外国人技能実習制度の受け入れ体制が整備され、外国人技能実習生の在留数が増え続けており、そのなかでも特にベトナム人は増加の一途をたどっています。

一方で、実習生の自殺や窃盗、失踪・脱走のニュースを見かける機会が増えてきました。これニュースを見て、「ベトナム人が悪い」「雇うのは大変だ」と、ベトナム人側に問題があると思っていませんか?

では、本当にベトナム人に問題があるのでしょうか?何が原因で様々な問題が起きているのでしょうか?今回は、ベトナム人の性格や実習制度の現状、ベトナム人実習生が抱えている問題を詳しく説明していきます。

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ベトナム人の実習生は性格が優しい?

ベトナム人 女性

性格が日本人に似ていることで知られているベトナム人。外国人技能実習制度によって沢山のベトナム人実習生が日本に在留しています。

しかし、外国人実習制度には様々な問題が存在し、実習期間中に逃げ出してしまったり、窃盗などの犯罪行為をしてしまったりするベトナム人が多くなってきています。ベトナム人が窃盗なんてするの?日本人に似ているから優しくて親切なのでは?と疑問に思う方が多いのではないでしょうか?

次に、ベトナム人の性格や実習制度について説明します。

ベトナム人の性格は?

ベトナム人の性格は北部のハノイと南部のホーチミンとで分かれます。

南部のホーチミン付近はリゾート地が多く、陽気で明るいベトナム人が多い傾向があります。ホーチミンに旅行に行ったことがある人は、「道を尋ねた時には親切に教えてくれた」という経験もあるのではないでしょうか?

逆に北部ハノイのベトナム人の性格は日本人に近い性格を持っている傾向が強いです。プライドが高く、勤勉で真面目という性格を持っています。

十人十色で色々な性格のベトナム人がいるため、「ベトナム人はこうだ」と断定はできませんが、南部のベトナム人も北部のベトナム人も、共通して手先が器用で真面目であり、優しい性格を持っています。お願いされた仕事は快く引き受けてくれるベトナム人実習生が多いです。

実習制度とは

外国人男性

技能実習制度は、海外の現地法人などの社員教育として行われていた研修制度をもとに1993年に作られました。実習制度は、本邦で培った技術や技能、知識を発展途上の地域に移転させ、現地の経済発展を図り、その発展を担う人材づくりが大きな目的です。

実習制度の期間は最長で5年。外国人実習生が、日本の企業や個人事業主と雇用契約を結び、出身国では修得が困難な技術・知識を修得、熟達を図ります。

現在では技能実習制度の拡大が進み、日本に在留しているベトナム人の約7割を技能実習生が占めています。

ベトナム人は多い?

平成29年末時点での技能実習生は274,233人。国籍別の技能実習生の割合は、ベトナム人実習生が最も多く、123,679人で45.1%を占めており、次に中国77,607人(28.3%)、フィリピン27,697人(10.1%)、インドネシア21,938人(8.0%)と続きます。

業種別では、機械・金属関係業の技能実習2号への申請者も多いです。それ外にも食料品製造業、建築関係業も技能実習2号への移行申請が多いことから、これらの業種は、外国人実習生の受け入れが多いということが分かります。

ベトナム人実習生の抱える問題とは

男の子の草遊び

ベトナム人技能実習生の失踪や脱走などが問題視されています。失踪や脱走は年々増え続け、平成29年時点では3,751件を記録。過去5年で7.5倍も増加しました。

「ベトナム人は日本人に似た性格」と言われているなか、企業とベトナム人実習生との間に一体どのような問題が起きているのでしょうか?また、どのような不満や悩みを抱えているのでしょうか?いくつかご紹介していきます。

期待していた制度と違う

日本政府が抱える技能実習制度の理念は「技術・技能や知識の修得・習熟・熟達」であるため、「エリートになってお金を稼げるようになれる」と夢を見てしまいがちです。

しかし、低賃金で、劣悪な環境で、人材不足の補充をさせられるというケースが多いのが実態。そのため、日本政府の掲げる技能実習制度の目的や理念とのギャップを感じ、実習期間が終了いていないのに、失踪してしまうベトナム人実習生も後を立ちません。

性格が合わない

喧嘩

ベトナム人はプライドが高く論理的です。上司に頼まれた仕事でも、なぜそれをやらなければいけないのか?どういうメリットがあるのか?が理解、納得できなければふてくされたり、嫌々引き受けたりする事があります。

「上司がいうことは絶対だ」という日本の昔ながらの考えや、暗黙のルールなどは、価値観や性格の違うベトナム人実習生にとっては理解不能で、不満感を覚えてしまうのも無理もありません。感情的になり、その場で怒鳴りつけてしまうことでベトナム人のプライドを傷つけ、嫌悪感や不満を抱えてしまう結果になっているのが現状です。

日本人の偏見がある

日本人の偏見によって、差別的な扱いをされたというケースも少なくありません。

そのため、「日本語がわからなかっただけで上司に怒られた」というベトナム人や、「パスポートと在留カードを取り上げられた」「仕事宙にけがをしたのに治療を受けさせてもらえなかった」などというベトナム人実習生が多くいます。

他にも、セクハラや暴行、残業代の未払いや長時間労働、タイムカードの改ざんなどの問題も起きていることが現状です。日本人の、ベトナム人実習生に対する偏見は多くの問題を引き起こしています。

「最低賃金で給料が安くて済む」という考えを持っている日本人や企業が多いために、ベトナム人実習生をコキ使ったり、違法行為に至ってしまっているのです。

解決策は?

solution

ベトナム人実習生と雇用側との間に様々な問題がある中で、ベトナム人と日本人のどっちかが悪いとは言い切れません。もちろん、労働基準法を守るのは大前提。

様々な問題を解決するには、まずは雇用側がベトナム人実習生と真摯に向き合うことが重傷です。ベトナム人の性格や価値観を理解し、同じ人間であるという意識をもって接するようにすることで、ベトナム人に対する偏見が消え、意識が変わってきます。

「発展途上国で貧しい場所から来た」というだけで上から目線にならず、一個人として対等に接しましょう。雇用側が変化することによってベトナム人実習生自身も雇用側に対する意識が変わってくるのではないでしょうか。

ベトナム人実習生の問題について詳しくなりましたか?

ベトナム人の笑顔

現在、外国人技能実習生が増え続けており、その多くをベトナム人実習生が占めています。それと比例して、ベトナム人実習生や問題を抱えるベトナム人実習生も増え続けているのです。

これらの問題の多くは雇用側のベトナム人に対する偏見や意識、固定概念から引き起こされています。雇用側のベトナム人に対する理解が浅いことで、ベトナム人実習生と上手くいかず「ベトナム人を雇うのは大変だ」と感じてしまう結果に繋がるのです。

雇用側がベトナム人実習生を同じ人間なのだと認識し、真摯に向き合うことが重要です。その意識が技能実習生に関わらず、今後増えていく外国人と共存していく事にも必要になってくるのではと思います。