すべての都道府県で人口減少が起こる

2023年1月1日の日本の人口は1億2,242万人で、去年より80万人近く減少となりました。
減少数や減少率は、調査が開始された1968年以降で最大になり、なおかつ初めて47都道府県すべてで人口減少が起こりました。

都道府県べつの人口では、東京都がもっとも多く1,326万553人、ついで神奈川県の897万2,702人、大阪府の851万6,503人になっています。

もっとも人口が少ないのは鳥取県で54万1,587人、島根県の64万9,691人、高知県の67万9,769人となっています。
一年で減っている日本の人口をこの人口の少ない県の人口数と比較してみると、日本がいかに難しい問題に直面しているか、またその規模感が肌で理解できるのではないでしょうか。

高齢者の割合はどのくらい? 海外も人口減少中?

日本の65歳以上の高齢者人口は3,627万人で、過去最多になっています。
日本の総人口に占める65歳以上の人口の割合は世界最多で29.1%になり、2位はイタリアの24.1%、3位はフィンランド23.3%とつづいています。

世界も多くの国が高齢者の割合が増加に向かっており、これに伴って起こる人材不足については、世界中で対応が必要な問題となっています

ちなみにイタリアでも2022年の出生数は39万2,600人と過去最低を記録しており、14ヶ月連続で減少しています。

また3位のフィンランドも女性一人あたりの出生数は2020年で1.37人となっており、子育ての支援が充実しているという評判やイメージがあることからも、意外な事実として受け取れられています。

出典:世界銀行

2018年に発表された統計によれば、フィンランドでは20〜59歳の男女の15%が「子どもは欲しくない」と回答しており、先進国全体のライフスタイルの変化と、考え方の変化が顕著になっているといえるでしょう。

日本のニュースから分かること

就活解禁で高校生の争奪戦 バブル期を上まわる

2024年春に卒業する予定となっている高校生の就職活動がはじまった際に、新卒の高校生採用がバブル期の求人倍率を超えているニュースが流れました。

1988年以降に始まった計測ですが、1992年の3.34倍を越えるのは今回が初めて。

求人倍率は3.49倍となっていますが、この数値には大企業なども含まれています。中小企業の採用担当からすると、この求人倍率をはるかに上回る倍率(8倍から9倍)での、新卒高校生の争奪戦が起きている実感を持っている方も多いでしょう。

人手不足倒産が過去最多ペース

従業員の離職や採用難などで人手を確保できないために起こる人手不足倒産ですが、2023年上半期(1-6月)に累計で110件起きており、年半期で100件を超えるのは初めて。

業種では建設業が45件と全体の約4割を占めており、サービス業(21件)、運輸・通信業(20件)、製造業(9件)がつづきます。

参考:帝国データバンク「人手不足倒産」、過去最多ペース 2023年上半期で110件発生、転退職による倒産も増加

人手不足が進むと社会はどうなる?

リクルートワークス研究所の「未来予測2040」には、労働力が不足すると実際に私たちの生活にどんな変化が起きるのかが描かれています。

ドライバーが足りないと?

今は当たり前のように届く荷物も、ドライバーが足りないと荷物が届けられない地域が発生します。
もし人口が過疎が進む地域に住んでいて、オンラインで注文を済ませたいと思ったとしても、配送できない地域が目立つようになります。

このような状況になった時、もし注文者があなた自身なら、自分で車に乗ってどこかへ荷物を取りに行く必要があるかもしれません。

割合としては2040年後に、日本の4分の1が居住不可能になるともいわれているのです。

介護従事者が足りないと?

介護スタッフが足りないと、多くのサービスが手厚いサービスを提供できなくなります。

あるいはサービスが高額になり、家族で面倒をみるケースが増えることが想像できます。

建設業従事者が足りないと?

建設業従事者が足りないと、施工管理やオペレーターができる人材が減っていくため、新たな建築物を作ろうとしたときにこれまで以上に時間がかかるようになります。

インフラとして当然のように使っている、道路もひび割れていたり陥没したままのところが増えてきて、修繕できない状態が長くつづくようになるかもしれません。

問題の解決に必要不可欠なことは?

人口減少、労働力不足という問題を解決するには、一般的に以下のことが必要となるといわれています。

女性の社会進出

国内でも問題解決に対して高い意欲を持つ企業では、女性が働きやすくなるようなさまざまな施策が実施されています。

たとえばメルカリが社員が「思い切り働ける環境にする」ために2016年2月に導入したmerci boxは、以下のような支援が行われています。

◎産休、育休、介護休業の支援 ・・・ これらの休業から復職する場合には、復職一時金を支給します。安心して出産や育児に専念できる環境を整えます。

◎育児、介護休暇の取得 ・・・ 子どもの看護及び家族の介護で休暇を取得する場合は、5日間を特別有休休暇として最大で10日間(1年あたり)まで休暇取得が可能。

◎妊活のサポート ・・・ 高額な費用が発生する不妊治療を行う場合には、所得や年齢の制限なくその費用を会社が一部負担(上限あり)。

など

女性が今以上に社会に進出するには、会社側ができるだけ柔軟な制度を準備する必要があります。

高齢者の再雇用

高齢者の再雇用は人材不足を補う上では非常に大きな施策のひとつです。
とはいえ、やはり肉体的にキツイ業務などは各人の能力や素養に合わせて、周囲が支援をする必要があるでしょう。

外国人採用

日本には旅行者だけではなく、在留外国人も年々増えています。
コンビニ、飲食店、ホテル、小売店、バレエ教室、歯科やクリニックなどでも、日本国籍ではない外国人の方を見たことがある方も増えているのではないでしょうか。

日本人向け媒体で求人を出しても人がこない、ターゲットの年代の人が応募してくれないという悩みを持つ方が増えています。
これまでは外国人採用を考えたこともなかった方も、次第に視野を広げている方が増えています。

 

まとめ|自国の働き手が足りないのはどの先進国も同じ

日本は世界でももっとも65歳以上の人口が多い国ですが、イタリアやフィンランドなど、ヨーロッパの国も後につづいています。
外国で働こうと考える方にとっては、どの国が自分たちにとってもっとも魅力的な国になるのかは、これからの各国の取り組み次第になっていきそうです。