少子高齢化や転職者の増加により、建設業界では人手不足が深刻化しています。
こうしたなかで、外国人の採用を検討している企業は少なくありません。

本記事では建設業界の企業が外国人を雇用するメリットや、外国人が建設業で働く際に必要な在留資格について解説します。

人手不足が深刻化する建設業界の実態

まずは、建設業における日本人・外国人労働者の現状と関係性についてデータを用いて説明します。

建設業界の約7割が人手不足、倒産数も増加

出典:帝国データバンク 「建設業」倒産動向

建設業の人手不足は業界内の約7割にもおよび、コロナ前よりも深刻化しています。人手不足の主な要因として、「職人の高齢化」「新卒・若手人材の応募減少」「大手企業による職人の引き抜き」などが挙げられます。

また2023年の建設業倒産数は1600件を超え、過去5年間で最多となりました。とくに中小企業では「人手不足による建設コストの上昇」の影響を受けやすく、近年の資材高騰と同時に人材不足が発生していることから、倒産が目立っています。

参考:帝国データバンク 「建設業」倒産動向

建設業に就く外国人労働者は増加している

出典:厚生労働省 「外国人雇用状況」の届出状況まとめ
※オレンジ色の斜線が建設業に該当します

建設業における就業者数は減少していますが、外国人労働者数に限っては年々増加しています。
これは、日本人労働者の減少による労働力不足を補うために、外国人労働者が重要な役割を果たしていることを意味しています。

日本政府は労働力不足を解消するために、外国人労働者の受け入れを促進する制度を整備しています。
今後はこの制度を活用して外国人労働者を受け入れる企業を増やすことで、建設業の人手不足を解消し、企業の存続をはかることが期待されます。

参考:厚生労働省 「外国人雇用状況」の届出状況まとめ

建設業で雇用できる外国人の在留資格まとめ

建設業で外国人を雇用するには、以下のいずれかの在留資格を持っている人材を採用することが前提となります。

技術・人文知識・国際業務、技能、特定技能、技能実習、永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者、留学、家族滞在、文化活動

各在留資格で可能な業務範囲が異なるため、ここからはその内容について解説していきます。

就労系の在留資格

技術・人文知識・国際業務

略して「技人国(ぎじんこく)」と呼ばれるこの在留資格は「外国人労働者の専門性を活かすこと」を目的としています。
そのため、技術的な業務や知識を生かす業務に就くことができます。現場作業などの単純労働はできません。

【例】技術・人文知識・国際業務の業務

現場監督、施工管理、CADオペレーター、通訳・翻訳、営業、マーケティングなど

外国人採用でよく聞く「技術・人文知識・国際業務(技人国)」ビザとは? 取得する条件、雇用する際のポイント、注意点を解説

技能

「技能」は「外国で考案された高度な技術を使って日本で働くこと」を目的とした在留資格です。
ゴシック様式やロマネスク様式、中国建築などの日本にない(外国特有の)建築を建てる場合のみ雇用でき、現場作業に就くことが可能です。
ビザを申請する際に業務内容を国に提出する必要があり、外国特有ではない建築に関する業務には従事できません。

参考:出入国在留管理庁 在留資格「技能」

特定技能1号・2号

「特定技能」は人手不足となっている特定産業分野において「即戦力となる外国人材を受け入れること」を目的としています。
建設業は特定産業分野に指定されており、建設土木、建築、ライフライン、設備などにおいて外国人雇用が可能です。

特定技能外国人は分野に関するある程度の知識や技術を持っている人材のため、企業内の様々な業務に就くことができます。単純労働をおこなうことも可能です。

在留資格「特定技能」についてぜんぶわかる|制度の概要・受け入れや支援の方法・関連機関の役割をまるっと解説

技能実習1号・2号・3号

「技能実習」は途上国などの「母国で活かせる技能の習得を目指し、日本で人材を育成(実習)すること」を目的としています。
可能な業務は作業ごとに細かく分類されており、現在は90職種165作業が対象作業とされています。
技術を教えるための在留資格のため、一つの作業だけを繰り返しおこなう単純労働は不可となっています。

技能実習生の受け入れが可能な90職種165作業を解説! 受け入れるメリット、特定技能への移行についても知りましょう

身分系の在留資格

永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者

身分系と呼ばれるこれら4つの在留資格は、就労制限がないため日本人と同じように雇用が可能です。つまり、単純労働を含めた建設業のすべての業務において就労ができます。

「身分系」の在留資格 全4種類|就労系との違い、採用するメリットについて詳しく解説

就労系、身分系以外の在留資格

留学・家族滞在・文化活動

これら3つの在留資格は、就労により収入を得ることは原則認められていません。
ただし出入国在留管理局で「資格外活動許可証」を取得している場合は、条件付きでアルバイト雇用が可能になります。
たとえば「1週間の労働時間が28時間以下であること」という労働時間の制限がありますが、これを守れば現場での単純労働にも就くことができます。

アルバイトで採用できる在留資格は? 資格外活動許可が必要な資格はある?

