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ニュース在留資格とは?種類や在留カード、取得方法などを解説!

日本に住む外国人の数は、平成30年末時点で中長期在留者数と特別永住者数を合わせて270万人を超え、過去最高の数字を示しています。日本へ観光に来る外国人とは異なり、在留外国人たちがさまざまな目的で日本に住むために取得している資格が「在留資格」です。本記事では、職業や身分など多くの種類に分かれている在留資格の概要や、在留カードとはどのようなものなのか、在留資格の取得方法などについて解説します。
在留資格の基礎:まずは種類のおさらい
外国人が日本に住むためには、どのような目的で在留するのかということを行政に申請し、その内容を認められ在留資格を得る必要があります。現在日本に住む外国人の在留資格で最も多い種類が「永住者」で約77万人、次いで「留学」「技能実習」「特別永住者」がそれぞれ約32~33万人、残りの約22万人がその他の種類です。在留資格の概要を確認し、種類にはどのようなものがあるのかについて理解を深めましょう。
そもそも在留資格って?
在留資格とは、外国人が日本に入国した後、適法に滞在するための資格であり、入国管理局が前身の出入国在留管理庁により、入国管理法に基づいた審査を経て付与されます。一方、ビザとは、外国にある日本の大使館や領事館により発給されるもので、パスポートの有効性と、その外国人が日本に入国しても差し支えないことを示す証書です。法務省の管轄である出入国在留管理庁と、外務省の管轄である大使館や領事館は、それぞれ独自の審査基準を持つため、ビザがあれば必ず在留資格の審査が通るとは限りません。
また、外国人が短期滞在以外の在留を希望する場合、入国管理法で定められた在留資格のいずれかに該当する活動であることを出入国在留管理庁が審査し、法務大臣が在留資格認定証明書を交付します。在留資格認定証明書はビザが発給される前に交付されるものであり、在留資格認定証明書が交付されたからといって、必ずビザが発給されるとは限りません。
職にまつわる在留資格
日本で働くための在留資格は、「特定活動ビザ」「就労ビザ」ともよばれます。主な種類を下の一覧で確認しましょう。
留学 | 大学,短期大学,高等専門学校,高等学校,中学校及び小学校等の学生・生徒 |
研修 | 公私の機関により受け入れられた研修生 |
技能実習 | 技能実習法上の認定を受けた技能実習計画に基づき,講習を受けたり業務に従事したりする者。1号、2号、3号に分類される |
特定技能 | 定められた特定産業分野での業務に従事する者。1号、2号に分類される。人手不足の解消を目指し、2019年4月1日より開始 |
外交 | 外国政府の大使,公使,総領事,代表団構成員等やその家族 |
芸術 | 作曲家,画家,著述家等 |
報道 | 外国の報道機関の記者,カメラマン等 |
教育 | 中学校・高等学校等の語学教師等 |
興行 | 俳優,歌手,ダンサー,プロスポーツ選手等 |
特定活動 | 外交官等の家事使用人,ワーキング・ホリデー,経済連携協定に基づく外国人看護師・介護福祉士候補者等 |
身分にまつわる在留資格
職業だけでなく、一定の基準を満たした身分による在留も認定されます。主な種類を下の一覧で確認しましょう。
永住者 | 原則10年以上継続して日本に在留していて、「素行が良好であること」「独立した生計を立てられる資産や技能を持っていること」「その者の永住が日本の利益になること」の三つを満たした者 |
日本人の配偶者等 | 日本人の配偶者・子・特別養子など |
永住者の配偶者等 | 永住者・特別永住者の配偶者や、日本で生まれ引き続き在留している子 |
定住者 | 第三国定住難民・日系3世・中国残留邦人など、特別な理由により居住が認められた者 |
永住者の在留期間は無期限、その他は最長5年です。
在留資格の基礎:在留カードってなに?
