外国人採用をおこなう際に、候補者の「日本語レベル」がどれくらいなのかを知りたい方は多いです。

本記事では外国人労働者の日本語能力をはかる試験の種類や、そのレベル分けについて解説します。

外国人労働者の日本語力の評価基準は6段階

独立行政法人国際交流基金「みんなのCan-doサイト」をもとに作成

日本政府は、就労場面で必要な日本語能力を客観的に測るための目安として、6つのレベルを設けています。

聞くこと・読むこと・話すこと(やりとり)・話すこと(発表)・書くことなどの、さまざまな場面での語学能力を評価する国際的な基準「CEFR(セファール)」を参考にしたもので「日本語教育の参照枠」として公表されています。

上図のように、A1〜A2レベルまでを「基礎段階の言語使用者」、B1〜B2までを「自立した言語使用者」、C1〜C3までを「熟達した言語使用者」と定義しています。

参考:文化庁 日本語教育の参照枠

日本語能力の証明書が必要な在留資格

日本で生活する外国人の在留資格には、取得要件に「一定レベル以上の日本語能力」が含まれるものがあります。

たとえば、在留資格「特定技能」を取得する際は、日本語能力がA2相当以上であることの証明が必要です。
そのほかにも在留資格「高度専門職」は高度人材ポイント制において、日本語能力が高いとボーナスポイントが加算されるなど、証明することで審査結果に良い影響を与えることがあります。

日本語能力を証明するときは「日本語能力試験(JLPT)」「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT)」の試験結果(成績証明書)を提出することが一般的です。

日本語能力試験(JLPT)とは

出典:日本語能力試験 公式ウェブサイト

日本語能力試験(JLPT)の概要

日本語能力試験は、日本語の文字・語彙・文法の知識に加え、知識を活用した「課題遂行のための言語コミュニケーション能力」をはかる試験です。
2023年は約148万人の応募があり、日本語力を評価する試験の中では大規模かつ代表的なものと言われています。

試験の対象者

原則、日本語を母語としない方を受験対象としています。

試験のレベル

N1、N2、N3、N4、N5の5つのレベルがあります。
最も難しいレベルがN1、最もやさしいレベルがN5です。

実施場所・回数

7月と12月の年2回、以下の場所で実施されます。※海外では年1回のみ実施の場合もあります

【東アジア】
日本(国内47都道府県)、韓国、中国、モンゴル、台湾
【東南アジア】
インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、ラオス
【南アジア】
インド、スリランカ、ネパール、パキスタン、バングラデシュ、ブータン、モルディブ
【大洋州】
オーストラリア、ニュージーランド、パプアニューギニア、フィジー(休止中)、マーシャル諸島(休止中)
【北米】
カナダ、アメリカ
【中南米】
コスタリカ、メキシコ、アルゼンチン、ウルグアイ、エクアドル、エルサルバドル、コロンビア、チリ、ドミニカ共和国、トリニダード・トバゴ、パラグアイ、ブラジル、ベネズエラ、ペルー、ボリビア
【西欧】
アイルランド、イタリア、イギリス、オーストリア、オランダ、ギリシャ、スイス、スウェーデン、スペイン、デンマーク、ドイツ、ノルウェー、フィンランド、フランス、ベルギー、ポルトガル
【東欧】
アゼルバイジャン、アルメニア、ウクライナ、ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、ジョージア、スロベニア、セルビア、タジキスタン、チェコ、トルクメニスタン、ハンガリー、ブルガリア、ベラルーシ、ポーランド、ボスニア・ヘルツェゴビナ、モルドバ、ルーマニア、ロシア
【中東】
イスラエル、イラン、カタール、サウジアラビア、トルコ、ヨルダン
【北アフリカ】
アルジェリア、エジプト、スーダン(休止中)、チュニジア、モロッコ
【アフリカ】
ガーナ、ケニア、コートジボワール、コンゴ民主共和国、ベナン、マダガスカル、南アフリカ

試験方法

各地域の試験会場でおこなわれます。
会話形式や記述式の回答はなく、「言語知識」「読解」「聴解」の3つをマークシート方式で回答します。

日本語能力試験(JLPT)各レベルの目安

出典:日本語能力試験 公式ウェブサイト

各レベルの認定の目安と、問題例を紹介します。

【N1レベル】幅広い場面で使われる日本語を理解することができる

具体的には、以下のような日本語能力を持つ外国人が認定の目安となります。

  • 新聞の論説や評論などの、複雑な文章や抽象度の高い文章を読んで、その構成や内容が理解できる
  • 話題の内容に深みのある読み物を読んで、話の流れや詳細な表現・意図が理解できる
  • 自然なスピードの会話やニュースを聞いて、話の流れや内容が理解できる
  • 会話や講義を聞いて、登場人物の関係や論理構成などを理解したり要旨が把握できる
N1レベルの問題例

 

【N2レベル】日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解することができる

具体的には、以下のような日本語能力を持つ外国人が認定の目安となります。

  • 新聞や雑誌の記事・解説、簡単な評論を読んで、内容が理解できる
  • 一般的な話題に関する読み物を読んで、話の流れや表現・意図が理解できる
  • 自然に近いスピードの会話やニュースを聞いて、話の流れや内容、登場人物の関係が理解できる
N2レベルの問題例

 

【N3レベル】日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる

具体的には、以下のような日本語能力を持つ外国人が認定の目安となります。

  • 日常的な話題について書かれた具体的な内容の文章を、読んで理解できる
  • 新聞の見出しなどから情報の概要がつかめる
  • 難易度がやや高たかい文章は、言い換えて表現してもらえば理解できる
  • やや自然に近いスピードの会話を聞いて、具体的な内容を登場人物の関係などとあわせてほぼ理解できる
N3レベルの問題例

