外国人技能実習生とは? 制度の仕組み・対象職種・育成就労への移行まで徹底解説【2026年版】
日本の深刻な人手不足を背景に、外国人技能実習生の受け入れを検討する企業が増えています。
しかし「どんな職種が対象なのか」「どうやって受け入れるのか」「制度が廃止されると聞いたが実際どうなるのか」など、疑問を持つ人事担当者もおおいのではないでしょうか。
この記事では、外国人技能実習生制度の基本から対象職種一覧、育成就労への移行、特定技能との違い、費用や補助金まで、受け入れを検討する企業担当者が知っておくべき情報をまとめて解説しています。
【注意】技能実習制度は2024年に廃止が決定し、新たに「育成就労制度」が創設されました。現行の技能実習生の受け入れは経過措置のもとで継続できますが、今後は育成就労制度への移行が必要です。最新情報は出入国在留管理庁の公式サイトをご確認ください。
目次
外国人技能実習制度とは?
外国人技能実習制度は1993年に始まりました。開発途上国の人が日本で仕事をしながら技術や知識を学び、それを自国に持ち帰ることで国際協力につなげることが目的です。
そのため制度の建前は「労働力の確保」ではなく「国際貢献」とされています。
しかし実際には、深刻な人手不足を抱える日本企業の人手を補う役割も担ってきました。そのことが、後述する問題点や制度廃止の議論につながっています。
在留資格の種類(1号・2号・3号)
技能実習生の在留期間は最長5年で、実習の進み具合に応じて3つの段階に分かれています。
| 種類 | 期間 | 条件 |
| 技能実習1号 | 実習1年目 | 第1号技能実習計画の承認 |
| 技能実習2号 | 実習2〜3年目 | 1号修了+学科・実技試験に合格 |
| 技能実習3号 | 実習4〜5年目 | 1・2号修了+実技試験に合格 |
受け入れ方式は2種類
企業単独型は、海外に合弁企業や取引先がある日本企業が、その企業の従業員を直接受け入れる方式です。手続きをすべて自社で行う必要があります。
団体監理型は、「監理団体」と呼ばれる非営利の組織を通じて受け入れる方式です。
現在の技能実習生の9割以上が団体監理型で受け入れられており、海外に拠点を持たない中小企業でも活用できます。
監理団体はおもに次の役割を担っています。
- 送出機関との連絡・技能実習計画の作成支援
- 3か月に1回の定期監査による適正な実習の確認
- 技能実習生からの相談対応
監理団体を選ぶときは、定期監査をきちんと実施しているか、許可取り消し処分を受けていないか、希望する業種を取り扱っているかを確認しておきましょう。
受け入れ可能な対象職種一覧【2026年最新・92職種169作業】
2026年1月時点で、技能実習生の受け入れが可能な職種は92職種169作業です。
職種によって、受け入れできる最長期間は異なります。以下の表で「△」がついている職種は第2号まで(最長3年)、それ以外は第3号まで(最長5年)受け入れが可能です。
最新の審査基準や計画書モデルは、厚生労働省の公式ページをご確認ください。
1. 農業・林業関係(3職種7作業)
| 職種名 | 作業名 |
| 耕種農業 | 施設園芸・畑作・野菜・果樹 |
| 畜産農業 | 養豚・養鶏・酪農 |
| 林業 | 育林・素材生産作業 |
2. 漁業関係(2職種10作業)
| 職種名 | 作業名 |
| 漁船漁業 | かつお一本釣り漁業・延縄漁業・いか釣り漁業・まき網漁業・ひき網漁業・刺し網漁業・定置網漁業・かに・えびかご漁業・棒受網漁業△ |
| 養殖業 | ほたてがい・まがき養殖 |
3. 建設関係(22職種33作業)
| 職種名 | 作業名 |
| さく井 | パーカッション式さく井工事・ロータリー式さく井工事 |
| 建築板金 | ダクト板金・内外装板金 |
| 冷凍空気調和機器施工 | 冷凍空気調和機器施工 |
