現在、世界中でコロナウイルスが流行し、日本国内でも猛威を振るっています。日常生活への多大な影響を及ぼし、世界経済を巻き込んだ事態となっています。

さらに日本国内では、オリンピックの延期も決定され、訪日外国人の減少やインバウンド市場への影響が危惧されています。

2020年3月時点で、外国人の日本に対する興味関心に変化は見られるのでしょうか?

弊社のサービスのアクセス分析と、在留外国人を対象に行った新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する意識調査を通して、見えてきたことをお伝えいたします。

はじめに(弊社サービスGuidable Japanとは?)

Guidable Japanは、日本に住む外国人向けに生活の便利情報やおすすめのスポット、最新の流行情報などを提供している在留外国人向けの情報メディアです。

月間約20万PV数で、国内の在留外国人に留まらず、多くの海外地域の方にご利用いただいております。

まずは、こちらのサイトアクセス分析を通して、今後のインバウンド・外国人向け市場の動向を考えてきます。

新型コロナウイルス流行後の利用者推移

WHOより、コロナウイルスの流行が、国際的な懸念の公衆衛生緊急事態と宣言された2020年1月30日を一つの起点に分析してきます。

こちらは、先ほどの弊社サービス「Guidable Japan」全体の2~3月のアクセス推移になります。

2月時点では、全体を通してみると大幅な減少は見られません。しかし、3月に入ってからわずかではありますが、減少傾向にあります。

挙げられる理由として以下のことが挙げれらます。

  • 日本国内(在留外国人)のアクセスが減少している。
  • 国外からのアクセスが減少している。

どちらの理由に当たるのか、3月のアクセス内訳を掘り下げてみます。

日本国内からのアクセスは3月後半に入り、減少傾向にあります。

こちらは、減少し始めているのが、3月下旬頃からであることから、日本国内でも新型コロナウイルスの流行が加速した時期と重なり、在留外国人の関心もそちらへ向かっていると考えられるでしょう。

国外のアクセス推移を見てみると、減少はほとんど見られないことが分かります。

むしろインドやフィリピンといったアジア圏の国々では、増加傾向にあることがわかります。

整理すると、全体アクセス数の変化は、コロナウイルスの流行によって、日本国内からのアクセス(主に在留外国人)がわずかに減少しているに留まり、外国人の日本への興味関心はそれほど変化していないと捉えられます。

新型コロナウイルス感染対策の記事への関心度

続いて、Guidable Japan内で投稿された、日本国内におけるコロナウイルス感染予防の記事のアクセスを分析しました。こちらは、記事への流入の国別割合です。

  1. 日本(在留外国人)
  2. フィリピン
  3. インド
  4. ネパール
  5. アメリカ
  6. カナダ
  7. ブラジル,,,

という割合になっています。

同期間内のGuidable Japanサイト全体におけるユーザー数割合は、

1.日本、2.アメリカ、3.インド、4.フィリピン、5.ネパール、6.イタリア、7.台湾,,,の順です。

比較すると、日本国内におけるコロナウイルス流行への関心は、アジア圏の方が高いことが見えてきました。

アジア圏の2月度アクセス推移

それでは実際にアジア圏の方のアクセス数は、全体でも変化しているのでしょうか?

WHOより、コロナウイルスの流行が、国際的な懸念の公衆衛生緊急事態と宣言された2020年1月30日をポイントに分析してきます。

Guidable Japanのアジア圏利用の中でも、割合の高い3ヵ国インド、フィリピン、ネパールの2~3月度アクセス推移に注目して見ていきましょう。

インド、フィリピン、ネパールのアクセス状況

WHOの調査によるとインドは、2020年4月2日時点で新型コロナウイルスの感染者は1600人ほどです。その人口数を考慮すると、少なくとも3月まででは、比較的感染者は少なく留まっているとも言えます。

上のアクセス推移を見てみるとインドからのアクセスは、2月21~24日の間で一度減少するものの、3月に入るとむしろ増加傾向にあります。

続いて、こちらはフィリピンからのアクセス推移になります。

WHOによると、フィリピンでのコロナウイルス感染者数は、2020年4月2日時点で、2311人となっており、先ほどのインドより人口が少ないことを考えると、割合は高いと言えるでしょう。

しかし一方で、アクセス推移をみると、インドと似た傾向があります。2月下旬に減少するものの、3月後半にかけて増加しています。

最後にこちらは、ネパールからのアクセス推移になります。

WHOによると、ネパールでのコロナウイルス感染者数は、2020年4月2日時点で、5人となっており、先ほどの2国と比較すると、圧倒的に少ないです。

ですが、アクセス推移に関しては先程と同じような推移を取っており、3か国とも感染状況は違えど、一様に日本への関心が薄れていないことが見られます。

また、各国の状況を見てみると、インドでは、3月22日政府の指示により,当館管轄区域内(タミルナドゥ,アンドラプラデシュ,テランガナ,ケララ,ポンディチェリー)の複数地域がロックダウンの対象となりました。

フィリピンでは3月25日にセブ州政府が行政命令(24時間自宅待機を含んだ)を発表。

ネパールでは、3月24日からロックダウン(外出禁止)の措置が取られています。(外務省参考

以上のことを踏まえると、自宅待機が開始した頃から、アクセス数が増加しているともいえるでしょう。

在留外国人の実際の声:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する意識調査

それでは、日本国内に住む在留外国人の実際の声はどのようなものなのでしょうか?

そこで弊社は、日本に在留する190カ国・2万5000人におよぶ外国人の意見を収集できる独自のアンケートモニター「Guidable Research」(http://research.guidable.co/)で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する意識調査を実施。35カ国、103名の在留外国人から回答を得ました。

調査では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大に関して「大規模スポーツイベントの延期についてどう思いますか?」「新型コロナウイルス感染症に関して、もっとも憂慮する事案は何ですか?」など6件の設問を用意しました。

こちらはそのうちの一つ、「新型コロナウイルス感染症が社会問題化したのち、母国に戻ろうと考えましたか?(Have you ever thought of going back home country after the corona virus?)」という設問です。

設問に対しては、66%が「いいえ(No)」、21.4%が「はい(Yes)」、12.6%が「たぶん(Maybe)」と回答しました。

自由記述による意見では、帰国しないと回答した人は「アメリカは日本より状況が悪い(America is worse than Japan)」(国籍:アメリカ)や

「すべての国に新型コロナウイルスはまん延している(The virus is in all countries)」(国籍:アルゼンチン)、

「故郷は病気の時に居たい国ではない(Because Australia is not where I want to be if I’m sick)」(国籍:オーストラリア)

などの現状を冷静に分析するコメントが並びました。この結果を見ると、新型コロナウイルス流行の影響を受けて、直ちに既存の在留外国人市場が縮小するとは、考えにくいでしょう。

まとめ

  • 渡航の厳しい状況の中でも、外国人の日本への興味関心はそれほど変化していない。
  • オンラインでのアプローチは、むしろしやすくなっている。
  • 在留外国人の日本へのイメージは大きく変化していない。

2020年3月時点では、以上のことがわかりました。

今後も感染状況の動向やオリンピック開催時期の変更で、大きな変化が見られることが予想されます。

最新情報が入り次第、随時更新していきます。