画像引用:出入国管理庁ホームページ
在留カードとは、3ヶ月を超える在留期間が決定された外国人や、「外交」または「公用」の在留資格が決定された外国人などに対し、その外国人が適法に在留する者であることを証明するカードです。在留カードには、氏名・生年月日・性別・国籍・居住地・在留資格・在留期間・就労の可否など、法務局が管理する個人情報のうち重要な項目が記載されています。また、在留カードには不正防止のためのICチップが組み込まれており、カードに記載されている項目の全部または一部が、ICチップの中に記録されていることも特徴です。
在留カードで在留資格を確認する際は、表面の中ほどにある「在留資格」の項目を見れば、在留カードの持ち主にどのような在留資格が付与されているのかが分かります。また、中長期在留者が所持する従来の外国人登録証明書は、みなし再入国許可による出国の際や、入国管理局で行う各種申請手続、市区町村で行う住居地届出手続などにおいて、在留カードとみなされます。
在留資格の基礎:取得方法について
一度も日本に済んだことがない外国人が日本に在留する場合は、新規に在留資格を取る必要があり、すでに在留資格を取得している外国人の在留理由が変わる場合は、資格の変更を行う必要があります。また、在留資格は一度取得してしまえば期間満了まで確実に日本に住めるわけではなく、さまざまな理由で取り消しになることもあるのです。在留資格の取得や取り消しに関して、基礎知識を確認しておきましょう。
在留資格はこうやって取得する!
まだ日本にいない外国人が在留資格を取得する場合は、在留資格認定証明書とビザが押印されたパスポートを持参して来日し、上陸した空港で上陸審査を受ける必要があります。審査にパスし、決定された在留資格および在留期限を入国審査官からパスポートに押印され、併せて在留カードを交付されることで、その外国人は正式に在留資格を得られるという流れです。
また、留学生などすでに日本国内に在住している外国人が、そのまま日本の企業に就職する場合は、在留資格「留学」などの種類を、就労形態に適した在留資格の種類に変更する必要があります。具体的には、その外国人の居住地を管轄する地方出入国在留管理局などへの、在留資格変更許可申請が必要です。在留資格の変更手続には時間がかかるであろうという配慮から、変更前の在留期限から60日間は在留資格なしでも滞在できますが、変更申請は30日以内に行わなければならないと定められています。
在留資格は取り消されることもある
入国時の手続や在留期間の更新における申請の際に、虚偽の記載をしたり偽変造された文書や資料を提出したりといったようなことが発覚した場合は、在留資格を取り消されることがあります。
また、在留資格に基づく本来の活動を一定期間行わないで滞在していた場合にも、同様に在留資格を取り消されることがありますが、正当な理由がある場合はその限りではありません。以前までは、3ヶ月以上にわたり活動の実態が確認されない場合のみ、在留資格の取り消しが可能とされていましたが、平成28年の入国管理法改正により、3ヶ月経たない場合でも取り消しが可能となっています。
また、1年以上の懲役刑または禁固刑に処せられた者や、禁止薬物の取締法違反により刑に処せられたものは、日本からの退去強制が命ぜられ、日本への入国が二度とできなくなります。在留資格が取り消され出国命令が下された後、出国準備のために与えられる猶予期間中に出国しなかった者も、同様に退去強制の対象です。
在留資格について掴めましたか?
在留資格とは、法務省の管轄である出入国在留管理庁から付与される、外国人が日本に住むために必要な資格であり、外務省から発給されるビザとは異なるものです。在留資格には、職業や身分にまつわるさまざまな種類に分かれており、在留カードを見ればどのような在留資格の種別なのかが判別できます。
初めて在留資格を取得する場合は入国時の上陸審査を受ける必要があり、在留理由を変更する場合は行政にその旨申請する必要があります。また、在留資格はさまざまな理由で取り消されることがあり、悪質な場合は退去強制に処される可能性があることも覚えておきましょう。