外国人技能実習制度とは:基礎からまるわかり!

近年、少子高齢化による労働力不足の低下から、外国人労働者の採用をする企業が増えています。
その中で注目を集めているのが「外国人技能実習生度」という外国人を「実習生」という名目で一定期間働いてもらうという、国が定めた制度です。しかし現場では、外国人労働者が労働基準法に違反する環境で働いているなどの課題や、問題点が数多くあります。
今回は、こうした課題から議論が「外国人技能実習生度」について、制度概要か課題点まで紹介していきます。
外国人技能実習制度とは?
外国人技能実習制度とは、2017年に施行された外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(技能実習法)です。具体的には、外国人労働者を一定期間、日本国内企業にて技能実習生として雇用。さまざまな分野の技能を修得してもらいます。
特に今後、発展途上国の技術面や経済面の発展を担う人材を育成するために制定された法律であるほか、外国人労働者によって日本国内の人手不足になりつつある産業を支えてもらうという側面もあります。
制度の目的は外国人技能実習制度の目的は主に、発展途上国の人材育成です。実習生に日本の技能や知識を学んでもらうことで、発展途上国の経済的・技術的発展を担うであろう人材の育成に協力すること目的としています。
そのため、「技能実習は、労働量の需給の調整の手段として行われてはならない」と明記されています。これは単なる日本の人手不足などの都合による単純労働などの労働力としてのの技能実習制度を利用してはいけないという意味になります。
受け入れ可能職種は
技能実習生を受け入れ可能な職種として、主に以下の職種が定められています。
農業関係(2職種)
- 耕種農業
- 畜産産業
漁業関係(2職種)
- 漁船産業
- 養殖業
建設関係(22職種)
- さく井
- 建設板金
- 冷凍空気調和機器施工
- 建具製作
- 建築大工
- 型枠施工
- 鉄筋施工
- とび
- 石材施工
- タイル張り
- かわらぶき
- 左官
- 配管
- 熱絶縁施工
- 内装仕上げ施工
- サッシ施工
- 防水施工
- コンクリート圧送施工
- ウェルポイント施工
- 表装
- 建設機械施工
- 築炉
食品製造関係(11職種)
- 缶詰巻締
- 食鳥処理加工業
- 加熱性水産加工食品製造業
- 非加熱性水産加工食品業
- 水産練り製品製造
- 牛豚食肉処理加工業
- ハム・ソーセージ・ベーコン製造
- パン製造
- 惣菜製造業
- 農産物漬物製造業
- 医療・福祉施設給食製造
繊維・衣服関係(13職種)
- 紡績運転
- 織布運転
- 染色
- ニット製品製造
- たて編ニット記事製造
- 婦人子供服製造
- 紳士服製造
- 下着類性オズ
- 寝具製作
- カーペット製造
- 帆布製品製造
- 布はく縫製
- 座席シート縫製
機械・金属関係(15職種)
- 鋳造
- 鍛造
- ダイカスト
- 機械加工
- 金属プレス加工
- 鉄工
- 工場板金
- メッキ
- アルミニウム陽極酸化処理
- 仕上げ
- 機械検査
- 機械保全
- 電子機器組立て
- 電気機器組立て
- プリント配線板製造
その他(14職種)
- 家具製作
- 印刷
- 製本
- プラスチック成形
- 強化プラスチック成形
- 塗装
- 溶接
- 工業包装
- 紙器・ダンボール箱製造
- 陶磁器工業製品製造
- 自動車性び
- ビルクリーニング
- 介護
- リネンサプライ
以上、技能実習生を受け入れ可能な職種です。さらにこの職種から、それぞれ「作業」という区分に細分化されます。
また、この中から移行対象職種というものがあります。これは技能実習の区分が入国後1年目の技能を修得する活動(第1号技能実習)、入国後2・3年目の技能を習熟するための活動(第2号技能実習)、入国後4・5年目の技能を熟達するための活動(第3号技能実習)に分けられますので注意してください。
この第1号技能実習から、第2・3号技能実習へそれぞれ移行するためには、移行対象の職種かつ技能実習生本人が所定の試験に合格していることが条件になります。上記で述べた職種の中には、第3号技能実習に移行できない職種も含まれています。
第3号技能実習に移行できない職種としては、以下の職種が該当します。
- 建築板金(ダクト板金の作業は移行可能
- 築炉
- 惣菜製造業
- 農産物漬物製造業
- 医療・福祉施設給食製造
- 紡績運転
- 織布運転
- カーペット製造
- ビルクリーニング
- リネンサプライ
以上の職種は、原則最長で3年間しか在留できません。
受け入れはどうしているの?
