観光で東京を訪れる訪日客は増えています。
2018年に東京都を訪れた外国人旅行者の数は約1,424万人。都内で消費した金額も約1兆2,000億円で、人数も金額も過去最高を更新しました。
世界でも有数の観光名所が東京です。

東京のどんな場所が人気なのか、東京都の調査データをふまえてまとめました。
レポートを分析すると東京の魅力はひとつではなく、地域によってさまざまな人気があることもわかりました。
今回は東京観光ランキングのトップ5を紹介します。

このランキングに載っている地でビジネスをされている方は、これを機にインバウンド対策に力をいれてみませんか?

外国人に人気の東京ランキングを見てみよう!

東京タワー

ひとくちに東京といっても、じつはさまざまな場所があります。
東京のどのようなところが、訪日観光客には人気なのでしょうか。

東京都は「国・地域別外国人旅行者行動特性調査報告書」というアンケート調査を発表しています。
これに基づきながら、外国人にとって人気の東京ランキングのトップ5をご紹介いたします。

平成30年 国・地域別外国人旅行者行動特性調査報告書

外国人に人気の東京観光、その特徴は?

まず実際に訪問した場所については「新宿・大久保」が55.4%、「銀座」が48.9%、「浅草」が45.0%という結果となっています。

これに対して「いちばん満足した場所」を聞くと、「銀座」が11.5%、「新宿・大久保」が10.7%、「浅草」が9.5%となりました。順位の差はありますが、数字を見ればほぼ近似値といえる結果です。

「訪問していちばん満足した場所で行った活動」を聞くと「日本食を楽しむ」「高層ビル、近代的な街並み・景観・建築物の探索」などが選択されています。

一方で地域別にみると、秋葉原では「最新の日本文化に触れる」が27.5%、吉祥寺・三鷹では「美術館・博物館の探索」が36.1%、浅草では「伝統建築の見学」が69.3%を占めています。
また八王子・高尾山、青梅・御岳山、奥多摩、伊豆諸島・小笠原諸島などは「自然を感じる」が51.6%から67.6%という高い数字になっています。

こうしてみると、ひとくちに「東京」といっても地域によって異なる魅力があることや、訪日客もそれぞれの地域でいろいろな楽しみを味わっている現状がわかります。

それでは具体的に、訪日客の人気ランキングのトップ5を見ていきましょう。

5位:秋葉原

秋葉原

外国人に人気の東京観光ランキングの第5位は秋葉原です。
「訪問していちばん満足した場所で行った活動」を見ると、1位が「最新の日本文化に触れる」(27.5%)、2位が「電気製品のショッピング」(26.9%)、第3位が「その他のショッピング」(12.8%)となっています。

秋葉原はアニメやマンガ、コスプレなどのサブカルチャーの聖地としても世界的に有名です。
秋葉原がほかの地域と異なり「最新の日本文化に触れる」がダントツの1位となったのも、その表れといえるでしょう。

アニメ好きに向けたオリジナルグッズショップやゲーム好きに向けたゲームセンターがあるほか、外国人向けに対応した和風エンターテイメントカフェ(忍者喫茶・忍者カフェ)「不忍カフェ 秋葉原万世城」など、訪日客を楽しませようとする施設が多いこともポイント。

家電量販店でも多言語表記をしたり通訳を用意したりと、訪日客を迎え入れる工夫で人気を集めているともいえそうです。

4位:渋谷

渋谷

外国人に人気の東京観光ランキングの第4位は渋谷です。

「訪問していちばん満足した場所で行った活動」を見ると、1位が「服・服飾雑貨のショッピング」(24.1%)、2位が「高層ビル、近代的な街並み・景観・建築物の探索」(17.5%)、3位が「日本食を楽しむ」(16.7%)となりました。

となりの「渋谷・表参道・青山」でも、1位は「服・服飾雑貨のショッピング」(38.5%)となっており、このエリア全体がファッションの中心地と認識されていることがわかります。国籍別で見るとフィリピンの人たちからの人気が高く、5人に1人(21.7%)が渋谷と回答しています。

渋谷の「スクランブル交差点」や「センター街」「ハチ公像」などは海外メディアでも有名です。
また若者が多く活気があること、夜遅くまで開店している店が多く、食事やお酒が楽しめる場所も多いこと、渋谷周辺にも楽しめるエリアが多いこと、なども人気の理由になっているようです。

2019年11月には、渋谷スクランブルスクエアの屋上に「SHIBUYA SKY」(渋谷スカイ)という展望空間もできました。
同年12月開業の「東急プラザ渋谷」では、新たな待ち合わせスポット「デジタル・ハチ公」も話題です。
今後も、ますます多くの訪日客を惹きつける要素になるでしょう。

3位:浅草

浅草

外国人に人気の東京観光ランキングの第3位は浅草です。
「訪問していちばん満足した場所で行った活動」を見ると、1位が「伝統建築の見学・伝統的な街並み・施設の遊覧」(69.3%)、2位が「日本食を楽しむ」(6.2%)、3位が「宿泊施設での滞在を楽しむ」(4.3%)となっています。

この69.3%という数字はほかのエリアとくらべても群を抜く数字で、浅草が東京を代表する伝統的な観光エリアだと認識されていることがわかります。
浅草のある台東区の調査でも、訪日客の声として「名所・旧跡、博物館・美術館」が最上位に上がっています。

平成30年度 台東区観光統計・マーケティング調査報告書

とりわけ浅草雷門は世界中のガイドブックに掲載されていることや、東京の中心にありながらも古い伝統が味わえること。
成田空港や羽田空港からの接続もよく、小さくてかわいらしいお店が集積し、気軽に和食が味わえることなども人気の要素になっています。

