外国人採用を進めるうえで、候補者が持つ「在留資格」の確認は不可欠なプロセスです。

特に、専門的な知識やスキルを持つ人材に多い「技術・人文知識・国際業務」の在留資格については、採用担当者として正しい知識を持っておく必要があります。

本記事では、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の基本から、在留カードの確認ポイント、採用における注意点まで、行政機関の情報を基にわかりやすく解説します。

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はじめに:「技術・人文知識・国際業務」とは?

「技術・人文知識・国際業務」は、日本の公私の機関との契約に基づいて、理学、工学その他の自然科学の分野(技術)、法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野(人文知識)に属する知識を必要とする業務、または外国の文化に基盤を有する思考もしくは感受性を必要とする業務(国際業務)に従事するために設けられた在留資格です。

具体的には、システムエンジニア、設計開発者、経理、法務、通訳・翻訳、語学教師、デザイナー、マーケターなどが該当します。

なぜ在留資格の確認が重要なのか? 不法就労助長罪(出入国管理及び難民認定法 第73条の2)に問われるリスクを避けるため、また、採用した外国人が能力を発揮できる適切な業務についてもらうためにも、在留資格の種類と、それによって許可されている活動内容を正確に把握することが極めて重要です。

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在留カードのチェックポイント:「技術・人文知識・国際業務」の記載箇所と見方

採用候補者から提示された在留カードで、まず確認すべきは以下の項目です。
必ず原本を確認するようにしてください。

(1)在留カード表面

① 顔写真: 本人であるか確認します。

② 氏名、生年月日、性別、国籍・地域

③ 住居地

④ 在留資格: ここに「技術・人文知識・国際業務」と記載されているか確認します。

⑤ 在留期間(満了日): 有効期限が切れていないか、残りの期間は十分か確認します。期限が近い場合は、更新申請中であるかなどを本人に確認する必要があります。

⑥ 就労制限の有無: 「技術・人文知識・国際業務」の場合、「在留資格に基づく就労活動のみ可」といった記載(記載内容は発行時期等により異なる場合があります)が一般的です。原則として、この在留資格で許可された範囲内の業務にのみ従事できます。単純労働などは認められていません。

⑦ 在留カード番号

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(2)在留カード裏面

⑧ 住居地記載欄: 引っ越しなどで住居地が変わった場合に記載されます。

⑨ 資格外活動許可欄: 原則として、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持つ外国人が、その資格で許可された活動以外の収入を伴う活動(アルバイトなど)を行う場合は、事前に「資格外活動許可」を得る必要があります。許可されている場合、ここに「許可」と記載され、許可の範囲(例:週28時間以内など)が記されていることがあります。ただし、「技術・人文知識・国際業務」の活動がおこなわれていることが前提です。

⑩ 在留期間更新等許可申請欄: 在留期間の更新や在留資格の変更を申請中の場合に、その旨が記載されることがあります。申請中であっても、在留期間満了日を経過すると不法滞在となる可能性があるため注意が必要です。

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「技術・人文知識・国際業務」で許可される業務・許可されない業務

この在留資格で最も注意すべき点は、従事できる業務内容に制限があることです。

(1)許可される業務

法務省令で定められた、以下のいずれかに該当する業務です。

  • 技術: 自然科学(理学、工学など)の分野に属する技術または知識を必要とする業務(例:ITエンジニア、機械設計、建築設計など)
  • 人文知識: 人文科学(法律学、経済学、社会学など)の分野に属する知識を必要とする業務(例:経理、法務、コンサルタント、マーケティングなど)
  • 国際業務: 外国の文化に基盤を有する思考または感受性を必要とする業務(例:通訳、翻訳、語学指導、広報、宣伝、海外取引業務、デザイナーなど)

これらの業務は、一定水準以上の専門性が求められます。

(2)原則として許可されない業務

上記の専門的な業務に該当しない、いわゆる「単純労働」とみなされる業務に主として従事することは認められていません。

  • 例:
    • 飲食店での接客、調理補助、洗い場
    • 工場でのライン作業、梱包、仕分け
    • 建設現場での資材運搬、組み立て補助などの現場作業
    • 清掃作業
    • 小売店でのレジ打ち、品出し

【重要】アルバイト・派遣採用における注意点
貴社が募集している職種が飲食店のホールスタッフや建設現場の作業員などの場合、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持つ外国人を、その業務を主たる活動として雇用することは原則としてできません。

前述の「資格外活動許可」を得ていれば、週28時間以内のアルバイトは可能ですが、それはあくまで本来の「技術・人文知識・国際業務」の活動を維持していることが前提となります。

この資格を持つ外国人を単純労働目的で採用することはできませんので、十分にご注意ください。

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採用プロセスにおける確認事項まとめ

「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持つ外国人を採用する際に、各プロセスで確認すべき点をまとめました。

(1)書類選考・面接時

  • 在留カード(原本)の提示を求める: コピーではなく原本を確認します。
  • 有効期限の確認: 在留期間が十分に残っているか確認します。
  • 在留資格の確認: 「技術・人文知識・国際業務」であることを確認します。
  • 就労制限の有無の確認: 原則として制限があることを理解します。
  • (可能であれば)学歴・職歴の確認: 従事予定の業務と、本人の専門性(学歴や職歴)に関連性があるか確認します。(必須ではありませんが、入管での手続きの際に問われる可能性があります)

(2)内定・入社手続き時

  • 従事させる業務内容の最終確認: 予定している業務が「技術・人文知識・国際業務」の範囲内であるか、最終確認をおこないます。単純労働が含まれていないか注意します。
  • 在留カード裏面の確認: 資格外活動許可の有無や、更新・変更申請中でないか確認します。
  • (必要に応じて)雇用契約書の作成: 職務内容を明確に記載した雇用契約書を作成します。

不明な点や判断に迷う場合は、安易に自己判断せず、出入国在留管理庁や、外国人雇用に詳しい行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。

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まとめ:適正な「技術・人文知識・国際業務」人材の採用に向けて

「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持つ外国人は、専門的な知識やスキルを活かして活躍が期待できる人材です。

しかし、採用にあたっては、在留カードの確認を徹底し、許可された業務範囲を正しく理解することが不可欠です。

特に、単純労働は原則として認められない点を念頭に置き、ミスマッチや法令違反を防ぐよう注意しましょう。

「技術・人文知識・国際業務」人材の採用をスムーズに

「技術・人文知識・国際業務」人材の採用における、在留カードの確認や業務範囲の適合性チェックは、手間がかかるうえ、ミスマッチや法令違反のリスクも伴います。 「そもそも、適切な資格やスキルを持つ候補者をどうやって探せばいいの?」「自社の求人に関心を持ってくれるだろうか?」といった採用段階での課題も多いのではないでしょうか。

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