建設業で外国人を雇用するメリット

外国人雇用によって得られるメリットはさまざまあります。

メリット① 若い労働力が確保できる

若者は新しい技術やその応用方法に対する理解が早く、柔軟性や積極性が高いので積極的に採用したいと考える企業は少なくありません。
若い労働力を確保することが難しくなると、建設業の未来に対する不安も募ります。

日本では「少子高齢化」や「転職市場の活発化」が進み、若手社員の確保が次第に困難になっています。
しかしながら厚生労働省の発表によると、外国人労働者の数は「20〜29歳」の割合が最も多く、その数は年々増加していることがわかります(コロナ禍を除く)。
そのため若い外国人労働者を採用することで長期的に人材不足を解消でき、建設業の企業存続に良い影響を与えることが期待できます。

参考:厚生労働省 在留資格別×年齢別にみた外国人労働者数の推移

メリット② 労働意欲が高く、社内のモチベーションが向上する

就労目的で来日した外国人の中には「日本の技術を学びたい」「家族のためにもっと稼ぎたい」と考えていて働く熱意や意欲が高い人が多くいます。その意欲は業務に対する積極性や責任感としてあらわれます。

たとえば、外国人労働者が真剣に作業に取り組む姿や、効率的な働き方を学ぶ姿を見ることで、教える側の日本人労働者も自身の業務に対する意識を高めることができます。
その結果として、企業全体の生産性向上につながる企業も少なくありません。

メリット③ 短期間で大量募集できる

日本で暮らす外国人の中には「働きたくても働き口が見つからない」という人が多くいます。
たとえば、外国人留学生の就職に関する調査によると、日本での就職を希望している人のうち2割が就職先を見つけられていません。
その理由として最も多かった回答が「外国人向けの求人が少ない」ということでした。

このような状況から、外国人向けの求人を出した企業には多くの応募者が集まる傾向があります。
限られた求人情報に対して応募者が集中している今のうちに、外国人採用を始めると大量採用のチャンスが広がります。

こういった短期間・大量採用の実績については、後項で紹介していきます。

参考:文部科学省 外国人留学生の就職促進について

メリット④ 政府の支援プログラムが利用できる

外国人労働者の雇用には、政府の助成金や補助金を活用することができます。これにより、雇用コストの削減や研修プログラムの充実が図られ、企業の経済的なメリットが生まれます。
また、政府との協力により、外国人労働者の雇用に関する法的な問題や手続きをスムーズに進めることもメリットとして挙げられます。

外国人雇用で使える助成金・補助金一覧|自社に合う助成金・補助金を見つけて賢く外国人を採用しよう

建設業での外国人労働者の採用事例を紹介

ここからは、在留外国人向け求人媒体である「Guidable Jobs(ガイダブル・ジョブス)」を利用して、外国人採用に成功した事例を紹介いたします。

【事例1】即戦力人材の採用に成功!

  • 掲載日数:90日
  • 採用者数:1名
  • 企業のサポート内容:研修期間あり、レベルに応じて昇給あり、多数の外国籍者が勤務している環境

外国人労働者は労働条件に対してとくに敏感なため、求人情報に明確な昇給基準を記載しました。
目標意識の高い人材からの応募が多く、結果的にスキルの高い人材(技術・人文知識・国際業務)の採用に成功しました。

【事例2】人口の少ない地域も、掲載後すぐに多数の応募者を獲得!

  • 事業所所在地域(市区町村)の在留外国人数:約520人
  • 掲載日数:90日
  • 採用者数:2名
  • 企業のサポート内容:未経験者大歓迎、制服・道具支給、技能手当あり、皆勤手当あり、家族手当あり

掲載開始1週間で8名の応募があり、3か月間で合計67名をご紹介。ご検討後、2名の採用が決まりました。
在留外国人の少ない地域ですが、外国人向けの求人数が少ないため隣県からの応募者も多く、最適な人材の採用に成功しました。

また、在留外国人の少ない地域に暮らす外国人は「身分系」の在留資格を持っていることが多いです。就労制限がなく、長期就労を見込めるといったメリットがあります。

【事例3】身分系在留資格を持つ、若年層の外国人の採用に成功!

  • 掲載日数:90日
  • 採用者数:1名
  • 企業のサポート内容:未経験者大歓迎、スキルアップ応援、オンライン研修あり、免許取得費補助、福利厚生サービス利用企業

募集要項には「長く働ける方を希望」と記載。21名の応募者のなかから、1名を採用しました。
「日本語の読み書きができなくても可」といった低めの日本語要件に加え、各種サポート体制が充実していることを目立つ所に記載することで「若年層(20代)」かつ「身分系」という長期就労を見込める外国人採用に成功しました。

さいごに

企業が外国人労働者を受け入れるメリットは大きく、彼らは建設業の未来を支える大きな力になります。
雇用後に長期的に働いてもらうためにも、文化の違いやコミュニケーション方法を理解してより良い関係を築いていきましょう。