現代は少子高齢化の進展により、労働力が不足している企業が加速度的に増えています。そのため正社員だけでなく、アルバイトやパートの募集でさえも困難な状況に陥っている業界もあります。

そんな中、外国人労働者は頼もしい存在となっています。しかしながら外国人を雇用するためには特定の在留資格が必要で、アルバイトとして採用する場合も同じことがいえます。

外国人をアルバイトとして雇用するためには、どのような在留資格が求められるのでしょうか。

日本でアルバイトをする外国人の割合

厚生労働省は『「外国人雇用状況」の届出状況表一覧(令和4年10月末現在)』というデータを公表しており、その中には外国人労働者や資格外活動(留学)者、身分に基づく在留資格者の数が示されています。

令和4年時の、それぞれの具体的な数値は以下の通りです。

  • 外国人労働者数:1,822,725人 
  • 資格外活動(留学):258,636人
  • 身分に基づく在留資格:595,207人

出典:厚生労働省の「外国人雇用状況」の届出状況表一覧(令和4年10月末現在)

 

もし外国人労働者のうちアルバイトとして働く人が「資格外活動(留学)」のみであると仮定すると、アルバイトの割合は全体の14.18%です。

一方で「身分に基づく在留資格」を持つ人は雇用形態に制限がなく、正社員やアルバイトとして働くことができます。もし身分に基づく在留資格を持つ人の20〜30%(約119,000人〜178,000人)がアルバイトをしていると仮定すると、資格外活動(留学)の方全員と合計すると、377,636人〜436,636人となります。

この場合、外国人労働者全体の20%から23%程度なのではないかと予測できます。
しかしこの値はあくまで概算ですので、参考程度として考えましょう。

アルバイトで採用できる在留資格は?

アルバイトとして採用できる在留資格には、次のような種類があります。

  • 永住者
  • 永住者の配偶者
  • 日本人の配偶者
  • 定住者
  • 特定活動の中の「ワーキングホリデー」

※「ワーキングホリデー」の在留資格を持つ人もアルバイトをすることができます。

ちなみに上述した「身分に基づく在留資格」は、永住者、永住者の配偶者、日本人の配偶者、定住者の方がほとんどです。

「資格外活動許可」が必要な資格 

以下の在留資格をお持ちの方は、「資格外活動許可」を取得していればアルバイトをすることができます

  • 留学
  • 家族滞在
  • 文化活動

労働時間制限はある? 

資格外活動許可を得てアルバイトをする場合、1週間の労働時間は28時間以下です。

ただし留学生の場合には、夏休みなどの長期休業中は1日あたり8時間以下、1週間あたり40時間以下までなら働いても問題ありません。

職種制限はある?

在留資格が「留学」の場合、風俗営業関連の職種には就くことができません。

具体的には、以下のようなものも一般的は従事できません。

  • キャバクラ、ホストクラブなど
  • スナック、バーなど
  • パチンコ店、雀荘、ゲームセンターなど

また「文化活動」の在留資格の方の場合には、アルバイトは文化活動に関連する職種に限られます。

アルバイト採用の流れと手続き

外国人をアルバイトとして雇用する場合でも、採用の手続きや流れは基本的には日本人を採用するときと同じです。
アルバイトの採用手続きは、求人広告を出して、応募してくれた方々との面接を実施、採用が決まれば雇用契約を結びます。

採用後は社会保険の手続きを行いますが、これも日本人を採用する場合と同じように進めます。
なおアルバイトの方が雇用保険に加入する場合は、ハローワークに「雇用保険被保険者資格取得届」という書類を提出します。

この書類には、アルバイトとして雇う方の「在留資格」「在留期間」「国籍・地域」などが記載されます。
アルバイトの方が雇用保険に加入しない場合は、雇用と離職に関する「外国人雇用状況届出書」に、アルバイトをする方の氏名、在留資格、在留期間、国籍・地域などの必要事項を記入して提出します。

外国人のアルバイトを採用する際の留意点

外国人のアルバイトを採用する際に、特に注意すべきは以下の2点です。

  • 在留資格
  • 日本語の理解度

在留資格は「在留カード」で確認することができます。

また在留資格が「留学」などで、アルバイトをするためには資格外活動許可が必要な場合は、在留カードの裏面にある「資格外活動許可欄」に「許可」と記載されているかを確認しましょう。

日本語がどの程度話せるかを確認

次に、外国の方がどの程度日本語を話せるかも確認しておきます。

コミュニケーションがあまり必要ない単純な作業の場合には、日本語能力検定の「N4」や「N5」で問題ありませんが、接客や日本人とのコミュニケーションを含むアルバイトの場合は、「N3」以上のレベルが求められるでしょう。

まとめ|外国人労働者は前年比で10万人近く増加

令和4年度の時点で、外国人労働者は前年比で9万5千人程度増加しています。
対前年で5.5%という、平成19年度以降で過去最高を記録しました。
一方で15〜64歳の日本人の人口は、29.6万人の減少。

年々外国人が増えている印象を持つ方も多いでしょうが、それよりも何倍も日本人の人口も減っているのが現状です。
外国人採用という言葉が現在は使われていますが、今後は単に採用したのが外国人だったというケースが増えていきそうです。

世界から日本への訪問客も増えますので、ぜひアルバイトで外国人の方を採用してみてはいかがでしょうか。