| 建具製作 | 木製建具手加工 |
| 建築大工 | 大工工事 |
| 型枠施工 | 型枠工事 |
| 鉄筋施工 | 鉄筋組立て |
| とび | とび |
| 石材施工 | 石材加工・石張り |
| タイル張り | タイル張り |
| かわらぶき | かわらぶき |
| 左官 | 左官 |
| 配管 | 建築配管・プラント配管 |
| 熱絶縁施工 | 保温保冷工事 |
| 内装仕上げ施工 | プラスチック系床仕上げ工事・カーペット系床仕上げ工事・鋼製下地工事・ボード仕上げ工事・カーテン工事 |
| サッシ施工 | ビル用サッシ施工 |
| 防水施工 | シーリング防水工事 |
| コンクリート圧送施工 | コンクリート圧送工事 |
| ウェルポイント施工 | ウェルポイント工事 |
| 表装 | 壁装 |
| 建設機械施工 | 押土・整地・積込み・掘削・締固め |
| 築炉 | 築炉 |
4. 食品製造関係(11職種19作業)
| 職種名 | 作業名 |
| 缶詰巻締 | 缶詰巻締 |
| 食鳥処理加工業 | 食鳥処理加工 |
| 加熱性水産加工食品製造業 | 節類製造・加熱乾製品製造・調味加工品製造・くん製品製造 |
| 非加熱性水産加工食品製造業 | 塩蔵品製造・乾製品製造・発酵食品製造・調理加工品製造・生食用加工品製造 |
| 水産練り製品製造 | かまぼこ製品製造 |
| 牛豚食肉処理加工業 | 牛豚部分肉製造・牛豚精肉商品製造△ |
| ハム・ソーセージ・ベーコン製造 | ハム・ソーセージ・ベーコン製造 |
| パン製造 | パン製造 |
| そう菜製造業 | そう菜加工 |
| 農産物漬物製造業△ | 農産物漬物製造 |
| 医療・福祉施設給食製造△ | 医療・福祉施設給食製造 |
5. 繊維・衣服関係(14職種23作業)
| 職種名 | 作業名 |
| 紡績運転 | 前紡工程・精紡工程・巻糸工程・合ねん糸工程 |
| 織布運転 | 準備工程・製織工程・仕上工程 |
| 染色 | 糸浸染・織物・ニット浸染 |
| ニット製品製造 | 靴下製造・丸編みニット製造 |
| たて編ニット生地製造 | たて編ニット生地製造 |
| 婦人子供服製造 | 婦人子供既製服縫製 |
| 紳士服製造 | 紳士既製服製造 |
| 下着類製造 | 下着類製造 |
| 寝具製作 | 寝具製作 |
| カーペット製造△ | 織じゅうたん製造・タフテッドカーペット製造・ニードルパンチカーペット製造 |
| 帆布製品製造 | 帆布製品製造 |
| 布はく縫製 | ワイシャツ製造 |
| 座席シート縫製 | 自動車シート縫製 |
| タオル製造△ | タオル縫製 |
6. 機械・金属関係(17職種34作業)
| 職種名 | 作業名 |
| 鋳造 | 鋳鉄鋳物鋳造・非鉄金属鋳物鋳造 |
| 鍛造 | ハンマ型鍛造・プレス型鍛造 |
| ダイカスト | ホットチャンバダイカスト・コールドチャンバダイカスト |
| 機械加工 | 普通旋盤・フライス盤・数値制御旋盤・マシニングセンタ |
| 金属プレス加工 | 金属プレス |
| 鉄工 | 構造物鉄工 |
| 工場板金 | 機械板金 |
| めっき | 電気めっき・溶融亜鉛めっき |
| アルミニウム陽極酸化処理 | 陽極酸化処理 |
| 仕上げ | 治工具仕上げ・金型仕上げ・機械組立仕上げ |
| 機械検査 | 機械検査 |
| 機械保全 | 機械系保全 |
| 電子機器組立て | 電子機器組立て |
| 電気機器組立て | 回転電機組立て・変圧器組立て・配電盤・制御盤組立て・開閉制御器具組立て・回転電機巻線製作 |
| プリント配線板製造 | プリント配線板設計・プリント配線板製造 |
| アルミニウム圧延・押出製品製造△ | 引抜加工・仕上げ |
| 金属熱処理業 | 全体熱処理・表面熱処理・部分熱処理 |
