東京で外国人をよく見かけませんか? 円安の影響もあり、日本は観光地として人気が高まっていますから、東京では多くの外国人観光客が目につくでしょう。

東京都内には65万人の外国人が居住

実は観光客だけでなく、東京に住む外国人も増加しています。2024年1月1日現在、東京都内には過去最高の65万人の外国人が暮らしています。

※東京都総務局人口統計部のデータを基に作成 

65万人のうち、83%以上が都市部に集中しています。特に新宿区に住む外国人の数は突出しており、全体の約7%に達します。

都内に居住する外国人の83%にあたる54万2,864人が23区内に住んでおり、その中でも新宿区は4万3,897人と圧倒的に多いです。新宿区の全人口に占める外国人の割合は6.7%になります。この統計では江戸川区で4万2,918人、足立区が3万9,331人、江東区が3万7,006人とつづきます。

新宿区が人気なのはなぜ?

新宿区に住んでいる外国人が多い理由はいくつかあります。まず新宿は東京の中心部に位置しており、交通の利便性が高いため、多くの外国人が生活の拠点として選びます。さらに新宿はビジネス街でもあり、多くの企業が本社や支店を構えています。そのため外国人にとっても雇用機会が豊富な地域といえます。

※東京都総務局人口統計部のデータを基に作成(令和6年1月1日現在)

都内に住む外国人の国籍は、中国が25万7,198人で全体の39.7%を占め、ついで韓国(13.6%)、ベトナム(6.8%)、フィリピン(5.5%)、ネパール(5.5%)とつづきます。

ベトナム人の技能実習生が増加中?

国籍別でもっとも多いのは断然中国ですが、ここ数年はベトナム人の増加により3位に入る変化も見られます。ベトナム人の就労者を在留資格別に見ると、「技能実習」がもっとも多くなっています。

近年、中国人の技能実習生の数が減少していますが、その欠員を埋めるために多くの日本企業がベトナム人技能実習生を受け入れるようになりました。これがベトナム人が増加して3位に入る理由といえるでしょう。

※東京都総務局人口統計部のデータを基に作成(令和6年1月1日現在)

中国人が都内で住むのはどんな場所?

中国人の都内での居住地域を詳しく見てみると、もっとも多いのは江東区でした。2位は新宿区、3位は足立区、4位は江戸川区とつづきます。

中国人が多い地区を考えると共通点が見えてきます。それは物価が比較的安く、中国人の生活に欠かせない中国食材店や中華料理店がたくさんあること、10年以上前に来日した中国人が多く住んでおり安心感があること、中国人のネットワークを通じて不動産物件が紹介されることが多いこと、都心への交通アクセスがいいことなどでしょう。

※東京都総務局人口統計部のデータを基に作成

ベトナム、フィリピン国籍のひとはどこに住んでいる?

ベトナムやネパール国籍のひとびとも、江戸川区、新宿区、足立区、また隣接する豊島区にも集中しています。
フィリピン国籍のひとびとは足立区、江戸川区、大田区にもっとも多く居住しています。足立区にはフィリピンパブが多く、比較的安く住めることも関係しているといわれています。

東京で仕事をしている外国人・外国人雇用事業所数も増加

東京に住む外国人が増えている理由は、留学や国際結婚、そして仕事などがあげられます。さまざまな店で外国人を見かける機会も増えてきました。その背景には外国人労働者数の増加が関係しています。

令和5年10月末時点で、東京都内で約542,992人の外国人労働者が働いており、前年比では8%増加しています。東京都内で働く外国人は日本にいる外国人全体の26.5%を占めます。ちなみに愛知県では210,159人、大阪は146,384人の外国人が就労しています。

令和5年10月末時点で、東京都で外国人を雇用する事業所は79,707か所。前年比で4%以上の増加、全国の25.0%を占めています。

統計の結果からみても、東京都で暮らし働く外国人が増加している傾向が明らかです。日本の企業はどこも慢性的な人手不足に苦しんでおり、外国人の雇用が必要不可欠な手段となりつつあります。