フィリピン人を雇用する際に知っておきたい! DMW(旧POEA)、MWO(旧POLO)とは?
日本における外国人労働者の中でも多数の数を誇るフィリピン人ですが、フィリピン人の受け入れにはどのような手続きが必要なのでしょうか?
実は他の国と比べて少し複雑なフィリピンの受け入れ制度。
今回はフィリピン人を受け入れる際に必要となるMWO(旧POLO)・DMW(旧POEA)の知識や手続き方法についてわかりやすく解説します。
目次
MWO(旧POLO)・DMW(旧POEA)とは?

フィリピン人雇用の際に必須の「DMW」「MWO」の機関についてそれぞれ、解説していきます。旧POEA、POLOはそれぞれ2023年のフィリピン政府の組織再編によって、名称が変更されました。
1. DMW(旧POEA)とは?
DMWとは、フィリピンの移住労働者省(Department of Migrant Workers)の略称で、海外で働くフィリピン人の権利保護や福利厚生の促進を目的とした政府機関です。
これまでフィリピン海外雇用庁(POEA)や労働雇用省(DOLE)など複数の機関に分かれていた海外就労者関連の業務を一元化し、フィリピン人海外労働者(OFW)の保護や雇用支援をより効率的に行うことを目的としています。
海外で働くフィリピン人の権利保護、労働契約の認可、派遣先企業の認定などを管轄する中核的な機関となっています。
2. MWO(旧POLO)とは?
MWOとは、移民労働者事務所(Migrant Workers Office)、世界各国にあるDMWの出先機関のことです。
以前は「POLO(Philippine Overseas Labor Office)」と呼ばれていましたが、DMW設立に伴い名称と機能が変更されました。
各国の在外公館や大使館に設置され、現地で働くフィリピン人労働者の支援や、雇用主・派遣先企業との調整、トラブル対応などを行っています。
日本にはMWO東京(在東京フィリピン共和国大使館 移住労働者事務所)と、MWO大阪(在大阪フィリピン総領事館 移住労働者事務所)の2つがあります。
【フィリピン人特定技能採用】なぜあの会社はフィリピン人を即戦力として採用できたのか? MWO、DMWの手続きについても解説!
フィリピン人雇用ではエージェントを通さない「直接雇用」は禁止
フィリピンでは、海外で働く労働者の「直接雇用(Direct Hiring)」は原則として禁止されています。これは、海外で働くフィリピン人を不当な労働条件やトラブルから守るための制度です。
そのため、日本の企業がフィリピン人を雇用する場合は、DMW認定の人材紹介会社を通して採用・契約を行う必要があります。
もし無許可で直接雇用を行った場合、企業・労働者ともに罰則や渡航制限の対象となる可能性があります。
安全で合法的な採用のためには、必ず認定エージェントを介すことが求められています。
フィリピン人材採用で必要な手続きの流れ

ここでは、日本企業が現地フィリピン人材を採用する際に必要な手続きの流れを解説します。
採用をスムーズに進めるためには、MWOやDMWなど複数の機関を経由して書類を提出・承認を得る必要があります。「フィリピンから新たに受け入れる場合」と「日本に在留するフィリピン人材を受け入れる場合」の2パターン解説します。
フィリピンから新たに受け入れる場合
STEP01: MWO認定の送り出し機関を探し、契約をする
まず、フィリピン政府に認定された送り出し機関(Recruitment Agency)と契約を結びます。この機関が、採用から書類提出、DMWへの申請までの一連の手続きを代行してくれます。認定を受けていない仲介業者を利用すると、違法雇用とみなされる可能性があるため注意が必要です。
フィリピン政府が認定する送り出し機関については、出入国在留管理庁のこちらのページから確認できます。
STEP02: 必要書類を準備し、MWOに提出
次に、DMWに雇用者として登録してもらうために、受け入れ企業側は必要書類を準備し、移住労働者事務所(MWO Tokyo)または在大阪フィリピン総領事館労働部門(MWO Osaka)へ郵送で提出します。
提出書類は特定のフォーマットに従って作成する必要があるため、具体的な書類内容と様式については、MWOのホームページ等でご確認ください。
STEP03: 書類審査通過後、面接の通知が届く
書類に不備がなければ、約2週間ほどで書類審査が完了します。不備があった場合には、書類は返還され、修正して再提出の必要があります。
書類審査が通過し次第、MWOから面接のスケジュールや詳細について通知されます。
STEP04: MWOでの面接
受け入れ企業の代表者、または従業員はMWOで労働担当官による英語での面接を受ける必要があります。面接の内容については、主に雇用の目的や業務内容、労働環境について質問されます。ここでは通訳の同席は認められていますが、コンサルティング業者や登録支援の方の代行は認められておりませんのでご注意ください。
また、場合によっては、受け入れ機関への実地調査も行われる場合があります。
STEP05: 承認されたら「登録推薦書」が届く
面接の結果、受入機関が適正であると判断された場合、MWOから提出書類一式と「登録推薦書」が郵送されます。
STEP06: フィリピン送り出し機関がDMWに書類を提出し、正式認可を受ける
STEP05で記述した書類が一式届いたら、フィリピンの送り出し機関へ送付してください。
送り出し機関を通じてこれらの書類をDMWに提出し、承認がされたら無事に受け入れ機関としての登録が完了します。
STEP07: 人材の募集を開始。採用を進める
STEP06までの手続きが完了し、初めて採用を行うことができます。送り出し機関経由で募集と面接を実施して採用する人材を決めます。
STEP08: 出入国在留管理局で認定証明書(COE)の交付を受ける
無事採用が決まったら、受入機関は出入国在留管理局で、在留資格認定証明書(COE)の発行申請を行いましょう。交付されたCOE原本は採用したフィリピン人材に送付します。
STEP09: フィリピン人材側でビザの申請
フィリピン人材は、STEP08で受け取ったCOEとともにフィリピンの日本大使館にて就労ビザを申請し、査証発給を受けます。
STEP10: フィリピン人材が送り出し会社を通じ、DMWにOECの申請をする
OECとは海外雇用許可のことで、フィリピン側の手続きを完了したことを証明する文書になります。申請が承認されると、OECが発行され、出国が認められます。
STEP11: 日本へ入国可能
OECとビザが揃ったらフィリピンを出国し日本への入国が可能になります。
日本に在留するフィリピン人材を受け入れる場合
日本に在留しているフィリピン人材を雇用する場合も、在留資格によっては手続きやMWO審査が必要になります。
フィリピン人材が身分系在留資格(永住者、定住者日本人の配偶者等)を持っている場合は、これらのMWOの手続きは不要です。
まとめ
いかがでしたか?このようにフィリピン人採用を行う際には、フィリピン独自の手続きや仕組みを理解して慎重に進めていく必要があります。手続きは複雑で時間もかかりますが、国の制度によって管理されているということでもあり、雇用後のトラブルも起きにくいというメリットがあります。
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