7. その他(21職種39作業)
| 職種名 | 作業名 |
| 家具製作 | 家具手加工 |
| 印刷 | オフセット印刷・グラビア印刷△ |
| 製本 | 製本 |
| プラスチック成形 | 圧縮成形・射出成形・インフレーション成形・ブロー成形 |
| 強化プラスチック成形 | 手積み積層成形 |
| 塗装 | 建築塗装・金属塗装・鋼橋塗装・噴霧塗装 |
| 溶接 | 手溶接・半自動溶接 |
| 工業包装 | 工業包装 |
| 紙器・段ボール箱製造 | 印刷箱打抜き・印刷箱製箱・貼箱製造・段ボール箱製造 |
| 陶磁器工業製品製造 | 機械ろくろ成形・圧力鋳込み成形・パッド印刷 |
| 自動車整備 | 自動車整備 |
| ビルクリーニング | ビルクリーニング |
| 介護 | 介護 |
| クリーニング△ | リネンサプライ仕上げ・一般家庭用クリーニング |
| コンクリート製品製造 | コンクリート製品製造 |
| 宿泊△ | 接客・衛生管理 |
| RPF製造 | RPF製造 |
| 鉄道施設保守整備 | 軌道保守整備 |
| ゴム製品製造△ | 成形加工・押出し加工・混練り圧延加工・複合積層加工 |
| 鉄道車両整備 | 走行装置検修・解ぎ装・空気装置検修・解ぎ装 |
| 木材加工△ | 機械製材 |
8. 社内検定型(1職種3作業)
| 職種名 | 作業名 |
| 空港グランドハンドリング | 航空機地上支援・航空貨物取扱・客室清掃△ |
| ボイラーメンテナンス△ | ボイラーメンテナンス |
技能実習制度の問題点と廃止・育成就労の創設

技能実習制度は長く運用されてきましたが、さまざまな課題が指摘されてきました。こうした流れを受けて、制度の見直しが進んでいます。
技能実習制度の主な問題点
- 転職・移動の自由がない:技能実習生は原則として転職が禁止されており、労働環境に問題があっても受け入れ企業を変えることはできませんでした。
- 失踪問題:待遇や賃金への不満、SNSを通じた高賃金情報などを理由に、実習の途中で行方がわからなくなるケースが毎年発生しています。法務省の統計では、失踪者は年間数千人規模にのぼります。
- 監理団体・送出機関をめぐる不正:監理団体による定期監査の未実施や虚偽報告、送出機関による違法な違約金の徴収などが報告されています。許可取り消しを受けた監理団体もあるため、選定時の確認は欠かせません。
- 制度目的と実態のギャップ:制度の目的は「国際協力・技能移転」とされていますが、実際には人手不足を補う役割が強くなっていました。このずれが、長く批判の対象になってきました。
技能実習制度の廃止と育成就労制度の創設
こうした問題を受け、2024年の法改正により技能実習制度は廃止が決まり、新たに「育成就労制度」が創設されました。
育成就労制度は2027年ごろまでの施行が予定されています(経過措置期間あり)。
ただし、現在の技能実習生は経過措置の対象となるため、受け入れがすぐに無効になるわけではありません。
育成就労制度の主な変更点
| 項目 | 技能実習制度 | 育成就労制度 |
| 制度目的 | 国際協力・技能移転 | 人材確保・育成(国内労働力の補完) |
| 在留期間 | 最長5年 | 最長3年(特定技能1号への移行が前提) |
| 転職の自由 | 原則禁止 | 一定期間後に同一業種内での転職可能 |
| 目指すゴール | 帰国して母国に技能を還元 | 特定技能1号レベルへの育成 |
育成就労制度の大きなポイントは、3年間で特定技能1号レベルの人材に育成することを明確な目的にしている点です。
技能実習の延長としてではなく、最初から就労と育成を前提とした制度設計になっています。
今後、外国人採用を長期的に活用したい企業は、育成就労制度への移行を見すえた受け入れ体制の整備が求められています。
技能実習から特定技能へ移行するには?