外国人技能実習制度の受け入れ方式は2種類あります。「企業単独型」と「団体管理型」です。
「企業単独型」とは、日本企業が現地の法人・合弁企業、取引先の常勤職員を直接受け入れるというものです。主に、大企業がこの制度を利用する際に採用されやすい方式で、技能実習生の3.4%がこちらの制度によって、企業に受け入れられてます。
具体的に、受け入れる外国人実習生の要件は以下の3つです。
- 送出し国の現地法人・合弁企業の乗務職員
- 引き続き1年以上または過去1年間に10億円以上の取引実績のある取引先の常勤職員
- 送出し国の公務員等
また、「団体管理型」とは、事業協同組合などの中小企業団体、商工会議所等が受入団体となり実習生を受け入れ、その傘下の中小企業で実務研修及び技能実習を実施するものです。技能実習生の99.6%が、こちらの制度によって企業に受け入れられてます。
外国人技能実習制度を利用する外国人とは
外国人技能実習制度を利用する外国人は、どこの国が多いのでしょうか。この制度自体は、各国との協力覚書により、東・東南・南アジア等の計15か国が対象となっています。
具体的には、インド、インドネシア、ウズベキスタン、カンボジア、スリランカ、タイ、中国、ネパール、バングラデシュ、フィリピン、ベトナム、ペルー、ミャンマー、モンゴル、ラオスです。
また平均年齢は、20代~30代前後と若い国々です。
技能実習生って何?
技能実習生とは、外国人の若い労働者が現地国で習得困難な技能を習得するために、日本企業で働く実習生のことです。
新興国を中心としたアジアの国々から、日本に約28万人もの実習生が技能実習に来ています。日本国内の労働力不足により、受け入れ需要が高まる中この5年間で約2倍に増えています。
どんな国からきているの?
2017年の法務省のデータでは、第1位のベトナムが38%(104,692名)、第2位中国(79,959名)、第3位フィリピン(25,740名)、第4位インドネシア(20,374名)、第5位タイ(7,898名)の順番となっています。
過去は中国が1位だったようですが、近年はベトナムからの実習生が増えています。ベトナムはアジア有数の親日国であり、日系企業も多く進出しており、ベトナムや他国の企業より評価が高い傾向にあります。
今後はベトナムのみならず、こうした東南アジアの国々からの実習生が増えることが予想されます。
外国人技能実習制度について詳しくなりましか?
いかがでしたでしょうか。今回は、外国人技能実習制度について紹介しました。こうした新興国を技能習熟を支援する制度として、日本では自国の労働力の補強として、お互いのニーズがマッチしている制度でしたね。
しかし、最近はこうした技能実習性に対して一部、給料未払いや、過重労働を強いている職場があることも問題になっています。
実際に、建設関係など日本の若者も敬遠するようなきつい職種では、募集しても実習候補生が集まりにくくなってきているそうです。今後は、韓国や台湾といった他の受け入れ国と人材の取り合いの激化も予想されます。アジアの国々の志が高い若者に「選んでもらえる」ような受け入れ体制、環境づくりをしっかり行なっていくことが必須になっていくでしょう。