外国人が日本で働くためには、就労ビザが必要です。
外国人の雇用を検討している方は「どのような条件をクリアしていれば就労ビザを取得できるか」を知っておくべきでしょう。

本記事では就労ビザの基礎知識から取得できる外国人の基本条件についてを紹介します。

就労ビザの基礎知識

就労ビザとは一般的に「日本での就労」を目的とする外国人が取得する在留資格のことです。
本来、ビザは「査証」という日本大使館で発行される入国許可証のことを指します。
しかし、ビザ(査証)を発行するために必要な「就労系の在留資格」のことを通称で「就労ビザ」と呼ぶことが多いです。

本記事で言う「就労ビザ」も、一般的な通称と同様に就労系の在留資格の総称として記載しています。

就労ビザの種類

就労ビザは全部で19種類あります。

  1. 外交
  2. 公用
  3. 教授
  4. 芸術
  5. 宗教
  6. 報道
  7. 高度専門職(1号・2号)
  8. 経営・管理
  9. 法律・会計業務
  10. 医療
  11. 研究
  12. 教育
  13. 技術・人文知識・国際業務
  14. 企業内転勤
  15. 介護
  16. 興行
  17. 技能
  18. 特定技能(1号・2号)
  19. 技能実習(1号・2号・3号)

外国人労働者を雇用する場合は、対象の外国人が上記のいずれかを持っている、かつ在留資格の種類が任せたい業務に対して適切である必要があります。

各在留資格で許可されている業務内容や、職種については以下の記事を参考にしてください。

【2024年最新版】外国人採用の始め方|外国人材を初めて雇用する企業が知っておくべき採用フロー、注意点などを解説

在留カードとは

出典:出入国管理庁ホームページ

在留カードとは、日本に中長期間(3か月以上)在留する外国人に対して交付されるカードです。
在留資格の種類や在留期限などが記載されており、在留外国人は常時携帯する義務があります。

外国人を採用する際は、就労可否を判断するために在留カードを提示してもらう必要があります。
もし在留カードを持っていない(種類が適切ではない)外国人を雇ってしまうと「不法就労助長罪」という罪に問われ、処罰の対象となってしまいます。

ですので、企業担当者は「在留カードとは何なのか」「カードの確認方法」について理解しておく必要があります。

在留カードの詳細については以下の記事を参考にしてください。

在留カード(レジデンスカード)とは? 基礎的な内容から更新まで解説! 期限切れにも注意しましょう

外国人が就労ビザを取得するための条件

外国人が日本で就労ビザを取得するためには、いくつかの基本的な条件を満たす必要があります。
在留資格を取得する際には資格の種類に応じた申請書類が必要となりますが、まず最初にクリアしなければならない第一段階の条件は共通しています。

条件1. 学歴・職歴・資格が証明できる

一般に、就労ビザは「高度な知識や技術」を持った外国人にのみ与えられます。
そのため、就労ビザを取得するには、学歴・職歴・資格によって「業務に関連する知識や技術」を持っていることを証明する必要があります。

たとえば「技術・人文知識・国際業務」の技術分野で就労ビザを取得するためには、大学の理系学部を卒業していることが一般的な条件です。
また「技能」の就労ビザを取得するためには、関連する業務での10年以上の勤務経験が必要です。

在留資格の審査はすべて書類をもとにおこなわれるため、口頭での説明はできません。
そのため、卒業証明書や成績証明書、実務経験証明書などの書類が準備できるかどうかがひとつの重要な条件となります。

条件2. 就労予定の業務が在留資格に適合している

就労ビザの取得申請の段階で、申請者が企業から内定を得ている必要があります。
具体的には、申請者の学歴・職歴・資格に適合した業務に従事することの証明が求められます。

たとえば、「技術・人文知識・国際業務」の技術分野で在留資格を取得するためには、ITエンジニアとしての内定(採用)証明書が必要です。
しかし、IT企業で通訳業務の内定を得ても、条件には当てはまらないためビザの申請が通らない可能性があります。

また、就労ビザは主に「高度な知識・技術」を必要とする仕事に対して許可されるものであり、「単純労働」は基本的に認められません。
たとえば工場でのライン作業や飲食業での皿洗いなどの反復的な業務は「単純労働」とされ、就労ビザの申請が不許可になる可能性があります。

条件3. 安定的な雇用契約が結ばれている

雇用環境が整っている企業から内定を得ていることを証明する必要があります。一般的には、最低でも1年以上の契約期間が求められます。
正社員であれば雇用の安定性が高いとみなされ、審査に有利になる傾向があります。
ただし、契約社員や派遣社員として雇用されている場合でも、適切な雇用契約が結ばれていれば審査を通過することは可能です。

また、雇用契約の内容は「同一労働同一賃金ガイドライン」に準拠している必要があります。
具体的には、同じ業務を行う日本人労働者と同等の仕事内容であり、国籍や出身地による差別がないことを示す必要があります。そして外国人労働者にも公正な報酬が支払われていることが審査のポイントとなります。

雇用契約の詳細については、事前に内容を明確にしておき就労ビザ申請において問題が生じないようにすることが重要です。

外国人労働者向けの雇用契約書の作り方 作成する際にチェックしたい12のポイントを紹介

就労ビザの審査期間

申請書類の提出から許可通知が出るまでの期間は、一般的には1〜2ヶ月とされていますが、実際には季節や申請の状況によって期間が異なる場合があります。
申請時には、必要な条件をクリアしていることを詳細に証明するため、書類に十分な情報を記載することが重要です。
書類の不備があると、追加資料の提出が求められて審査期間が延びることもありますので、注意が必要です。

審査期間の詳細については以下の記事を参考にしてください。

就労ビザの取得期間はどれくらい? 17種類の在留資格それぞれにかかる日数を紹介

さいごに

外国人を雇用するためには、就労ビザの取得が不可欠です。
審査では学歴や会社の経営状況、給与などさまざまな要素が厳密にチェックされます。

取得条件をしっかりと確認し、事前に準備をして外国人採用を成功させましょう。