技能実習で受け入れた人材を、そのまま自社で働いてもらいたいと考える企業も少なくありません。その際に検討するのが、特定技能への移行です。
技能実習から特定技能1号への移行条件
技能実習2号(または3号)を良好に修了した場合、技能試験と日本語試験が免除され、特定技能1号へ移行できます。
企業にとっては、経験を積んだ人材を引き続き雇用できる点がメリットです。
ただし、技能実習の職種・作業と、特定技能で行う業務に関連性が認められる必要があります。移行できるかどうかは、出入国在留管理庁で事前に確認しておきましょう。
技能実習と特定技能の違い
| 項目 | 技能実習 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
| 在留期間 | 最長5年 | 最長5年 | 無制限(更新可) |
| 転職 | 原則不可 | 同一業種内で可能 | 同一業種内で可能 |
| 家族帯同 | 不可 | 不可 | 可能 |
| 入国時の試験 | なし | 技能試験+日本語試験(技能実習2号修了で免除) | 技能試験 |
| 対象業種 | 92職種169作業 | 16分野 | 一部分野のみ |
| 永住への道 | なし | なし | 可能性あり |
特定技能は転職が可能なため、よりよい待遇を求めて他社へ移ることもあります。
定着につなげるには、適切な賃金や職場環境、生活面のサポートを整えることが重要です。
技能実習生を受け入れる際のコストは?
技能実習生の受け入れには、大きく分けて「初期費用」と「月々かかる費用(ランニングコスト)」があります。金額は監理団体や職種、送出国によって異なります。
初期費用の主な内訳
| 費用項目 | 目安 | 備考 |
| 送出機関への手数料 | 数十万円〜 | 送出国・機関によって大きく異なる |
| 監理団体への加入費・登録費 | 数万円〜 | 団体ごとに設定 |
| ビザ申請・渡航費用 | 数万円〜 | 航空券・査証手数料など |
| 住居の初期費用・備品整備費 | 数十万円〜 | 寮・アパート確保が必要な場合 |
月次ランニングコスト
| 費用項目 | 目安 | 備考 |
| 監理団体への監理費 | 月2〜5万円程度 | 定期監査・相談対応などのサポート費用 |
| 賃金 | 最低賃金以上(必須) | 日本人と同等以上が法律上の義務 |
| 社会保険料 | 日本人と同様 | 健康保険・厚生年金など |
| 日本語教育・研修費用 | 数千円〜数万円/月 | 外部スクール利用の場合は別途 |
技能実習生の賃金は、日本人と同等以上である必要があります。最低賃金を下回る設定は法律違反です。
活用できる補助金・助成金
外国人技能実習生の受け入れや定着支援に関連して、活用できる補助金・助成金があります。
利用できるかどうかは業種や規模、用途によって異なります。
| 制度名 | 運営 | 活用できるシーン |
| 人材開発支援助成金 | 厚生労働省 | 技能実習生向けの日本語研修・OJT・OFF-JT訓練費用の一部を助成 |
| 人材確保等支援助成金 | 厚生労働省 | 雇用管理改善・職場定着のための取り組みに対して助成 |
| 各都道府県・市区町村の独自補助金 | 各自治体 | 外国人採用・多文化共生に関する独自支援制度。自治体窓口に要確認 |
助成金活用のポイント
助成金は申請期限や要件が細かく定められています。社会保険労務士や支援機関に相談しながら進めると安心です。
要件を満たしていても、申請漏れで受け取れないケースもあります。受け入れ前の段階から確認しておきましょう。
まとめ
外国人技能実習制度は、長年にわたり日本企業の人手不足を支えてきました。しかし、2024年の法改正により廃止が決まり、現在は育成就労制度への移行期にあります。
今後の外国人採用を考える企業にとって、とくにおさえておきたいポイントは次の3点です。
- 現行の技能実習生の受け入れは経過措置のもとで継続可能できるが、育成就労制度への移行準備が必要
- 技能実習2号修了者は試験免除で特定技能1号へ移行できるため、長期的な雇用継続という選択肢がある
- 受け入れコストを抑えるため、活用できる補助金・助成金を事前に確認しておく
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