入管法改正で強制送還?!担当者が知らないと危険なこと

外国人材の採用が不可欠となるなか、2024年から段階的に施行されている改正入管法(出入国管理及び難民認定法)により、企業が注意すべき点が変化しています。特に「強制送還」に関するルールが厳格化され、これまで以上に適正な雇用管理が求められるようになりました。
「知らなかった」では済まされない事態を避け、安定して外国人材に活躍してもらうために、何を知り、どう行動すべきか。
この記事では、外国人採用を行うすべての企業の担当者様に向けて、法改正の重要ポイントと、今日から実践できる具体的な対策を分かりやすく解説します。
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【3つのポイント】今回の入管法改正、採用担当者が押さえるべきはココ!
今回の法改正は多岐にわたりますが、採用担当者がまず押さえるべき重要なポイントは3つです。
ポイント1:在留資格を取り消された場合、速やかに退去強制手続きへ
今回の改正で最も注意すべき点の一つが、在留資格を取り消された外国人の扱いです。
従来、在留資格が取り消されても、本人が出国を希望すれば「出国命令制度」の対象となり、一定の出国準備期間が与えられる場合がありました。しかし、法改正により、一部の例外を除いて在留資格を取り消された外国人は、速やかに退去強制(強制送還)の手続き対象となります。
また、在留資格の取消事由も追加されています。例えば、正当な理由なく在留カードの再交付申請や受領をしない場合なども、在留資格取消しの対象となり得ます。
これは、企業にとって「雇用していた従業員が、ある日突然、強制送還の対象となる」リスクが、より現実的になったことを意味します。
(参照:令和5年入管法等改正について | 出入国在留管理庁)
ポイント2:「監理措置」制度の新設(知識としての理解)
法改正により、退去強制の対象となった外国人を収容する代わりに、監理人(親族や支援者など)の監督下で社会生活を送りながら手続きを進める「監理措置」制度が新設されました。
これは主に難民認定申請中の外国人などを対象とした制度です。企業が直接「監理人」になるケースは限定的と考えられますが、このような新しい制度が始まったことは、法改正の背景知識として理解しておくと良いでしょう。
ポイント3:「不法就労助長罪」のリスクを改めて確認
今回の法改正で「不法就労助長罪」そのものの条文が変更されたわけではありません。しかし、在留資格の管理が厳格化されたことで、結果として企業がこの罪に問われるリスクへの注意が一層必要になりました。
不法就労と知りながら外国人を雇用したり、斡旋したりした場合、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金が科せられます。これには、「オーバーステイと知らなかった」「在留カードの期限が切れていることに気づかなかった」といった過失も含まれるため、確認不足が重大な結果を招く可能性があります。
(参照:e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法 第七十三条の二」)
これだけは実施したい!強制送還リスクを回避する3ステップ
では、企業は具体的に何をすべきでしょうか。ここでは、すぐに実践できる3つのステップを紹介します。
ステップ1:【採用時】在留カードの確認項目の徹底(最新版)
最も重要かつ基本的な対策が、採用時の在留カード確認です。以下の項目を必ずチェックしてください。
- 有効期間:在留期間が満了していないか。
- 就労制限の有無:「就労不可」や「指定書により指定された就労活動のみ可」となっていないか。
- 資格外活動許可欄:アルバイト等で雇用する場合、裏面の「資格外活動許可欄」に「許可」のスタンプがあり、その範囲内(原則週28時間以内など)であるか。
また、偽変造カード対策として、出入国在留管理庁が提供する「在留カード等番号失効情報照会」サイトで、カード番号が有効かを確認することも極めて有効です。スマートフォンのアプリ「在留カード等読取アプリケーション」を使えば、ICチップの情報を読み取ることもできます。
ステップ2:【雇用中】在留期間の更新漏れを防ぐ管理体制の構築
採用時の確認だけで安心はできません。雇用している外国人従業員の在留期間を把握し、更新漏れを防ぐ体制づくりが不可欠です。
- 管理台帳の作成:Excelやスプレッドシート、専用の労務管理システムなどを活用し、従業員ごとの在留資格と在留期限を一覧で管理します。
- リマインドの仕組み化:在留期限の3ヶ月前、1ヶ月前など、アラートを出す仕組みを作り、本人に更新手続きを促します。
更新手続きは従業員本人が行うものですが、企業側が期限を把握し声かけを行うことで、意図しないオーバーステイ(不法滞在)のリスクを大幅に減らすことができます。
ステップ3:【トラブル時】相談できる専門家や機関の把握
万が一、在留資格に関して不明な点やトラブルが発生した場合は、社内だけで抱え込まず、速やかに専門家や公的機関に相談してください。
- 外国人在留総合インフォメーションセンター:電話や窓口で、入国・在留手続きに関する様々な問い合わせに対応しています。
- 行政書士:在留資格の申請を専門とする行政書士は、複雑なケースの良き相談相手となります。
- 弁護士:法的なトラブルに発展した場合に頼りになります。
事前に相談先をリストアップしておくだけで、いざという時の初動が大きく変わります。
よくある質問:アルバイトや派遣でも対応は必要?
ここでは、特にブルーカラー職種の採用でよく寄せられる質問にお答えします。
Q1. アルバイト採用でも、正社員と同じように確認が必要ですか?
A1. はい、全く同じように必要です。 雇用形態に関わらず、不法就労させた場合の企業の責任(不法就労助長罪)は同じです。短時間のアルバイトであっても、必ず在留カードの原本を確認し、必要な情報を記録してください。
Q2. 「資格外活動許可」があれば、どんな仕事でも任せられますか?
A2. いいえ、制限があります。 「留学」や「家族滞在」の在留資格を持つ人が得る「資格外活動許可」は、原則として週28時間以内という時間制限があります。また、パチンコ店やバーなど、風俗営業関連の業務に従事することは禁止されています。許可の内容を正しく理解し、遵守させてください。
Q3. 本人が「在留期間の更新は大丈夫」と言っていますが、信じて良いですか?
A3. 言葉だけでなく、必ず「モノ」で確認してください。 本人が悪意なく状況を誤解している可能性もあります。必ず更新後の新しい在留カードの原本を提示してもらい、企業側で内容を確認・記録することが鉄則です。
まとめ:法改正は、外国人従業員と良好な関係を築くチャンス
今回の入管法改正は、企業にとって管理体制の見直しが求められる厳しい内容にも見えます。しかし、これは見方を変えれば、コンプライアンスを徹底し、外国人従業員が安心して長く働ける環境を整備する絶好の機会です。
正確な知識に基づいた適正な雇用管理は、企業を法的リスクから守るだけでなく、従業員との信頼関係を深め、貴重な人材の定着にも繋がります。
この記事で紹介したチェックリストを参考に、ぜひ自社の採用・労務管理体制を再点検してみてください。
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