外国人の雇用状況届出書:知らないと罰金が科されるかも!?

外国人の雇入れ時も離職時も必要になる「外国人雇用状況届出書」。実は、その内容等を担保する義務は雇用者側にあります。内容に不備があったり、虚偽情報があると罰金が科されることも。
今回は、そんな事態を防ぐためにどのような準備をすればよいのか、具体的な届け出方法に触れながら解説していきます。
目次
事業者に罰金?!外国人の雇用状況届出書とは?
雇用対策法28条より、事業主は新たに外国人を雇い入れた場合、または雇用する外国人が離職した場合、ハローワークに外国人雇用状況の届出が必要となります。この届出の際に提出する書類を「外国人雇用状況届」と呼びます。
事業主は、在留カードを確認して上で、記載内容について所定の方法により外国人雇用状況届を提出することになります。
外国人の雇用状況届出書は事業者に義務がある!
外国人の雇用状況届出書は、事業主が提出する義務があります。万一、事業主が外国人雇用状況届の提出を怠った場合、または虚偽の届出を行った場合は、30万円以下の罰金に処せられます。
最近は、外国人労働者として日本に来る人が増えてきましたが、中には在留カードを持っていない外国人もいます。その場合、事業主はその外国人を雇うことができません。仮に、在留カードを偽装して雇入れると、上記の罰金刑に課せられます。
外国人は全員「雇用状況届出書」が必要?!
日本で就業する外国人全員が、外国人雇用状況届の対象となる訳ではありません。下記の在留資格に該当する場合は、届出を出さなくても日本で合法的に働くことができます。
【在留資格】
- 外交
- 公用
- 特別永住者
上記に該当しない外国人を雇う場合は、外国人雇用状況届の提出が必須となります。よく勘違いしやすいのが、日本人と結婚している「日本人の配偶者等」の在留資格をもつ人を雇う場合です。「日本人の配偶者等」の在留資格をもっている人でも、上記の在留資格に該当しない場合は、外国人雇用状況届の対象となるので注意しましょう。
外国人の正社員、アルバイト、派遣社員を雇う場合も外国人雇用届を提出しなければなりません。外国人のアルバイトで、「留学」や「家族滞在」の在留資格をもつ外国人の場合は、資格外活動許可を得ているか、確認しておきましょう。
外国人の派遣社員を雇う場合、雇用主は「派遣元」の企業となります。したがって、雇用状況届は派遣元の企業が提出をしなければなりません。
外国人の雇用状況届出書はややこしいって本当?
外国人の雇用状況届出書は、お役所の書類ということで、大変なイメージを持たれる方は多いですが、実際はそこまで難しいものではありません。どのように外国人の雇用状況届出書を提出するのか、また届出書の内容はどうなっているのか、一つずつ見ていきましょう。
届け出方法は2つある!
外国人労働者が「雇用保険に加入しているかどうか」で、届け出方法が変わってくるのです。雇用保険に加入している場合、雇用保険の資格取得届を提出することで、外国人雇用状況を報告することになります。
雇用状況届を作成する必要はありません。外国人労働者が雇用保険に加入していない場合は、外国人雇用状況届の提出が必要になってきます。
この時、外国人雇用状況届の届け出方法は以下の2通りになります。
- ハローワークの窓口で届け出を行う
- 外国人雇用状況届出システムを利用する
ハローワークの窓口で届け出を行う場合、雇っている外国人が雇用保険の被保険者であるか否かで手続きが変わってきます。
雇用保険の被保険者である外国人の場合、雇用保険被保険者資格取得届のⅡ紅蘭に必要事項を記載して雇入れの翌月10月までに、離職する場合は雇用保険被保険者資格喪失届の備考欄に必要事項を記載して、離職の翌日から起算して10日以内に提出しなければなりません。
雇用保険の被保険者でない外国人の場合、所定の様式(雇用対策法施行規則様式第3号)に必要事項を記載して、雇入れまたは離職の翌月末日までに提出する必要があります。
また、インターネットを使って届出を行う場合は、「外国人雇用状況届出システム」を利用することになります。
こちらは厚生労働省が提供しているシステムで、利用にはIDの取得が必要になります。厚生労働省のホームページから新規登録が可能ですので、オンラインでの登録を検討されている方は、先にIDを取得しておくことをおすすめします。
届け出内容はとてもシンプル!
外国人雇用状況届の記載内容は、非常にシンプルです。雇用した外国人が雇用保険の加入者である場合、雇用した際は「雇用保険者資格取得届」、離職した際は「雇用保険被保険者資格喪失届」を使用します。
記載内容は以下の通りです。
- 氏名
- 在留資格
- 在留期間
- 生年月日
- 性別
- 国籍、地域
- 勤務する事業所の名称および所在地名
雇用した外国人が雇用保険に加入しない場合は、雇用時、離職時ともに「外国人雇用状況届出書(様式3号)」を使います。記載内容は、雇用保険保険者資格取得届、資格喪失届とほぼ同じですが、下記の2点だけ、追加で記載が必要です。
- 資格外活動許可の有無(雇用時のみ)
- 雇入れまたは離職年月日
届出を記載する際は、雇用する外国人の在留カードを必ず確認するようにしてください。在留カードを見ることで、不法滞在でないか、資格外活動許可を受けているか等も合わせて確認することができます。
届出用紙は、ハローワークの窓口で受け取ることができます。また、厚生労働省のホームページからもダウンロード可能です。もちろんハローワークに出向く時間がなくても、インターネット環境、印刷環境さえあればすぐに用紙を出力できます。
雇用側のチェックってなにをするの?!
届出用紙を記載する際に、在留カードを確認することは先ほど述べた通りです。では、実際にどの部分を重点的にチェックしていくのか、確認していきましょう。
まずは在留カードの表面を見てください。表面には、氏名や生年月日などの基本情報が記載されています。
その中に記載されている以下の項目を重点的に見ていきます。
- 在留資格
- 在留期間
- 就労期限
まず、対象の外国人が、どのような在留資格で日本に来ているか確認してください。この項目内容によっては、届出を行う必要がない場合があります(雇用状況届の対象外となる在留資格は、「外交」「公用」「特別永住者」です)。
次に就労期限、在留期間を確認しましょう。就労期限を迎えるまでの間、雇用することが可能になるので、期限が迫っている外国人労働者の場合は、更新の目処が立っているのかどうか、確認必須です。仮に、更新の目処が立っていない場合は、採用の是非も検討し直す必要があります。
在留カードの裏面の右下隅に、在留期間更新認可申請中の場合は「申請中」と記載されています。もし、在留期間が迫っているのにも関わらず、認可申請が行われていない場合は、労働者に申請を促すようにしましょう(個別の事情がある場合は、無理に申請を勧める必要はありません)。
外国人雇用状雇用届出書の重要性は分かりましたか?
いかがでしたでしょうか。外国人を雇用している場合は、外国人雇用状況届を提出する必要があります。届出の書類は、全国のハローワークで受け取る、もしくは厚生労働省のホームページからダウンロードしましょう。インターネット環境、印刷環境さえあれば、すぐに書類を作成することが可能です。
記載内容自体は、そこまで複雑でないので、自身で十分作成できます。雇用状況届出の提出は、法律で義務付けられており、不備があった場合は雇用主の責任となります。記載情報に虚偽が含まれないよう、在留カードなど公的な書類を必ず確認して、書類作成を進めるようにしてください。