「技術・人文知識・国際業務(技人国)」ってどんなビザ?|取得要件と採用のコツを解説
日本で働く外国人の数は年々増え、企業が世界中から優秀な人材を求める動きも広がっています。
その中でも「技術・人文知識・国際業務(通称:技人国)」ビザは、専門的な知識や経験を活かし、オフィスでの仕事に就くための主要な就労ビザとして注目されてきました。
この記事では、技人国ビザの基本的な仕組みや取得要件、企業が活用する際のポイントを解説します。
目次
在留資格「技術・人文知識・国際業務」とは?
「技術・人文知識・国際業務」ビザは、日本の会社で専門的な仕事をするための在留資格です。
大学や専門学校で学んだ知識、または母国での実務経験をいかして働ける仕組みで、おもにオフィスワークが中心となる職種に向いています。
もともとは「技術」と「人文知識・国際業務」の2つにわかれていましたが、2015年にひとつにまとめられ、現在のかたちになりました。
ポイントになるのは以下の3点です。
- 「ホワイトカラー」向けの資格: プログラミングや海外営業、通訳など、学術的な知識や専門性が求められる業務が対象です。
- 「専攻」と「業務」の関連性が必須: 大学や専門学校で学んだ内容と、入社後の仕事内容が一致している必要があります。
- 「単純労働」は不許可リスク大: 配膳、清掃、レジ打ち、工場ラインなどの現場作業が主業務となる場合は、ビザが許可されません。
【最新】技人国ビザで働く外国人の推移
出入国在留管理庁の発表によると、2025年6月末時点で技人国ビザを保有する外国人は458,109人にのぼります。
2020年時点では約28万人だったため、わずか5年でおよそ17万人も増加しました。
このビザを利用する外国人は年々増えており、ITエンジニアや海外営業、通訳などの分野で、今後も企業の貴重な戦力になると期待されています。
参考:出入国在留管理庁 令和7年6月末現在における在留外国人数について
他の就労ビザ(特定技能・技能実習)とは何がちがうの?
「現場での作業はできるのか?」「家族は呼べるのか?」など、よく比較されるほかの資格との違いを表にまとめました。
| 項目 | 技人国 | 特定技能1号 | 技能実習 |
| 主な目的 | 専門的・技術的人材の活用 | 人手不足分野の労働力確保 | 発展途上国への技術移転(貢献) |
| 主な職種 | エンジニア、営業、通訳など | 介護、建設、外食、農業など16分野 | 製造、農業、建設等の現場作業など |
| 学歴・経験 | 大学・専門学校卒以上 | 試験合格(学歴不問) | 不要 |
| 単純労働 | 不可 | 可能 | 不可 |
| 家族の帯同 | 可能(配偶者・子) | 不可 | 不可 |
| 在留期間 | 制限なし(更新継続可) | 通算最大5年 | 通算最大5年 |
技人国ビザの専門領域は? 3つの分野と対象職種
「技術・人文知識・国際業務」ビザで認められている仕事は、大きく3つの分野にわけられます。まずは全体の概要を確認しましょう。
| 分野 | 概要 | 代表的な職種例 |
| 技術 | 理学・工学等の知識を活かす業務 | システムエンジニア、機械設計、建築設計、ITコンサルタントなど |
| 人文知識 | 経済・法律等の文系知識を活かす業務 | 営業、マーケティング、企画、経理、人事、商品開発など |
| 国際業務 | 外国の文化や語学力を活かす業務 | 通訳・翻訳、語学講師、海外取引・貿易など |
ここからは、各分野の詳細と具体的な事例を見ていきます。
「技術」分野の仕事

理系の知識を活かす仕事が、この分野にあたります。大学等で学んだ理論にもとづき、設計や開発、分析などの専門性の高い業務に関わることが求められます。
具体例
- 大学で情報工学を学んだ人が、ソフトウェアの開発(SE・プログラマー)に携わる
- 電気電子工学の知識をもとに、スマートフォンや家電製品の回路を設計する
- 機械工学を学んだ人が、自動車メーカーでエンジンや制御システムの設計を行う
「人文知識」分野の仕事

文系の知識や、論理的な思考力をいかせる仕事がこの分野です。経理やマーケティング、法務、企画、営業などが該当します。
実際に扱う分野と、大学等で専攻した学問との関連性が、審査のポイントになります。
具体例
- 経済学を学んだ人が、会社のマーケティングや経営戦略を担当する
- 法学部出身の人が、契約書の作成やコンプライアンス管理を行う
- 心理学や社会学の知識をもとに、人事部で採用計画や職場環境の改善に取り組む
「国際業務」分野の仕事

