北海道は雄大な自然や豊かな文化、そして四季折々の楽しみ方があり世界中から多くの人々が訪れます。
特に近年は外国人観光客や海外からの移住者が増加しており、これに伴い現地での外国人労働者の需要も高まっています。

北海道には、観光地を活性化するために欠かせない「居住者」の暮らしを豊かにするための取り組みもさまざまあります。
本記事では北海道が外国人の間で人気な理由や、人気の背景にある取り組みについて紹介します。

北海道に外国人が多い理由

北海道の街中に外国人が多い理由は、主に観光客と移住者の増加によるものです。
ここからは「観光客」「移住者」それぞれの増加についてデータを用いて解説します。

北海道における外国人観光客(インバウンド)の復活

引用:北海道運輸局 北海道の観光基礎データ

グラフの「北海道における外国人観光客数の推移(ピンク色)」を見ると、コロナ感染対策の規制が緩和された2023年(令和4年)以降、訪日外国人が再び増加していることがわかります。
特に2023年11月には、2019年と比較して14.5%も外国人観光客が増加しています。

これは、地域経済の活性化や観光業界の再生にとってポジティブな兆候であり、北海道の観光業界や関連産業にとって朗報といえます。

北海道への外国人移住者(在留外国人)の増加

引用:北海道庁 北海道内の在住外国人に関する現状について

北海道の在留外国人数は、2022年(令和4年)には45,491人となっており、新型コロナウイルスの影響で一時的に減少していたものの、規制緩和以降は再び増加に転じ、過去最高となりました。

リゾート地や農村部で働く外国人が多い

引用:北海道庁 北海道内の在住外国人に関する現状について

北海道庁の発表によると「リゾート地」や「ウィンタースポーツが盛んな地域」「農村部」は、各地域の総人口に占める在留外国人の割合が高くなっています。
つまり、これらの地域は住民が「外国人移住者の受け入れ」や「外国人雇用」に対して積極的だということがわかります。

リゾート地やウィンタースポーツが盛んな地域は、「働くこと」を目的に移住する外国人のほかにも「リゾート地で暮らすこと」を目的に移住し、近隣の観光施設で働く外国人が多いのが特徴です。
観光客の増加に比例して、労働者需要は高まります。そして外国人観光客とのコミュニケーションが欠かせない観光施設にとって、多言語が話せる外国人の雇用は利点の多い要素となるため、外国人労働者は増加傾向にあります。

農村部では日本人住民の高齢化が進行しており、労働力不足が深刻化しています。地域の労働力補充のためには、日本人だけでなく外国人労働者の受け入れが必要です。そのため、在留外国人の割合が高くなる傾向があります。

以上のように北海道での外国人労働者の需要は多く、移住者の増加が促進されています。
外国人の移住は地域経済や労働力不足の解消に貢献すると同時に、地域の多様性や国際交流の促進にも影響を与えています。

外国人を誘致するための北海道の取り組み

北海道では地域経済の活性化や国際交流の促進を図るために、外国人観光客や外国人移住者を誘致する取り組みが積極的に行われています。

インバウンド対応力の強化

北海道では「稼ぐ観光」を促進するために、北海道ブランドの確立と戦略的活用を進めています。
インバウンド観光客の中で割合が多い「韓国」や「台湾」を含む海外でのプロモーション活動、インバウンド向けの外国語ガイドブックの作成、現地商談会や事業者向けの輸出研修などさまざまな方法でブランディングをおこなっています。
また外国人観光客の増加に対応するため、人手不足や人材の定着が課題となっている観光産業での人材マッチング事業にも力を入れています。

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外国人移住者(在留外国人)の支援

外国人が北海道で安心して暮らすための取り組みを紹介します。

日本語教育支援

北海道の在留外国人全体のうち、日本語を学習中の人は7割以上にのぼります。その主な理由は「安心して日本で生活するため」「日本人と交流するため」「仕事で必要なため」などが挙げられています。
北海道では日本語学校や市町村・各地域の国際交流協会の他にも、大小ボランティア団体などが協力して日本語教育の空白地域を無くすことに力を入れています。

企業の外国人材活用の支援

北海道は「企業が、外国人と働くための心構えと正しい知識を身につける」ことで外国人材の受け入れ・定着が促進されるという考えのもと、事業者に向けた支援をおこなっています。

地域産業と連携した職業訓練やインターンシッププログラムを実施したり、外国人と既存従業員の双方が混乱なく働ける体制づくりのサポートなどを行うことで、外国人の雇用機会の創出と移住者の増加を促進しています。

北海道外国人居住サポーター制度

外国人が物件探しを行う際、「国籍」を理由に契約できない事態はいまだに存在します。
北海道では不動産店や団体が外国人の賃貸住宅等への入居を積極的に仲介・支援する「北海道外国人居住サポーター制度」を創設し、外国人が安心して日本での暮らしをスタートできるよう住まい探しをサポートしています。

参考:北海道 北海道外国人居住サポーター制度

子育て・教育・医療・保険・福祉の支援

北海道では、育児に関する不安や疑問を解消するための支援を多言語でおこなっています。また、道内の学校は多文化共生教育プログラムを導入しており、異なる文化や価値観を尊重しながら共に学ぶ環境を提供しているのも特徴です。
医療・福祉などの日常生活での困りごとに対する相談窓口や、各種公的手続きのサポートも充実しています。

参考:一般財団法人 北海道開発協会

さいごに

北海道では、インバウンド対策や在留外国人に対する支援を総合的に展開しています。
その成果として街中で見かける外国人の数が増加し、国際化が進む日本有数の都市へと成長しました。

今後も地域の多様性を尊重し、外国人観光客や移住者がより快適に過ごせる環境づくりが進むことが期待されます。