人力車のサービスがあったり、徒歩でスカイツリーまで行けるというのも注目ポイントでしょう。

2位:新宿・大久保

新宿

外国人に人気の東京観光ランキングの第2位は新宿・大久保です。

「訪問して一番満足した場所で行った活動」を見ると、1位が「日用雑貨、化粧品、食品、菓子類のショッピング」(22.4%)、2位が「日本食を楽しむ」(18.4%)、3位が「服・服飾雑貨のショッピング」(16.5%)となりました。

多くのデパートや量販店が並ぶショッピングの集積地としてだけでなく、日本食が楽しめるとの声も多いです。
世界でも有名な歓楽街としての歌舞伎町の夜は、散歩をするだけでも強い印象を与えます。博物館の「サムライミュージアム」やショーレストランである「ロボットレストラン」も訪日客には人気です。

夜のエンタメエリアとしてだけでなく、少し歩けば新宿御苑の大自然が楽しめること。
都庁の展望台から東京全体が一望できるだけでなく、多言語対応の音声ガイドまで整備されていること。
また大久保の多国籍レストラン街や、新宿の「新宿ゴールデン街」「思い出横丁」といった古くからの飲食街も注目されるエリアです。

1位【銀座】

銀座

外国人に人気の東京観光ランキングの第1位は銀座です。
国籍別で見ると中国人からの人気がダントツで、4人に1人(25.1%)が銀座と回答しており、「銀座でのショッピング体験」自体がひとつのブランドになっているといわれています。

「訪問していちばん満足した場所で行った活動」を見ると、1位が「日用雑貨、化粧品、食品、菓子類のショッピング」(31%)、2位が「服・服飾雑貨のショッピング」(26.2%)、3位が「日本食を楽しむ」(15.8%)となりました。
それにつづいて「高層ビル、近代的な街並み・景観・建築物の探索」(7.3%)が第4位となっています。

銀座は世界でも有数のショッピングエリアとして知られ、洗練された美しい街としても有名です。
広い歩道や、地下道も含めて歩きやすい環境が整備されています。

少し足を伸ばせば築地や歌舞伎座、月島といった古い街並みや「日本らしさ」を感じさせる食事も可能。
さらには日本の都道府県のおよそ半分が、銀座周辺にアンテナショップを出店しており、地方の良さまで楽しめるというのもひとつのポイントです。

外国人に人気の東京観光ランキングが分かったら…

日本を訪れる外国人観光客は年を追うごとに増えています。
東京都の調査によれば、2018年に東京都を訪れた外国人旅行者の数は約1,424万人で、対前年比3.4%増となっています。

データ引用:訪都外国人旅行者数・日本人旅行者数及び観光消費額(平成30年1月~12月)

また、その1,424万人の行動を見ると、都内で消費した金額(観光消費額)は、約1兆1,967億円(前年比5.4%増)にも及んでいます。
この金額も年々増える傾向にあります。

データ引用:平成30年訪都旅行者数等実態調査

日本に対する人気は高まっています。
ご紹介してきた通り、単なる観光場所としてだけでなく、ショッピングや食事体験など、さまざまな体験を望んでいることがわかります。

こうした中でポイントとなるのは、いかに快適に過ごしてもらうかということ。
インバウンド対応といわれるものですが、具体的には「おもてなし」という観点と「言語対応」が重要になってきます。

外国人採用を活用しよう

調査結果を見ると、訪日客の日本旅行に対する満足度は非常に高いです。
東京都のデータによれば、「訪都の満足度」は「大変満足」「満足」「やや満足」を合わせると95.4%と非常に高い数字になっています。
これはひとつのビジネスチャンスです。

しかし一方で、「外国語対応能力」「案内標識」「交通機関」などは満足度の低い結果になっています。
訪日観光客を増やすとの政府のかけ声もあり、日本全国でさまざまな努力が行われていますが、まだまだ不十分な点も残ります。

ではどうすればいいかと言えば、日本人だけで頑張るのではなく、多様な価値観をもつ外国人の助けを借りることです。
訪日客に満足をしてもらうためには、訪日客の気持ちや行動を理解することが不可欠です。

そのためには日本人の知恵だけで努力するのではなく、外国人の視点を活用するのが近道だといえるでしょう。
インバウンド対応を強めたいなら、企業としても積極的に外国人を活用することが大切です。

外国人採用のハードルは年々下がってきています。
「外国人を採用するなんて大企業がやることだ」と考えず、新たな視点から会社を盛り上げてくれる戦力として、外国人の採用を検討してみてはいかがでしょうか。

外国人に人気の東京観光ランキングは活用できそうですか?

東京観光 女性

外国人に人気の東京観光ランキングとして、トップ5をご紹介しました。
訪日客のアンケート結果をふまえてみると、ひとくちに「東京」といっても場所によって異なる魅力があることがわかります。

どの場所にも観光客を惹きつける要素があり、歴史や文化、街並みや都市環境なども大切です。
しかし同じく大切なのは、訪日客に満足してもらうための施策です。
わかりやすい案内板、多言語対応、彼らの価値観に寄り添った姿勢こそが、今後の訪日客の増加につながっていくはずです。

そのためには外国人の知恵を借りることが早道です。
外国人の採用は次第にハードルが低くなっています。「インバウンド対応を強めたい」という企業や、ここにビジネスチャンスを見出す企業であれば、外国人採用を検討がおすすめです。

ライター紹介

渡邉 裕晃「インドネシアのことがマンガで3時間でわかる本」共著者

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