外国語や文化の知識を活かして、日本と海外をつなぐ役割を果たす仕事がこの分野です。
語学力だけでなく、外国人ならではの感性や文化的な背景が必要な業務も対象となります。
具体例
- 留学経験を活かして、観光業やホテルで通訳として働く
- 自分の母国語と日本語を使いながら、貿易会社で海外取引の交渉や翻訳を行う
- 国際関係や文化を学んだ人が、日本の商品を海外に紹介する海外広報に就く
※ホテルのフロント業務であっても、通訳が主業務であれば認められる場合がありますが、審査は厳密に行われます
「技術・人文知識・国際業務」の取得要件は?

ビザ取得には「本人側」と「企業側」の両方の条件を満たす必要があります。
本人側の要件(学歴・実務経験)
申請者は、次のいずれかの条件を満たしている必要があります。
現在海外に住んでいる場合でも、卒業証明書や職歴を示す書類がそろっていれば申請は可能です。
学歴
日本または海外の大学・短大・大学院を卒業していること、もしくは日本の専門学校で「専門士」を取得していることが求められます。
実務経験
学歴がない場合は、分野ごとに一定年数の実務経験が必要です。
技術分野・人文知識分野では10年以上、国際業務では3年以上の経験が基準となります。
IT分野の特例
日本の「情報処理技術者試験」や、海外で認められている特定のIT資格を持っている場合、学歴や年数の条件が緩和されることもあります。
企業側の要件
次に、受け入れる企業側の条件です。外国人を雇用する体制が整っているかどうかも、しっかり確認されます。
経営の安定性
経営状態が安定しており、長期的に雇用を続けられる体制であることが前提です。
業務の適正性
雇用契約書には、仕事内容・勤務時間・勤務地などが具体的に記載されている必要があります。
給与水準
同じ仕事をする日本人社員と比べて、著しく低い給与設定は認められません。日本人と同等以上の給与を支払うことが求められます。
素行の要件
技人国ビザの審査は、書類の内容だけで判断されるわけではありません。申請者本人の行動や、これまでの生活態度も確認対象となります。
犯罪歴や滞納の有無
過去に重大な犯罪歴がないこと、税金や社会保険料をきちんと納めていることが重要です。
留学時代の素行
以前に日本へ留学していた場合、授業の出席率が極端に低くないかが見られます。
また、アルバイトの時間が法律で定められた上限である週28時間を超えていないことも確認されます。
「国内在住」の外国人を技人国ビザで採用するには?
すでに日本に住んでいる外国人を採用する場合でも、その人が持っている在留資格に合わせた手続きが必要です。
見た目ではわかりにくい部分ですが、ここを間違えると採用後にトラブルになることもあります。
たとえば「留学生を卒業後に雇う場合」や「ほかの会社から転職してくる人を受け入れる場合」「家族滞在など別の資格で日本にいた人を採用する場合」では、申請内容や注意点がそれぞれ異なります。
代表的な3つのケースに分けて、採用までの流れと確認しておきたいポイントを整理していきましょう。
留学生を新卒採用する

留学生を卒業後に正社員として雇う場合は、在留資格を「留学」から「技術・人文知識・国際業務」へ変更する手続きが必要になります。
全体の流れは、次のようになります。
- 卒業予定の留学生と内定契約を結ぶ
- 雇用契約書を作成し、在留資格変更の申請を行う
- 入管での審査を経て、許可が出れば就労が可能となる
主な提出書類
- 在留資格変更許可申請書
- 雇用契約書(仕事内容・給与・勤務地が明記されたもの)
- 卒業見込み証明書、または卒業証明書
- 成績証明書
- 履歴書、職務経歴書など
- 企業概要書類(会社パンフレットや登記簿謄本)など
申請のタイミングは、卒業予定日の前後が基本です。そのため、できるだけ早めに準備を始めておくと安心につながります。
なお、内定が出ていたとしても、在留資格が変更されるまでは正社員として働けません。
その期間は、アルバイトの範囲を超える業務を任せられない点にも注意が必要です。
他社から転職してくる人を採用する

すでに「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持っている外国人を採用する場合、原則として会社側が資格変更の申請を行う必要はありません。
ただし、次の点については事前に確認しておきましょう。
- 転職後14日以内に、本人が「所属機関等に関する届出」を入管へ提出すること
- 新しい仕事内容が、現在の在留資格の範囲内におさまっているか
- 業種や職種が大きく変わる場合、資格変更が必要になる可能性があること
仕事内容が大きく変わると「専門性が変わった」と判断され、更新時に不利になることもあります。
そのため、採用前の段階で、その職務が技人国ビザの対象になるかを確認しておくことが大切です。
ほかの在留資格から技人国に変更する

