日本で難民認定申請を行う外国人が、どのような在留資格で滞在し、どのように生活を送るのかを知っていますか。特定活動ビザは、申請者が日本で生活基盤を確立し、場合によっては就労できる重要な制度です。

本記事では、難民認定申請中の特定活動ビザの詳細について分かりやすく解説します。

日本の難民認定の現状

日本の難民認定制度は、1982年に「難民の地位に関する条約」(難民条約)および「難民の地位に関する議定書」(議定書)を批准したことにより導入されました。これにより、迫害から逃れてきた外国人が日本で保護を受けることが可能となりました。

しかし、出稼ぎ目的の難民認定申請が大量にあったため、2018年に「難民認定の厳格化」が行われ、難民認定を得ることが難しくなりました。

2023年には13,823人が難民申請を行いましたが、認定されたのはわずか303人でした。認定数は過去最多となりましたが、世界でも類を見ない極めて少ない数です。

一方で、人道的配慮による在留許可が増加しており、特定活動ビザの付与などが行われています。

難民認定申請期間の在留資格について

難民認定を申請すると、多くの場合、結果が出るまで「特定活動」という在留資格をもらえます。

申請結果が出るまでの間、日本に滞在するためには、申請をした後、現在持っている在留資格の満了日までに在留資格変更または更新の手続きを行う必要があります。

在留資格変更とは、どれかの在留資格で在留している外国人が、在留目的とする活動を変更して別の在留資格に当てはまる活動を行おうとする場合に、新しい在留資格に変更するために行う申請です。

難民申請とは別の手続きであるため、忘れずに行うことが重要です。

「特定活動」ビザとは

特定活動は、日本の在留資格のひとつで、他の在留資格に該当しない活動を行う外国人に対して付与されます。この在留資格は、法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動に基づいて決定され、多岐にわたる活動内容に対応できるよう設けられています。

特定活動ビザは、大きく分けて以下の3つの種類に分類されます。

法務大臣が個々に指定する活動:外交官等の家事使用人、ワーキング・ホリデー、経済連携協定に基づく外国人看護師・介護福祉士候補者などが該当します。

告示特定活動:法務大臣が告示によって指定した活動で、現在46種類あります。例えば、インターンシップ、サマージョブ、国際文化交流などが含まれます。

告示外特定活動:他の在留資格や告示特定活動に該当しない場合に認められるもので、個別に法務大臣の許可が必要です。例えば、就職活動を継続する留学生や、在留資格更新が不許可となった場合の出国準備期間などが該当します。

就労ビザへの変更

難民申請は審査期間も長く、その申請内容に法律で規定された理由がない場合ほとんどが不許可となっていることから、もしこれから難民申請を検討している場合は、配偶者ビザ、就労ビザでの申請ができないかを検討する必要があります。

就労ビザへの変更

難民認定申請期間で特定活動を保有していても、技術・人文知識・国際業務や、経営管理などの就労ビザの申請要件を満たす場合、就労ビザへの在留資格変更申請ができます。

しかし、難民申請からの変更して就労ビザの申請をすると、難民申請をしたこと自体がマイナス材料となり、審査が厳しくなります。

配偶者ビザへの変更

就労ビザと同じく、難民申請期間で特定活動を保有していても、配偶者ビザの申請要件を満たす場合は、配偶者ビザへの在留資格変更申請ができます。

このビザも、難民申請をした経緯が審査においてマイナスとなることから、審査が厳しいものとなります。

しかし、配偶者ビザへの申請の場合は、就労ビザへの申請と異なり、人道的事情も考慮されて審査されることが多いため、より変更が認められやすいです

おわりに

いかがでしたでしょうか。

難民認定申請は許可が下りることが少ないため、これから申請をしようとしている人が周囲にいる方は、就労ビザや配偶者ビザで申請ができないかをお話してみてください。