新型コロナウイルス流行による渡航規制や、東京オリンピック延期に伴い、訪日外国人に向けたインバウンド市場は多大な影響を受けることが予想されます。

インバウンド事業や外国人集客に力を入れてきた企業様は、頭を悩ませているのではないでしょうか。
今回は、外国人顧客の集客という観点で、このような現状の中でも、取れる対応策をご紹介いたします!

【インバウンド集客】新型コロナウイルス流行の影響

2020年4月現在、世界中で新型コロナウイルスの感染が激化し始め、混乱を招いています。

4月7日には、政府により緊急事態宣言が出され、埼玉、千葉、東京、神奈川、大阪、兵庫、福岡の7都府県を対象に4月7日~5月6日の1カ月間、外出自粛を強く要請されました。

多くの飲食業界・サービス業界でも、営業期間の縮小や休業対応を余儀なくされ、厳しい状況にあります。特に、今まで訪日外国人・インバウンド対策に力を入れ、訪日外国人顧客を主としていた飲食店や宿泊業界への影響はさらに大きいものとなっています。

コロナウイルスで入国禁止の国

2020年4月1日、政府によって「水際対策強化に係る新たな措置」が決定されました。

外務省のホームページ(日本における新型コロナウイルスに関する水際対策強化)によると、以下の国々73か国が入国拒否対象となっています。

注:出入国管理及び難民認定法に基づき上陸拒否を行う対象地域(*は今回追加・変更の49か国・地域、全体で73か国・地域)
(アジアインドネシア*、韓国全土*、シンガポール*、タイ*、台湾*、中国全土(香港及びマカオを含む)*、フィリピン*、ブルネイ*、ベトナム*、マレーシア*
(大洋州)オーストラリア*、ニュージーランド*
(北米)カナダ*、米国*
(中南米)エクアドル*、ドミニカ国*、チリ*、パナマ*、ブラジル*、ボリビア*
(欧州)アイスランド、アイルランド、アルバニア*、アルメニア*、アンドラ、イタリア、英国*、エストニア、オーストリア、オランダ、北マケドニア*、キプロス*、ギリシャ*、クロアチア*、コソボ*、サンマリノ、スイス、スウェーデン、スペイン、スロバキア*、スロベニア、セルビア*、チェコ*、デンマーク、ドイツ、ノルウェー、バチカン、ハンガリー*、フィンランド*、フランス、ブルガリア*、ベルギー、ポーランド*、ボスニア・ヘルツェゴビナ*、ポルトガル、マルタ、モナコ、モルドバ*、モンテネグロ*、ラトビア*、リトアニア*、リヒテンシュタイン、ルクセンブルク、ルーマニア*
(中東)イスラエル*、イラン、エジプト*、トルコ*、バーレーン*
(アフリカ)コートジボワール*、コンゴ民主共和国*、モーリシャス*、モロッコ*

「永住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」又は「定住者」の在留資格を有する方が、4月2日までに再入国許可をもって出国した場合は、入国拒否対象地域から再入国することは原則可能です。一方で、4月3日以降に出国する場合は、原則として入国拒否の対象となります。なお、「特別永住者」については、入国拒否対象ではないことに変わりありません。

世界各国でコロナウイルスの感染拡大が進んでおり、このような状況は、しばらく続くことが予想されます。

2020年東京オリンピック延期について

また、この新型コロナウイルス流行の状況を受け、2020年東京オリンピックの日程延期が決定しました。

公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会によれば、新日程は2021年7月23日から8月8日まで開催されます。

国際オリンピック委員会(IOC)、国際パラリンピック委員会(IPC)、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(東京2020組織委員会)、東京都、日本国政府は、2021年に開催される第32回オリンピック大会の新日程に合意しました。オリンピック競技大会は2021年7月23日から8月8日まで開催されます。

この延期よって、多大な経済的損失を招くことが多くの機関で予想されています。

関西大学の宮本勝浩名誉教授は、延期の場合は約6,408億円の経済損失が発生すると試算しています。(http://www.kansai-u.ac.jp/mt/archives/2020/03/2020_19.html

またこの延期によって、新型コロナウイルス感染が収束したとしても、インバウンド市場の拡大は、かなり遅れることになるでしょう。

【インバウンド集客】日本に来る訪日外国人ってどのくらい?

現在の事態が発生するまでは、訪日外国人や在留外国人は、年々増加傾向にありました。東京オリンピック開催後もその傾向はしばらく続き、観光・インバウンド市場はさらに拡大することが予想されてきました。

観光庁の調査によれば、2005年に521万人であった訪日外国人観光客数が、2016年には2404万人に達しています。

日本政府観光局(JNTO)の調査によれば、その数は、2018年には3000万人を突破しており、その増加率の高さが見てとれます。

しかし、この事態を受け、当面はかなり状況が変化することは言うまでもありません。事実、日本観光局(JINTO)による2020年の最新調査では、コロナウイルスの感染がピークに達する前の1~2月でさえ、去年の訪日数を下回っています。

新型コロナウイルスの影響により入国規制が入り、どれだけ訪日外国人の数が変わるのか3月以降の動向には注目が必要ですが、インバウンド市場に影響が出ることは言うまでもありません。オリンピック需要や、さらに増加するはずだったインバウンド需要に期待をしていた事業は、先行きに不安を感じるのではないでしょうか?

