特定活動ビザでは就労できない?

昨今の日本では、人材不足の影響などにより、外国人採用が盛んに行われるようになりました。外国人が日本で就労するためには在留資格が必要です。外国人雇用の多様化が進み、在留資格の中でも、特定活動ビザを利用して日本に滞在している外国人が年々増えてきています。
しかし、「特定活動ビザって何?」「働いていいの?」と疑問に思う方が多いのではないでしょうか?
そこで今回は、特定活動ビザとは何か、またどんな種類があるのか、就労は可能なのかなど、詳しく解説していきます。
特定活動ビザで就労できるのか
日本に滞在したい外国人にとっては欠かせない存在である在留資格。在留資格には種類が様々で、就労できるものとそうでないものがあります。その中でも法務省が外国人個人に対して定めた特定活動ビザというものがあります。
以下では、特定活動ビザとは具体的に何なのか、就労は可能なのかを説明していきます。
特定活動ビザとは?
外国人が日本に滞在するには、滞在する目的に応じて在留資格が必要です。在留資格は入国管理法で定められており、種類は約20種類以上。資格によっては就労が認められていない資格もあります。
就労するためには経営や会計、法律、医療などに従事する場合は、高度専門職としてそのカテゴリに在留資格を取得する事が可能となります。
一方で特定資格のカテゴリに当てはまらないケースのために「特定活動ビザ」が設けられています。特定活動とは、法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動です。
特定活動のビザは法務省で最大5年。在留期間は活動内容により定められています。
特定活動ビザでは、種類によって活動内容が様々です。就労が可能か記載がなければ就労することができません。特定活動ビザを持っているからといって就労できるとは限らないので注意しましょう。
その種類は
特定活動ビザには様々なケースがあり、全部で約40種類以上。その中の一部をご紹介いたします。
1.外交官等の家事使用人
該当する外交官の使用する言語で日常会話ができ、個人的使用人として雇われた18歳以上の者が、雇用した外国人の家事に従事する活動。
2.高度専門職、経営者等のメイド
以下の条件で、該当する外国人の使用する言語で日常会話ができ、個人的使用人として雇われた18歳以上の者が、月20万以上の報酬を受けて、雇用した外国人の家事に従事する活動。
- 高度専門職外国人でで世帯年収1,000万円以下かつ、申請人以外に使用人を雇用しておらず、家事に従事することが難しい配偶を有する場合。
- 申請人以外に使用人を雇用していない経営・管理の在留資格を持っている事業所長又はその地位に準ずるもので、13歳未満か家事に従事できない配偶者を有する場合。
- 申請人以外に使用人を雇用していない法律・会計事務在留資格を持っている事業所長又はその地位に準ずるもので、13歳未満か家事に従事できない配偶者を有する場合。
3.アマチュアスポーツ選手
オリンピックなどの国際大会の出場経験をもった外国人で、月25万円で雇用されたアマチュアスポーツ選手としての活動。
4.ワーキングホリデー
日本の生活様式を理解するために、一定期間の休暇を過ごす活動。また、その活動を行うために必要な旅行資金を補うための資金を受け取る活動。
5.インターンシップ
外国人大学生が教育課程の一貫として大学と日本企業の契約に基づき、報酬を受け取って企業の業務に従事する活動。
ただし、活動期間は1年を超えない期間でかつ、通算して大学修業過程の2分の1を超えない期間であること。
6.製造業務従事者
日本の公私機関が策定し、経済産業大臣が認定した製造特定活動に基づいて、該当する外国の事業所の職員が、日本の事業所で技術と知識を身につけるために製造業務に従事する活動。
7.技能実習活動
外国人が日本において、実習実施をしている企業と雇用契約を結び、該当外国人の住む国では習得不可能な技術を習得する為の活動。
8.就職内定者及びその家族の継続在留活動
大学や専門学校を卒業後も就職活動を継続し、来春入社の内定をもらった場合、入社までの期間、特定活動が付与される。
告示と告示外の違いは?
特定活動には、法務省によって明確に明記されている告示特定活動と、明確に記されていない告示外特定活動、入管法の中で規定された特定活動の3つに大きく分けられます。
では告示特定活動と告示外特定活動とではどのような違いがあるのでしょうか?
告示特定活動は、ワーキングホリデーやインターンシップなど、法務省によってあらかじめ告示されている指定活動をさします。
一方、告示外特定活動とは、法務省によって告示されていない指定活動です。大学等を卒業後の外国人留学生の親を母国から呼び寄せるなどの活動が告示外特定活動に当てはまります。
留学生として大学在学中に内定を獲得し、卒業後、入社までに期間がある場合、日本に滞在するという理由で告示特定活動から告知外特別活動の在留資格に変更することもできます。告示活動は2018年時点で43種類にも及び、今後も増え続けていくでしょう。
特定活動ビザで就労するには
特定活動は元々は就労を前提として定められたわけではありません。そのため、全ての特定活動が就労できるわけではなく、就労できるものとできないものがあります。
では、特定活動ビザで就労するにはどのようにすれば良いでしょうか。詳しく説明していきます。
指定書とは?
特定活動の内容は非常に様々。滞在期間も人によって全く異なるため、第三者が在留資格を見ても、どんな活動で在留が許可されているのか知ることができません。
そのためにあるのが「指定書」です。指定書は在留カードと一緒に発行され、特定活動の具体的な内容が記載されています。
その人がどんな活動で在留が許可されているのか、雇用側は何をさせてはいけないのかなどは指定書を見て判断をすることが可能なのです。
指定書は基本的にパスポートに添付されます。外国人を雇用する場合は、在留カードと一緒にパスポートの指定書も確認するようにしましょう。指定書に記載のない活動を行わせてしまうと違法行為になってしまいます。本人はもちろん、雇用側にも注意が必要です。
就労するには?
特定活動ビザでは全ての在留資格が就労できるわけではありません。しかし、在留が認められていない在留資格であっても、法務省に資格外活動申請を行うことで就労ができるようになります。
例えば、日本に留学に来ていた外国人が卒業後、就職までの期間、生活をするためにアルバイトが必要な場合があります。この場合、資格外活動申請をすれば比較的に就労が許可されやすいです。
審査には2週間から長くて2ヶ月かかります。申請は、許可をもらう本人以外にも、雇用予定の企業従業員も行うことが可能です。
特定活動でも就労できるのか??
特定活動ビザでは全ての在留資格で就労ができるわけではありません。しかし、資格外活動許可の申請を行うことで就労が可能になる場合があります。特定活動ビザで就労が許可されていないからといって就労できないわけではないのです。
外国人が日本で就労するには在留資格が必要です。その在留カードが特定活動ビザの場合は、必ず指定カードの内容を確認しましょう。指定されている活動内容をしっかり確認し、会社の就労条件に当てはまるかどうか、雇用側も注意を払うことが重要なポイントです。