近年、日本のブルーカラー業界では、労働力不足が深刻な問題となっています。建設業や製造業、介護など、体力や技能を要する職種は特に若い労働力の減少に直面しており、国内での採用が難しくなっています。このような状況において、外国人労働者の採用が企業にとって重要な解決策となっています。

外国人労働者は、在留資格によって日本での就労可能な職種が決まっており、特定の資格を持つことで、さまざまなブルーカラー職に従事することが可能です。

本記事では、外国人が持つ在留資格ごとに、どのようなブルーカラーの仕事が可能なのかを具体的に紹介します。企業が人手不足の解消に向けて、外国人労働者の採用を効果的に活用できるよう、在留資格に応じた採用のポイントをお伝えします。

人手不足の理由

少子高齢化

日本の人口構造は少子高齢化が進んでおり、若年層の労働力が減少しています。特にブルーカラー業界では、体力を必要とする作業が多く、若い世代の労働者が必要ですが、労働市場に出る若年層が減少しているため、十分な人材が確保できない状況が続いています。

若者のブルーカラー離れ

日本では、若者の間でブルーカラー職業への関心が低下しています。多くの若者が大学や専門学校に進学し、ホワイトカラーやサービス業への就職を志向しているため、ブルーカラー業界への就職希望者が減少しています。また、ブルーカラー職は肉体的に厳しいというイメージや、給与や労働条件に対する不満から敬遠されがちです。

労働環境の厳しさ

ブルーカラー業界では、長時間労働や体力を使う作業が多く、特に建設業や製造業などでは労働環境が厳しいことが指摘されています。厳しい労働環境は、労働者の定着率を下げ、新規採用の難しさを助長しています。過酷な労働環境が理由で、離職率が高くなりがちなため、常に人手不足に悩まされる業界も少なくありません。

高齢化による退職者の増加

ブルーカラー業界の労働者の中には、高齢者が多く含まれています。特に、建設業や製造業などでは、ベテランの労働者が年齢とともに退職していく一方で、若い世代の労働者が十分に補充されていません。この高齢化に伴う退職者の増加も人手不足の一因です。

地域格差

都市部ではまだ比較的求人が多く集まりやすいものの、地方ではさらに人手不足が深刻化しています。地方のブルーカラー業界は、若者が都市部に流出することで地元の労働力が減少し、採用が難しくなっています。特に農業や漁業、建設業など、地方での需要が高い業界では人手の確保が困難です。

在留資格ごとにできる仕事

特定技能ビザ

特定技能ビザは、特に人手不足が深刻な業界で働く外国人向けに設けられたビザです。特定技能には1号と2号があり、1号は主に基礎的な技能を要する職種、2号は高度な技能を要する職種に対応しています。

建設業:特定技能1号と2号を持つ外国人は、建設現場での土木作業や設備工事、溶接作業などに従事できます。建設業界は常に人手不足が叫ばれており、外国人労働者は重要な役割を果たしています。

製造業:自動車部品の製造、電子機器の組立、金属加工など、幅広い分野で活躍しています。特に、特定技能1号は工場のライン作業などで大きな需要があります。

農業・漁業:農作物の栽培や収穫作業、漁業での魚の養殖など、労働力の確保が難しい農業・漁業でも特定技能ビザを持つ労働者が増えています。

技能実習生

技能実習制度は、日本で技術や技能を学び、母国でその知識を活かすことを目的としたプログラムです。このビザは、日本での実務経験を通じて実際に技術を習得することが重視されており、多くのブルーカラー職が含まれます。

建設業:技能実習生は、建設現場での作業や設備の取り付け、解体作業など、現場作業を担います。特に、日本国内の大規模な建設プロジェクトでの人手不足解消に貢献しています。

製造業:工場での機械操作や製品の組立、検品作業が代表的です。技能実習生は、特定の製品やプロセスに特化した技能を身につけるため、企業にとって貴重な労働力です。

介護業:高齢者介護の現場でも技能実習生が働いており、介護施設での生活支援や身体介護などに従事しています。日本の介護業界は深刻な人手不足に直面しており、外国人のサポートは不可欠となっています。

永住者ビザ

永住者ビザを持つ外国人は、日本での滞在が制限されないだけでなく、職業選択の自由もあります。これは、日本人と同様に、あらゆる職種に就くことが可能であるということです。ブルーカラーの仕事に就きたい外国人にとって、永住者ビザは最も柔軟性が高いビザです。

建設業:永住者ビザを持つ外国人は、建設現場での作業はもちろん、配管工や電気工事士などの専門職にも従事できます。

製造業:工場での組立作業、機械操作、品質管理といった業務に携わることができます。製造業のブルーカラー労働力の需要が高まる中で、永住者ビザを持つ労働者の活躍が期待されています。

運輸業:トラック運転手や配送業務にも就くことが可能です。物流業界では、運転免許を持つ外国人労働者が多く採用されています。

定住者ビザ

定住者ビザも永住者ビザと同様に、職業選択の自由があります。このビザを持つ外国人も、あらゆるブルーカラーの仕事に従事することが可能です。

建設業:建築現場の作業員として働くだけでなく、配管工や溶接工など、専門的な技能を活かした職業にも従事できます。

製造業:工場のライン作業、製品の組み立て、検査などの業務が可能です。製造業における人手不足の解決において、定住者ビザを持つ外国人労働者は重要な役割を果たしています。

サービス業・清掃業: 宿泊施設や商業施設の清掃、ビルメンテナンスなど、定住者ビザを持つ外国人が多く活躍しています。

留学生ビザ(資格外活動許可)

留学生ビザを持つ外国人は、資格外活動許可を取得することで、週28時間以内のパートタイム労働が可能です。これにより、ブルーカラーの仕事に就く留学生も多く見られます。

飲食業:ファストフード店やレストランでのホール業務や調理補助として働くことが多いです。特に、繁忙期には留学生のアルバイトが重要な戦力となっています。

清掃業:ビルやホテルでの清掃業務も一般的です。パートタイムでの勤務が中心ですが、清掃業界では重要な労働力となっています。

物流業:倉庫作業や商品のピッキング、梱包など、物流業界でのアルバイトも人気があります。留学生は、特に短期間での労働が必要な繁忙期に多く雇用されます。

日本人の配偶者等ビザ

日本人の配偶者等ビザを持つ外国人も、職業選択に制限がなく、ブルーカラーの仕事に自由に従事することが可能です。

建設業:配偶者等ビザを持つ外国人は、建設現場での作業員として働いたり、専門職として設備の設置や修理を行うことが可能です。

運輸業:トラック運転手や物流業界でのドライバーとして活躍することができます。特に、物流業界では即戦力として期待されています。

介護業:高齢者施設での介護スタッフとして働くことも可能で、日本の介護業界の人手不足解消に大きく貢献しています。

おわりに

日本のブルーカラー業界は、深刻な人手不足に直面しています。外国人労働者は、その解決策として大きな可能性を持っています。在留資格ごとに就労可能な職種は異なりますが、特定技能ビザや技能実習生、永住者・定住者ビザを持つ外国人は、多くのブルーカラー職に従事することができ、業界の労働力不足を補う存在です。

企業が外国人労働者の採用を進めることで、長期的な成長を実現するための重要な労働力を確保することができるでしょう。