ここから先は、そんな不安を解消する、見落としがちですが、実は既にある在留外国人マーケットについて解説していきます。

すでにある在留外国人市場?

旅行などの訪日外国人が増加していた一方で、在留外国人の労働力にも期待が高まっていました。(詳細

日本国内では高齢化が進んでおり、労働人口の減少が懸念されています。その為、その対応策として外国人労働者の受け入れが推奨されてきたのです。例えば、2017年には、外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(技能実習法)が施行され、外国人技能実習制度が始まりました。

日本全体での受け入れ制度は、まだまだ整っていく段階ではありましたが、既に多くの外国人労働者が見られるようになりました。法務省の統計(2019年6月実施)によると、在留外国人の総数は約282万人を超えました。こちらはその内訳となっています。

こうしてみると、在留資格に関係なく日本人と同様に働くことができる永住者や定住者、配偶者等など多くの割合を占めていることが分かります。

言い換えれば、日本で消費活動を行う外国人は、旅行などで短期滞在する外国人以外にも多く存在するということです。

在留外国人への影響はあったのか?

ここまで読んでいただければ、国内には既に多くの在留外国人がいることは、理解して頂けたのではないでしょうか?

訪日外国人が減ってしまっている間でも、在留外国人を集客することは可能ということです。

しかし、中には今回の一件で、「日本に対する外国人の興味関心そのものが変わってしまったのではないの?」という方もいるかもしれません。東京オリンピックの延期に加え、日本国内でも新型コロナウイルスの流行が進み、海外では一部でアジア人に対する差別などが見られた等のニュースなども報じられています。

では、外国人の意識は日本における新コロナウイルス流行の影響で、変化があったのでしょうか?現時点ではそれほど日本に対しての印象は変わっていないと言えます。そのことに関して解説している記事が別途ございますので、詳しくはこちらをご参照ください。

【インバウンド集客】外国人集客の対応策

ここからは具体的に、現在の状況でも直ちに対策を取ることができる「在留外国人への集客方法」について解説していきます。

既にこれだけ、多くの在留外国人が存在しているにもかかわらず、集客やオンラインアプローチが難しくなっている要因は、

  • 日本人顧客と同じアプローチをしてしまっている
  • 顧客がどこに潜在しているか分かりにくい

ということが挙げられます。

在留外国人はどうやって集客する?

実際に弊社のお客様でも、上記のようなお悩みに困っているお客様が多くいらっしゃいました。今回は、弊社サービスの1つ「Guidable Japan」を使ったプロモーションを事例に、どのようなプロセスでお客様の課題解決に至ったのかご説明させて頂きたいと思います。

Guidable Japanは、日本に住む外国人向けに生活の便利情報やおすすめのスポット、最新の流行情報などを提供している在留外国人向けの情報メディアです。国内の多くの在留外国人の方にご利用いただいております。

 

事例①京都和食飲食店

まず初めに京都のとある和食飲食店様の事例をお話ししていきます。

一般的に、和食飲食店は、外国人からの需要が高く通常の飲食店比べれば、訪日外国人の集客はしやすいと考えられるでしょう。

しかし、一方で京都という土地柄から競合が多く、外国人への認知度を特出して高めるといった点で課題がありました。また、リピーターとして期待できる在留外国人の顧客獲得も課題となっていました。

そこで、重要になってくるのが外国人の目線になって考えるということです。当たり前のように感じられるかもしれません。しかし、実は多くの場合これがなされていません。例えば外国人はどのような英単語を散りばめれば、お店に興味を引くのか、お店のどのような点を魅力に感じるのか、日本人に認知させるのとは違うノウハウが必要なのです。

そこで弊社では、蓄積されてきた外国人プロモーションのノウハウを駆使し、外国人ライターによる記事作成をさせて頂きました。

その結果、2カ月間で2000PV以上達成し、新規外国人顧客の獲得をお手伝いさせて頂きました。

事例②SIMカードモバイルキャリア

続いては、とあるSIMカードモバイルキャリア様の事例をお話しさせて頂きます。

あまり良く知られていませんが、外国人労働者や留学生にとって日本の携帯電話の申込システムは、複雑で様々な問題を抱えていました。言語の問題ももちろんですが、銀行口座や支払い方法の問題で外国人に不利な状況が続いていました。

その状況やニーズに応えたSIMカードの製品を、プロモーションしたいということで、弊社でもお力添えをさせて頂きました。たしかなニーズがある一方で、日本では、モバイルキャリアという業界において、ご存じの通り圧倒的な競合がおり、商品を必要としている外国人までに上手く到達させられないという課題がありました。

そこで弊社では、ターゲットを選定した効率的なプロモーションを実施。加えて、外国人にとってわかりやすく、SIMカードのメリットに訴求した記事作成と記事を通じたSIMカード販売を行いました。

その結果、毎月3件ずつ購入数増加し、お役に立つことができました。

共通して言えることは、在留外国人の特殊な需要に対して、外国人目線に立ってアプローチを少し変えるだけで顧客を獲得できるということです。

まとめ

  • 今後の訪日外国人動向は、引き続き注意が必要
  • 日本国内には在留外国人市場が既に存在している。
  • 在留外国人には日本人とも旅行者とも別のアプローチが必要

以上のことについて解説致しました。

在留外国人の集客やプロモーションについてお悩みでしたら、弊社の方でも随時ご相談を承っております。お気軽にお問い合わせください。