日本では多くの留学生が勉学に励んでいますが、卒業後に日本で就職する留学生は全体の40%ほどにとどまっています。

外国人材の受け入れが進むなか、留学生を新卒採用したいと考える企業も増加しています。
本記事では、留学生を採用する際に必要となるビザと、その取得手続きについて解説します。

留学生と外国人労働者のビザの違い

まず前提として、本来ビザは「査証」という日本大使館で発行される入国許可証のことを指します。ビザ(査証)を発行するために必要なものが「在留資格」ですが、一般的にはこの在留資格を含めた通称として「ビザ」と呼ぶことが多いです。

本記事で言う「ビザ」も、一般的な通称と同様に在留資格の総称として記載しています。

「勉強」が目的か「就労」が目的か

一般的に、ビザは目的別に3種類に分けられています。

  • 就労系ビザ:「日本での就労」を目的とする外国人が取得するビザの総称
  • 身分系ビザ:外国人本人の「家族関係」や「身分」に基づいて取得するビザの総称
  • その他のビザ:身分系ビザの条件を満たさず、就労以外の目的で日本に中長期滞在する外国人が取得するビザの総称

留学生は勉強が目的であるため、その他のビザに含まれる「留学ビザ」を取得しています。
そして卒業後に日本で就職する際は、在留目的が日本での就労に変わります。
そのため、入社前に留学ビザを就労系ビザのいずれかに変更する必要があるということです。

留学ビザから就労系ビザに変更するタイミング

ここからは、留学生に内定を出す時期や入社時期によって異なる、ビザの種類変更のタイミングについて解説します。

ケース① 在学中に内定を出し、卒業後すぐに入社する場合

卒業月の約3か月前に「従事する業務に適切なビザ」への変更申請をおこないます。
3月卒業の場合は、一般的に12月〜1月が変更申請のタイミングとなります。

申請時は卒業前であるため、卒業見込証明書を用いて申請します。
そして変更許可通知を受け取ったら、実際に卒業してから卒業証明書を提出して新しい在留カードを受け取ります。
通常は申請後1〜2ヶ月程度で変更許可がおりますが、混雑具合によっては予定より時間がかかる場合があります。ですので、入社日が決まっている場合はなるべく早く申請することをおすすめします。

ビザの変更時には留学生と雇用先企業の双方に対して審査があり、大学での専攻内容と業務内容との関連性が厳しく審査されます。

外国人留学生を新卒採用するには? 留学生の就職状況、選考時の確認事項や必要書類、在留資格変更の方法について解説

ケース② 在学中に内定を出し、入社までに待機期間がある場合

学校によっては秋入学・秋卒業の場合があります。たとえば9月に卒業し、4月に入社するとなると約半年間は「待機期間」となります。

こういった場合は、ビザの変更申請が2回必要になります。
具体的には、卒業月の約3か月前に待機期間用の「特定活動ビザ」への変更申請をおこないます。その後、入社日の約3か月前に「従事する業務に適切なビザ」への変更申請をおこないます。
これらのビザの申請書類は企業名や職務内容を証明する必要があるため、基本的に内定先の企業のフォローが必要です。

参考:出入国在留管理庁 大学等の在学中又は卒業後に就職先が内定し採用までの滞在を希望する場合

ケース③ 卒業済みの元留学生に内定を出す場合

日本人の感覚とは異なり、外国人留学生は在学中に就職先を決めることにこだわらず、卒業後に就職活動をおこなうことも少なくありません。

卒業後に就職活動をしている外国人は、自身でビザを「留学」から就職活動を継続するための「特定活動ビザ」へ変更しています。
この場合の特定活動ビザの在留期間は、取得から最長1年(初回6か月・更新後6か月)と決められています。
この期間中に内定を出した場合は、入社日に間に合うよう早急に「従事する業務に適切なビザ」への変更申請をおこないます。

参考:出入国在留管理庁 本邦の大学等を卒業した留学生が就職活動を行う場合

留学生のビザを変更する際に注意すること

前述したビザ変更のタイミングに加えて、変更申請をおこなう前にチェックしておきたいポイントを紹介します。

ポイント① 大学での専攻と業務内容の関連性

就労ビザは全部で19種類あります。この中から従事する業務に適切なビザを取得することで、実際の就労が可能になります。
ビザの変更審査では、大学での専攻内容と内定先の業務内容の関連性が重要視されます。
この関連性が明確でない場合、ビザの変更が認められないことがあります。
したがって、学歴や資格を証明できる状態であることが大前提だということを理解しておきましょう。

就労ビザの取得に必要な条件

ポイント② 申請書類の準備

ビザの変更申請には多くの書類が必要です。
とくに、内定先の企業名や職務内容を証明する書類、留学生の学歴を証明する書類は非常に重要です。
申請後、許可が下りるまでには一般的に1〜2ヶ月程度かかると言われていますが、書類に不備があると許可通知が遅れる可能性があるため、スケジュールには余裕を持って手続きを進めることが大切です。

ビザの変更手続きには、留学生本人と内定先企業の協力が不可欠です。
企業側もビザ申請の流れや必要書類を理解し、留学生をしっかりとサポートする体制を整えておきましょう。

就労ビザの取得期間はどれくらい?

ポイント③ 在留資格の制限

変更許可通知が来ても、新しい在留カードを受け取るまでは手持ちの在留カードに適した範囲内で活動しなければなりません。

「留学」ビザから「就労系ビザ」への変更許可がおりた場合、実際に卒業してから卒業証明書を提出することで在留カードを受け取れます。
しかし、在留カードを受け取るまでは「留学生」として活動しなければなりません。
アルバイトをする場合は、資格外活動許可を得たうえで就労制限を守る必要がありますので、注意しましょう。

さいごに

外国人採用を検討する企業にとっては、すでに日本語能力を持ち日本文化に馴染んでいる留学生を採用することのメリットは大きいです。

採用の際には、ビザ変更の手続きをはじめ、留学生が安心して働ける環境を整えることが大切です。
将来的に増加が見込まれる留学生の採用を早期に導入し、優秀な人材の雇用を成功させましょう。