「技術・人文知識・国際業務」以外の在留資格を持つ人を正社員として採用する場合は、在留資格変更の申請が必要です。
たとえば、「家族滞在」や「特定活動」から変更するケースでも、学歴と仕事内容の関係は厳しくチェックされます。
主な提出書類
- 在留資格変更許可申請書
- 雇用契約書
- 職務内容との関連性や採用の背景、本人の意思を説明する理由書
- 卒業証明書や職歴証明書など、学歴や経歴を示す書類
- 企業概要書類(会社パンフレットや登記簿謄本)など
このケースでは、学歴や職歴が実際の仕事とどれだけ結びついているかが、審査の大きなポイントになります。
留学生の場合と比べて説明が難しいことも多いため、理由書は丁寧に準備しておくと安心です。
また、審査に時間がかかる傾向もあるため、入社時期には余裕を持ったスケジュールを立てましょう。
「海外在住」の外国人を技人国ビザで採用するには?

海外に住んでいる外国人を日本に呼び寄せて採用する場合、企業が「代理人」となり、日本の出入国在留管理局へ手続きを行う必要があります。
このときに行うのが「在留資格認定証明書交付申請(COE)」です。
COEの申請は、海外から人材を採用するうえで欠かせない手続きになります。
ここを正しく進められるかどうかが、その後の流れを左右します。
呼び寄せの手順とポイント
海外在住の人を採用する場合、手続きは段階ごとに進んでいきます。全体の流れをあらかじめ把握しておくと、準備もスムーズです。
① 雇用契約の締結
まずはオンラインなどで面接を行い、条件に合意できたら雇用契約書や労働条件通知書を取り交わします。
この時点で、仕事内容や給与をはっきりさせておくことが大切です。
② 在留資格認定証明書(COE)の申請
次に、企業が管轄の入管へ申請書類を提出します。本人の卒業証明書や成績証明書の原本、または写しが必要です。
審査には、通常1〜3か月ほどかかるとされています。
③ 証明書の送付
入管からCOEが交付されたら、その原本を海外に住む本人へ送ります。
現在は電子交付を選ぶこともでき、メールで送付しても問題ありません。
④ 現地大使館でのビザ申請
本人は、住んでいる地域を管轄する日本大使館や領事館へ行きます。
COEとパスポートを提出し、査証(ビザ)の発行を申請します。
⑤ 来日・就労開始
日本の空港に到着すると、上陸許可と同時に「在留カード」が交付されます。
これにより、日本での就労が正式に認められます。
海外採用は、国内採用と比べて手続きに時間がかかります。
その一方で、日本国内では出会えない高度なスキルを持つ人材を、世界中から採用できる点が大きな魅力です。
入国の時期をあらかじめ想定し、余裕を持ったスケジュールで準備を進めることが、海外採用を成功させるポイントになります。
不許可になりやすいケースと対策

