最近、外国人労働者を採用する企業が増えています。数カ国語を話せる外国人も多いことから、グローバル化したいと考えている企業にとってはぜひ外国人労働者を受け入れたいところなのではないでしょうか。

しかし採用を開始するにも、「外国人スタッフを受け入れたいけれど、よくわからない部分や不安な部分がたくさんある」という採用担当の方は多くいらっしゃるのではないしょうか。そこで今回は外国人労働者へどのように受入れ体制を整えていけばいいのかをご紹介します。

外国人労働者の受け入れポイント1:在留資格

ワーキングビザ

外国人労働者を採用する前に、必ず確認しなければいけないのが「在留資格」です.

のちほど詳しく解説しますが、基本的に留学生や短期滞在者などは日本で働いてはいけないことになっています。最近は、在留資格を持っていない外国人を知らずに雇っていたり、就労資格がないことに気づかず外国人が日本で働いてしまったりといった問題が起こっています。働くことのできない在留資格を持つ外国人を雇ってしまうと、不法就労者を雇っているということになり「不法労働助長罪」に問われてしまうのです。この罪を犯してしまうと、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科すると重い罰が課せられるので注意しましょう。

「就労してはいけない外国人だとは知らなかった」では済まされません。外国人労働者を受け入れる際には、必ず面接時に在留カードで在留資格を確認するようにしてください。

就労が可能なビザ

就労が可能なビザは以下になります。以下の外国人は、許された活動範囲内で日本で働くことができます。

  • 外交(大統領など国を代表して来日する外国人など)
  • 公用(領事館の職員など)
  • 教授(高校や大学の先生など)
  • 芸術(画家や作曲家など)
  • 宗教(宣教師など)
  • 報道(外国の報道機関スタッフやカメラマンなど)
  • 投資・経営(企業の経営者や管理者)
  • 法律・会計業務(弁護士や公認会計士など)
  • 医療(医師や看護師など)
  • 研究(企業の研究者など)
  • 教育(小・中・高の教員など)
  • 技術(機械工学などの技術者)
  • 人文知識・国際業務(通訳やデザイナー)
  • 企業内転勤(外資系企業からの転勤者など)
  • 興行(芸能人など)
  • 技能(パイロットなど)
  • 技能実習(技術を取得するために実習を受けている外国人)
  • 介護
  • 特定技能

また以下の在留資格を持っている人は、就労の制限はありません。彼らは日本人同様に働くことができるため、特に採用までスムーズに進みやすいといえるでしょう。

  • 永住者
  • 日本人の配偶者
  • 永住者の配偶者
  • 定住者(インドシナ難民、日系三世など)

就労が不可能なビザ

観光ビザ

以下のビザは就労が不可能です。資格外活動許可を得ない限り、これらのビザを持っている外国人は雇うことができないので注意してください。

  • 文化活動(日本文化の研究者など)
  • 短期滞在(観光客など)
  • 留学(大学の学生など)
  • 就学(高校生など)
  • 研修(日本の大学で技術や知識を学んでいる研修生など)
  • 家族滞在(就労できる在留資格をもつ外国人の妻や子供)

外国人労働者受け入れポイント2:コミュニケーション

外国人 会話

この記事を読んでくださっている方の中には「外国人との接し方がよくわからない」という方も多いと思いますので、ここでは外国人労働者とのコミュニケーションの取り方をいくつかご紹介します。

遠回しな言い方をしない

日本人特有の文化ですが、できるだけ相手を傷つけないように遠回しに物事を伝えることがよくあります。この「言葉の裏を読む」「その場の空気を読む」といった行為は日本独特の文化のひとつです。日本で生まれ育っていない外国人労働者にとってはなかなか理解しにくい部分でもあります。

特に、外国人労働者の中には簡単な日常会話であればできますが専門用語など難しい会話はまだうまく理解ができないという方も当然いらっしゃいます。そのような状況の中で、遠回しに物事を伝えたり、言葉の裏を読んでほしいことをそれとなく伝える言い方をしたりしてしまうと、外国人労働者が混乱してしまう場合が出てくるのです。

また、日本人は主語や目的語などを省略しがちです。例えば、まだ日本語がネイティブレベルではない外国人に見せてほしいものなどを伝えるときに「〇〇の資料ある?」と伝えるとただ単純にその資料があるかないかを聞かれているのかと思ってしまいます。

