、禁錮またはこれらに相当する刑を処せられた外国人は、永久に日本に上陸することはできません。
その他の在留資格取り消しされた場合の上陸拒否期間は以下の通りです。
・違法薬物所持
上陸拒否された日から1年間
・強制退去
出国した日から5年間
・過去に強制退去により出国したリピーター
出国した日から10年
以上のように、一度在留資格取り消しされてしまった場合、再入国するのにかなりの時間を要します。場合によっては永久に入国を拒否されることもあるのです。
上陸拒否期間を経過したからといって以前と同様に入国ができるとは限りません。過去に違反による退去や出国した事実は残っているため、普通よりも入国審査が通りにくくなってしまうのは把握しておく必要があります。
取り消しは多いのか
法務省によると平成30年の在留資格取り消し件数は832件。平成29年の385件と比べると447件、116.1%の増加、平成28年の294件と比較すると183.0%の増加。過去最多となりました。大幅に増加した主な要因としては、入管法が改正され、取り締まりが厳しくなった事が挙げられます。
資格別の取り消し件数で見てみると、1位は「留学」で412件(49.5%)、2位は「技能実習」で123件(18.4%)、3位が「日本人の配偶者」で80件(9.6%)。留学が約半分の割合を占める結果となりました。
国籍・地域別では、1位がベトナムで416件(50.0%)、2位が中国で152件(18.3%)、3位がネパールで62件(7.5%)です。
在留資格が取り消しになるケースとは
昨今では、改正入管法により、取り消し件数が増加。過去最多を記録しました。沢山の種類がある在留資格では、取り消しになるケースも様々。偽造されたケースや、在留資格を持っている外国人以外の人が原因のケースもあります。
では、在留資格の取り消しが起こるのはどのようなケースがあるのでしょうか?いくつかのケースを詳しくご紹介いたします。
身分を偽った!
在留資格が取り消しになる最も多いケースが「身分の偽り」です。例えば、日本の学校で通うと偽って「留学」の在留資格で入国したが、実際は就労目的であった場合などが在留資格の取り消し対象です。
就労目的で入国後、本来の就労目的とは異なる内容の就労をしていても、同様に取り消しの対象となってしまいます。
また、虚偽の結婚も取り消し対象です。「日本人の配偶者」として虚偽の結婚で申請し、在留資格を得て日本で就労した場合、在留資格は取り消されます。
書類が間違っていた!
在留資格を持つ外国人以外の人が、虚偽の書類を提出した場合にも、在留資格の取り消し対象になってしまいます。例えば技能実習のの受け入れ先の企業が、虚偽の研修計画書を作成・提出し、外国人実習生に上陸許可が受理された場合などです。
書類を作成する際は、間違いがないかしっかり確認する必要があります。
在留資格に応じた活動をしていない!
在留資格を所持している外国人が、正当な理由がないにもかかわらず、その活動を3ヶ月以上行っていなかった場合、在留資格取り消しの対象になります。ただし、急に会社が倒産した場合、次の就職に向けて就職活動をしっかり行っていれば、「正当な理由」に当てはまるため、取り消し対象にはなりません。
また、日本に在留する場合は、法務大臣に滞在する住所を伝えることが義務付けられています。そのため、引っ越しなどで住所に変更があったにも関わらず、決められた期日までに伝達がなかった場合や、虚偽の住所を伝えていた場合にも在留資格取り消しになるのです。
3ヶ月以上活動をしていない!
在留資格に該当する活動を、正当な理由がないのに、3ヶ月以上活動をしていないと在留資格は取り消されます。正当な理由とは、例えば、就職先の急な倒産により、就職先を探している場合などがあります。
在留資格の取り消しについて詳しくなりましたか?
在留資格が取り消しになると、定められた期日までに出国、あるいは即時強制退去しなくてはいけません。出国後は日本に一定期間渡れなくなり、再度在留資格を発行してもらうことが難しくなります。
今後、外国人を雇用する際は、その外国人が持つ在留資格がどんな目的で発行されているのかをしっかり確認し、在留資格に応じた活動をするように気を付けましょう。