建設業における特定技能での外国人採用についてご紹介します。

現在、建設業界では人手不足が深刻な問題としてあります。実際に、人材の確保に悩まされている方も多くいるのではないでしょうか?

そんな中、日本で急増している「外国人労働者」が貴重な戦力として注目されています。

この記事では建設業を営んでいる方へ向けて、特定技能での外国人採用についてくわしく解説いたします。

建設業界における人手不足の現状

少子高齢社会や技能者の減少

建設業界で人手不足が起こっている現状として、就業者の減少高齢化があげられます。

国土交通省の調査によると、建設業就業者の数は平成9年度にくらべて、令和3年度には約30%減少しています。

 

平成9年度

平成22年度

令和3年度

建設業就業者

685万人

498万人

482万人

技術者

41万人

31万人

35万人

技能労働者

455万人

331万人

309万人

参考:国土交通省 最近の建設業を巡る状況について

また、帝国データバンクの調査では、建設業で人手不足を感じている企業が約7割を記録しており、年々増加しています。

参考:帝国データバンク 人手不足に対する企業の動向調査 

建設業界に人が集まらない背景は?

・仕事内容をしらない?!

建設業界の仕事は「きつい」「汚い」「危険」の3Kと呼ばれるネガティブなイメージが定着しています。このことが原因となって、若者や女性が建設業をさける傾向があると考えられています。

しかし、ネガティブなイメージが先行している一方で、実際の業務ないようを認知している方はすくないようです。学生を対象とした建設業界のイメージ調査によると、具体的な仕事の認知度は2割ほどにとどまっています。

参考:業界別イメージ調査 建設業編 PR TIMES

建設業のリアルな仕事を知る機会をふやすことが、人手不足の解消につながるといえるでしょう。

・給与の問題

国土交通省のまとめた資料によると、建設業の賃金ピークは45〜49歳であり、生涯賃金がほかにくらべて低水準であることがわかっています。

また、先ほど紹介した3Kに次いで、給与の低さ・安定性がネガティブなイメージとしてあるそうです。給与におもきをおく人からも敬遠されているのが、人手不足の原因として考えられるでしょう。

【◉人手部族の業界についてもっとくわしく知りたい方はこちらをチェック!】

【2024版】人手不足が起きている業界の現状と解決策をご紹介!

特定技能の外国人を採用して建設業界の人材不足を解消しよう!

増える外国人労働者

深刻な人手不足になやまされている建設業ですが、外国人採用が解決策として期待できます。厚労省の調査によると、日本にいる外国人労働者の数は200万人を超えており、いまでは市場を支える不可欠な人材リソースです。

参考:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ 厚労省

以下では、建設業で採用できる特定技能をもつ外国人と、採用する際の注意点について解説します。

特定技能「建設」

2019年4月に新しく創設された在留資格「特定技能」によって、建設業ではより多くの外国人を雇用することが可能となりました。特定技能にはぜんぶで12種類あり、その中の「建設」をもつ外国人が採用の対象となります。

特定技能「建設」は以下の3区分にわかれています。

1.土木区分 型枠施工/コンクリート圧送/トンネル推進工など

2.建築区分 (屋根ふき/土木/鉄筋施工など

3.ライフライン・設備区分 (電気通信/配管/建築板金など

参考:建設技能人材機構

それぞれの区分ごとに取得するための試験がことなり、携われる仕事もかわります。採用する外国人がどの資格をもつのかを事前に確認することが大切です。

特定技能「建設」の取得要件

特定技能評価試験

特定技能を取得するには、それぞれの業種ごとに独自の試験をおこなう必要があります。「建設」では、先ほどご紹介したように、評価試験が3区分にわかれており、学科試験と実技試験の2つが実施されています。

日本語試験

JLPTと呼ばれる外国人むけの日本語能力試験があります。レベルは基礎のN5からネイティブレベルであるN1の5段階があり、特定技能ではN4以上の合格が求められます。

特定技能には他にも在留期間やこまかな条件があるため、詳しくしりたい方はわかりやすくまとめたこちらの記事をご覧ください!

特定技能1号と2号は何がちがう? 就業できる業種や取得要件の違い、1号から2号への移行について

建設業における特定技能の外国人採用の注意点を解説!

建設特定技能受入計画認定

建設業で特定技能の外国人を受けいれるためには、外国人に対する報酬額などを記載した「建設特定技能受入計画」を作成し、国土交通省から認定をうける必要があります。

以下が審査基準となります。

・同一技能の日本人と同等額以上の賃金を支払うこと

・特定技能外国人に対して、月給制により報酬を安定的に支払うこと

・建設キャリアアップシステムに登録していること

・1号特定技能外国人(と外国人建設就労者との合計)の数が、常勤職員の数を超えないこと

・在留資格保持の確認

近年、在留資格の有無について確認をしっかりと取らずに採用してしまうケースが多発しています。また、偽造の在留資格だと気づかずに採用してしまうケースも。

在留資格を保有していない方を採用すると、企業側も罰則をうけてしまうため、細心の注意が必要です。

・長く働いてもらうには?

せっかく外国人材を採用できても、すぐに辞められては企業側にとってダメージとなります。ながく働いてもらうためには、職場での積極的な英語の導入や、外国人への理解が必要となります。

外国人からみた日本の職場や、日本で急増している外国人について特集した記事もあるため、外国人採用にうごきだそうとしている方はぜひご覧ください!

グローバル企業の条件とは? 外国人の働きやすい日本の職場|メリット・おすすめ人材について解説

建設業で特定技能の外国人を採用するメリット

ここまで建設業界における特定技能外国人について説明してきました。では、人材確保のために特定技能の外国人を採用するメリットはどんなところなのでしょうか。

ここでは、特定技能の外国人を採用するメリットについてご紹介していきます。

日本語能力が一定以上ある

特定技能の外国人を採用するメリットは、日本語レベルが一定以上あるという点です。特定技能を取得するには前述のとおり、日本語試験があります。

N4以上の日本語力が必要なため、日常会話のコミュニケーションが可能です。 一般募集で外国人労働者を募集すると日本語レベルはまちまちですが、特定技能では一定以上の日本語レベルが確保できているという点は一緒に仕事をするうえでおおきなポイントなのではないでしょうか。

専門分野に関する知識や経験がある

専門分野に関する知識、経験があるという点も特定技能の外国人を採用するメリットです。

特定技能を取得するには日本語試験のほかに、筆記と実技の試験をクリアする必要があります。 そのため、特定技能の外国人はその分野に関する知識や実技、また経験を持っているため、採用後すぐに戦力として活躍してくれます。

特定技能の外国人採用にかかるコスト

日本語能力や特定の分野に関する知識や技術、経験のある特定技能の外国人ですが、人材に対するコストがかかるのも事実です。

特定技能の外国人を採用する場合、かかるコストが外国人人材の給料のほかに、・JAC(建設技能人材機構)の会費 ・受入負担金(1号特定技能外国人を受け入れた場合)上記のふたつのコストがかかります。 受入負担金は、特定技能外国人1人当たり12500円/月。 JACの会費は正会員と賛助会員によって会費がことなります。

一般社団法人 建設技能人材機構

まとめ

本記事では、建設業界における人手不足の現状と、特定技能をもつ外国人を採用する方法や注意点についてご紹介しました。

現在、外国人採用はどの業界でも注目されており、多言語への対応だけでなく人手不足を解消するメリットがあります。建設業で人材確保に悩んでいる方は、ぜひ外国人採用に挑戦してみてはいかがでしょうか?