そのため、外国人労働者とコミュニケーションをとるときには「確認したいことがあるから、〇〇の資料をいま見せてほしい」とできるだけ端的に伝えるとスムーズにコミュニケーションをとることができるでしょう。

指差しやツールを使って説明

指差しやツールを使うと、いまどのことを話しているのかが明確にわかるため、外国人労働者も理解がしやすくなります。それでも伝わらない場合には、筆談や実際にその動作をして目で見てもらうという方法も有効です。

外国人労働者受け入れポイント3:日本語力

本

みなさんもよくおわかりだと思いますが、他の国の言葉をなんの不自由もなく話せるようになるということは簡単なことではありません。外国人労働者が日本語の理解に時間がかかるのは当然のことです。

無理に急かしたりせず、外国人労働者の日本語能力に理解を示すことも、うまくコミュニケーションをとっていくうえで非常に大切なことです。

語学習得は自治体やNPOを頼る

先ほどもご紹介したとおり、外国人労働者にとって1番の壁は「言語」です。仕事をするときには、日常生活で使うような日本語だけでなく難しい専門用語もある程度理解しておかなければならないため、日本語に慣れていないうちはどうしても戸惑ってしまうでしょう。

言語の壁は日本の企業にとっても超えがたいものとなっています。英語がネイティブレベルのスタッフがそれほど多くないことに加え、最近は英語だけでなくさまざまな言語を話す外国人が増えていることから、どうしても企業側だけでは対応しきれません。実際企業様からは「うちには英語が話せるスタッフはいるが、アラビア語やフランス語、中国語を話せるスタッフまでは用意できない」というお声をいただきます。

そこで、活用していただきたい機関が自治体やNPOです。これらの機関では、外国人労働者が日本人社員と問題なくスムーズにコミュニケーションをとることができるレベルまで比較的安い金額で教育してくれます。

自治体やNPOをうまく活用して外国人に日本語能力を身に着けてもらえば、よりスムーズにコミュニケーションを取ることができるようになり、仕事もこれまでよりスムーズにすすめられる可能性が高まりますので活用していきましょう。

また、その他にも

  • 日本人同士でかたまらない
  • 小学生と話すような感覚で、できるだけわかりやすくハッキリと伝える

といったことも、外国人労働者とうまくコミュニケーションをとっていくうえで非常に大切です。

社内研修の充実

外国人 会議

外国人労働者も、会社に貴重な人材です。彼らにも「この会社で働きたい」と思ってもらえるような労働条件や社内研修を行うことはとても大切です。

また、社内研修をより外国人労働者が理解しやすいように充実させることは、成長のはやさにもつなげることができます。

外国人労働者受け入れポイント4:育成

外国人が働く場所

ここでは、外国人労働者を育成していくうえでの注意点をご紹介します。

時間に対しての認識

日本では遅刻は厳禁、始業時間と終業時間が決まっているなど時間に対してとても厳しい文化がありますが、国によっては時間の細かい制約があまりないことが多いです。

そのため、日本独特の「時間をきっちり守る」という文化に慣れないうちは、遅刻などをしてしまう場合があります。そのため、日本の文化を知ってもらいつつ、企業側にも外国人労働者の文化を理解する姿勢が必要となります。

生活習慣や文化に対する理解

日本以外の国では「マニュアル」というものがほとんどなく、最初のうちはどうしても慣れ親しみにくいです。

そのため外国人労働者には「マニュアルはわかりやすくて面白いもの」「楽しく仕事を覚えられるもの」といった認識をしてもらうと企業側も仕事上のコミュニケーションがより取りやすくなります。

特に東南アジアでは、スマートフォンやタブレット端末などの普及率が高いため、ゲーム要素などを含んだマニュアル等を作成すると親しみやすくなる場合がありますので導入してみてはいかがでしょうか。

外国人労働者の受け入れポイントは掴めましたか?

ダイバーシティな外国人

言語も文化も違う外国人労働者を受け入れるということは、勇気が必要ですよね。ですが、日本人社員だけではどうしてもできないグローバル化や外国のよさなどを取り入れるためにも、外国人労働者は必要不可欠な貴重な人材です。

日本の企業と外国人労働者が、お互いの言葉と文化を理解し合うことができれば、いままでの会社よりも素敵な会社へと成長させることができるのではないでしょうか。