 

【N4レベル】基本的な日本語を理解することができる

具体的には、以下のような日本語能力を持つ外国人が認定の目安となります。

  • 基本的な語彙や漢字を使って書かれた身近な話題の文章を、読んで理解できる
  • 日常的な場面でややゆっくりと話される会話であれば、内容がほぼ理解できる
N4レベルの問題例

 

 

【N5レベル】基本的な日本語をある程度理解することができる

具体的には、以下のような日本語能力を持つ外国人が認定の目安となります。

  • ひらがなやカタカナ、基本的な漢字で書かれた定型的な語句や文章を、読んで理解できる
  • 日常生活によくある場面で、ゆっくりと話される短い会話であれば、必要な情報が聞き取れる
N5レベルの問題例

 

国際交流基金日本語基礎テスト(JFT)とは

出典:国際交流基金日本語基礎テスト 公式ウェブサイト

国際交流基金日本語基礎テスト(JFT)の概要

国際交流基金日本語基礎テストは、日本の生活場面でのコミュニケーションに必要な日本語能力を測定し、日本語教育の参照枠で設定されているA2レベルの日本語力(ある程度日常会話ができて生活に支障がない程度)があるかどうかを判定する試験です。

在留資格「特定技能1号」の取得要件に含まれる日本語能力(A2)に達しているかどうかを測る試験として活用されることが多いです。

試験の対象者

原則、日本語を母語としない方を受験対象としています。
主に「就労」のために来日する外国人を対象としています。

試験のレベル

試験はA2レベルの1種類です。
250点満点中、200点以上が合格の基準となります。

実施場所・回数

原則毎月、以下の場所で実施されます。※国によっては毎月実施されない場合もあります

【東アジア】
日本(国内47都道府県)、モンゴル
【東南アジア】
インドネシア、カンボジア、タイ、フィリピン、ベトナム、ミャンマー
【南アジア】
インド、スリランカ、ネパール、バングラデシュ
【東欧】
ウズベキスタン

試験方法

各地域の試験会場でおこなわれます。
会話形式や記述式の回答はなく、「文字と語彙」「会話と表現」「聴解」「読解」の4つをコンピューター・ベースト・テスティング方式で回答します。

コンピューターを使用して出題・解答するため、判定結果はテスト終了時の画面でわかります。

国際交流基金日本語基礎テスト(JFT)レベルの目安

具体的には、以下のような日本語能力を持つ外国人がA2判定の目安となります。

  • ごく基本的な個人的情報や家族情報、買い物、近所、仕事など、直接的関係がある領域でよく使われる文や表現が理解できる
  • 簡単で日常的な範囲なら、身近で日常の事柄についての情報交換に応じることができる
  • 自分の背景や身の回りの状況など、直接的な必要性のある領域の事柄を簡単な言葉で説明できる
A2レベルの問題例

 

出典:国際交流基金日本語基礎テスト 公式ウェブサイト

その他、外国人労働者の日本語力をはかる方法

本記事では「日本語能力試験(JLPT)」と「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT)」について紹介しましたが、日本語能力を測る試験はこの2つ以外にもさまざまあります。

他の日本語能力試験の結果で日本語力を確認する

在留資格の中には取得時に日本語能力の証明が不要なものがあります。
これらの在留資格を持っている外国人は「日本語能力試験」や「国際交流基金日本語基礎テスト」ではなく、別の試験を受けている場合があります。

採用面接などで彼らの日本語能力を確認したい場合は、以下の対照表のように各試験のレベルが「日本語教育の参照枠」の何レベルに値するかを把握しておくことをおすすめします。

日本語教育の参照枠/CEFR日本語能力試験(JLPT)国際交流基金日本語基礎テスト(JFT)日本語能力試験(JPT)ACTFL-OPI 実用日本語検定(J.TEST)標準ビジネス日本語テスト(STBJ)外国人日本語能力検定(JLCT)日本語コミュニケーション能力測定試験(JLCAT)
C2超級A-Cレベル 900点C2
C1N1880 上級上A-Cレベル 700点800点JCT1C1
B2N2740点上級中〜下A-Cレベル 600点650点JCT2B2
B1N3610点中級上〜中D-Eレベル 500点450点JCT3B1
A2N4200点370点中級下D-Eレベル 350点250点JCT4A2
A1N5315点初級上F-Gレベル 250点JCT5A1
※相互参照できるデータは公表されていないことがあるため、おおよその目安を表にしています

在留資格の取得要件に含まれる、業種別の評価試験

在留資格の中には、取得要件に「専門分野で使われる日本語」の試験合格が含まれているものがあります。
たとえば「特定技能」で介護業務にあたる場合は「介護日本語評価試験」に合格する必要があります。
そのほかにも「医療」や「法律・会計業務」など、日本の国家資格が必須の職業は試験が日本語で出題されるので、相当高い日本語力が必要です。

外国人労働者が特定の業種で働くためには、相応の日本語能力が求められることを覚えておきましょう。

参考:出入国在留管理庁 試験関係

さいごに

今回紹介したように、日本語能力をはかる方法はさまざまあります。
C1〜B2レベルの外国人は業務上のコミュニケーションがスムーズに取れる傾向がありますが、B1〜A1レベルの外国人を採用する場合は入社後に日本語力を伸ばしていくことも検討するべきでしょう。

「今年中に、試験のA2レベルに合格」といった明確な目標を決めると、外国人のモチベーション向上にも繋がります。
日本語教育などのサポートを充実させて、外国人にとって働きやすい会社をつくっていきましょう。