技人国ビザの審査は、年々厳しくなっています。以前であれば許可されていたケースでも、最近は不許可となる例が見られるようになりました。
そのため、よくある理由を知ったうえで、事前に対策を考えておくことが重要です。
よくある不許可の理由
業務の関連性不足
大学で学んだ専攻と、実際の仕事内容に関係が見られない場合は、不許可になりやすくなります。
たとえば、法学部を卒業した人が、専門的な説明なしにプログラマーとして働くケースなどが挙げられます。
単純労働の疑い
仕事内容が「専門知識を必要としない」と判断されると、審査は厳しくなります。
「主業務が通訳と書いてあるが、レジ打ちも含まれる」といった働き方は、細かく確認される傾向があります。
会社規模と仕事量の不一致
小規模な店舗で、専任の通訳が必要なほど外国人客がいないと判断される場合、不自然だと見られることがあります。
事前にできる対策
不許可を防ぐためには、採用理由書の内容が重要になります。
「なぜその能力が必要なのか」「なぜその学部出身者が適任なのか」を、第三者にも伝わる形で説明しましょう。
もし判断に迷う場合は、行政書士などの専門家に相談するのも一つの方法です。早い段階で確認しておくことで、申請時の不安を減らせます。
採用後に気をつけること
技人国ビザで外国人を採用したあとも、注意は必要です。ルール違反や手続きの漏れがあると、更新ができなくなるおそれがあります。
こうしたトラブルを防ぐためにも、企業側の継続的なサポートが欠かせません。
在留カードの更新忘れに注意
在留資格には有効期限があり、満了日の約3か月前から更新手続きが可能になります。
手続き自体は本人が行うのが基本ですが、企業としても期限を把握しておくことが大切です。
更新時には「勤務内容」や「待遇」に変更がないかも確認されます。
そのため、雇用契約書の内容を見直し、必要に応じて整えておくと安心につながります。
更新を忘れてしまうと、不法滞在とみなされるおそれがあるため注意しましょう。
配属先や業務内容が変わった場合
社内で異動があったり、仕事内容が変わったりする場合は、現在のビザで認められる業務かどうかを事前に確認しましょう。
たとえば、通訳の仕事から事務作業が中心の部署へ移ると、「国際業務」の範囲から外れてしまう可能性があります。
業務内容が大きく変わると判断される場合は、在留資格の変更手続きが必要です。
副業やアルバイトについて
技人国ビザで働く外国人が、申請時に届け出た業務以外の仕事を行う場合は、原則として「資格外活動許可」が必要になります。
そのため、副業を希望された場合には、仕事内容や勤務時間、届け出の有無をしっかり確認しましょう。
あわせて、企業として副業を認めるかどうか、どこまで許可するのかをあらかじめ決めておくと、トラブルを防ぎやすくなります。
技人国ビザに関するよくある質問(FAQ)
Q. どんな仕事でも技人国ビザは使えますか?
A. 技人国ビザは、「専門性のある仕事」に限って使える在留資格です。
大学や専門学校で学んだ知識やスキルをいかせる、オフィスワークを中心とした業務が対象になります。
一方で、清掃や配膳、レジ打ち、工場での単純作業などは「単純労働」と判断されやすく、このビザでは認められません。
採用後に、当初の予定とは異なる単純作業を任せてしまうと、不法就労とみなされる可能性もあります。
Q. 技人国ビザの申請には、どれくらいの期間がかかりますか?
A. 申請の内容や時期によって差はありますが、新規取得や在留資格の変更では、3〜4か月ほどかかるのが一般的です。
更新申請の場合は、1〜2か月程度が目安とされています。
ただし、近年は申請件数が増えており、審査に時間がかかる傾向があります。
書類の不備や追加資料の提出を求められると、さらに期間が延びることもあるため、早めの準備が重要です。
Q. 家族を日本に呼ぶことはできますか?
A. はい、条件を満たせば可能です。
技人国ビザを持つ外国人は、配偶者や子どもを「家族滞在」の在留資格で日本に呼ぶことができます。
ただし、生活費を安定して支払える収入があるなど、家族を扶養できる経済力が求められます。
なお、親や兄弟については、特別な事情がない限り呼ぶことはできません。
Q. 「特定技能」の在留資格とは何が違いますか?
A. 「特定技能」は、深刻な人手不足を補う目的で作られた在留資格です。
現場での作業や実務的な仕事ができる点が大きな特徴です。
一方で「技人国」は、学問的な知識や専門的なスキルをいかすための資格で、主にオフィスワークが対象になります。
特定技能は試験に合格すれば学歴がなくても取得できますが、技人国では原則として大学卒業などの学歴が求められます。また、技人国では家族を呼べますが、特定技能1号では原則として家族を呼べない点も違いです。
Q. 「高度専門職」の在留資格とは、どう違いますか?
A. 「高度専門職」は、学歴や職歴、年収などをポイントで評価し、一定以上の点数を持つ人に与えられる在留資格です。
技人国ビザを、さらに優遇した形だと考えるとわかりやすいでしょう。
永住許可までの期間が短くなるほか、親を呼べるなどの特例もあります。
まず技人国ビザで働き、その後に条件を満たして高度専門職へ切り替える人も多く見られます。
Q. 派遣社員として雇用できますか?
A. 派遣社員として雇用することも可能です。
ただし、派遣先で行う仕事内容が「技術・人文知識・国際業務」の要件を満たしている必要があります。
審査では、派遣先での業務内容が細かく確認されます。
そのため、直接雇用の場合よりも書類の準備や説明が複雑になりやすく、派遣期間や具体的な職務内容を明確に示すことが重要です。
さいごに
「技術・人文知識・国際業務(技人国)」ビザは、専門性を持つ外国人材を迎え入れるための、代表的な在留資格です。
ただし、審査では「本人の学歴」と「実際に行う仕事の内容」が、きちんと結びついているかどうかが重視されます。
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