近年、日本の労働市場において外国人労働者の存在感はますます高まっています。人手不足の深刻化やグローバル化の進展を背景に、多くの企業が外国人材の採用に関心を寄せています。

本記事では、外国人採用を検討または実施されている企業の採用担当者様に向け、過去5年間の動向、在留資格別・産業別の詳細な分析を通じて、外国人労働者数の推移を解説していきます。

参照:厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ

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外国人労働者総数の推移

外国人労働者総数(人)対前年増減率(%)対前年増減率(%)
20191,658,804+198,341+13.6%
20201,724,328+65,524+4.0%
20211,727,221+2,893+0.2%
20221,822,725+95,504+5.5%
20232,048,675+225,950+12.4%
20242,302,587+253,912+12.4%

まず、日本国内における外国人労働者数の全体の流れを確認しましょう。

厚生労働省が発表した「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ」によると、2023年10月末時点での外国人労働者数は約204万8,675人に達し、過去最高を更新しました。これは、前年(2022年10月末)の約182万2,725人と比較して、約22万5,950人、率にして12.4%の大幅な増加です。

外国人労働者数の成長トレンド

外国人労働者数は分析期間を通じて一貫して増加傾向にありますが、その伸び率は時期によって大きく変動しています。

2019年(令和元年)までは、前年比13.6%増と高い伸びを示していました。これは、深刻化する国内の人手不足を背景に、外国人労働者への需要が高かったことを示しています。

しかし、2020年(令和2年)には新型コロナの世界的な拡大の影響を受け、増加率は4.0%に急減速しました。さらに2021年(令和3年)には、入国制限措置の長期化などにより、増加率はわずか0.2%と、ほぼ横ばいとなりました。この時期の停滞は、主に新規入国者の大幅な減少によるものであると考えられます。

その後、水際対策の段階的な緩和や経済活動の再開に伴い、2022年には増加率が5.5%に回復します。そして2023年には前年比12.4%増と、コロナ禍以前の高い水準に匹敵する伸びを記録しました。2024年も同率の12.4%増となり、増加数は25万人を超え、過去最多を更新しました。

このV字回復とも言える力強い回復と再加速は、コロナ禍においても潜在的な労働力需要が根強く存在していたこと、あるいはむしろ人手不足がさらに深刻化したことを示唆しています。

また、特定技能制度の活用拡大など、政策的な後押しも回復を支えた要因と考えられます。長期的な増加トレンドが継続していることは、日本経済における外国人労働者の不可欠性が構造的に高まっていることを物語っています。

今後の労働力確保において、外国人材への依存度はさらに高まる可能性があると言っていいでしょう。

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在留資格別の動向分析

在留資格201920202021202220232024
専門的・技術的分野329,034359,520394,509479,949595,904718,812
特定技能5207,26229,77379,054138,518約207,000
身分系在留資格531,781546,469580,328595,207615,934629,117
技能実習383,978402,356351,788343,254412,501470,725
資格外活動372,894370,346334,603330,910352,581398,167

専門的・技術的分野の在留資格

このカテゴリーは、技術者、人文知識・国際業務従事者、企業内転勤者、高度専門職、そして特定技能などが含まれます。期間を通じて一貫して増加しており、特に近年その伸びが加速しています。

対前年増加率は、2022年に+21.7% 、2023年に+24.2% 、2024年に+20.6% と、他の主要カテゴリーを大きく上回る高い水準で推移しました。

その結果、2024年には、労働者数が718,812人に達し、構成比も31.2%となり、長らく最大カテゴリーであった「身分に基づく在留資格」を初めて上回りました。この急増の背景には、2019年4月に導入された「特定技能」在留資格の著しい増加があります。

特定技能の労働者数は、2019年10月末の520人 から、2023年10月末には138,518人 へと急増し、2024年10月末には20万人を超えたと推計されます。2024年の年間増加数は、技能実習の年間増加数を初めて上回っており 、特定技能が外国人労働力の中核的存在となりつつあることを示しています。

この動向は、単なる労働力需要の増加だけでなく、特定技能制度が外国人労働者全体の構成を大きく変えつつあることを示しています。今後も、特定技能制度の運用状況や対象分野の拡大などが、このカテゴリーの動向を左右する重要な要素となると考えられます。

身分系在留資格

このカテゴリーには、「永住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」、「定住者」が含まれ、在留中の活動に制限がないため、様々な分野で就労できます 。

労働者数は、2019年の約53万人から2024年の約63万人へと、期間を通じて緩やかに増加し続けています。しかし、その対前年増加率は、2021年の+6.2% を除き、近年は+2%台で推移しており、他のカテゴリーと比較して伸びは緩やかです。

その結果、外国人労働者全体に占める構成比は、2024年には27.3%へと低下しました。このグループは、日本に定住している、あるいは家族を通じて日本社会と深いつながりを持つ人々が中心であり、長期的な定住化や国際結婚の動向などを反映していると考えられます。

技能実習

技能実習制度は、技能移転を通じた開発途上国への国際協力を目的とする制度である 。労働者数は、2019年には前年比+24.5%増と大幅に増加していましたが 、コロナ禍の影響を大きく受けました。入国が制限されたことにより、2021年には前年比-12.6% 、2022年には-2.4% と、2年連続で減少した。

その後回復に転じ、2023年には前年比+20.2%増 、2024年には同+14.1%増 となり、労働者数はコロナ禍以前の水準(約47万人)に回復した。

しかし、技能実習制度はその趣旨と実態の乖離が指摘されており、現在、新たな制度「育成就労」への移行が進められています 。2024年の増加率は、専門的・技術的分野を下回っており、また、年間増加数でも特定技能に抜かれたことは 、今後の制度移行を見据えた動きや、特定技能へのシフトが進んでいる可能性を示しています。

技能実習は依然として大きな割合を占めるカテゴリーですが、その将来的な位置づけは変化していく可能性が高いです。

資格外活動

このカテゴリーの大部分は、留学生が学業の傍ら行うアルバイトです 。そのため、このカテゴリーの労働者数は、日本への留学生の入国状況を色濃く反映しています。

労働者数は、2019年の約37万人から、コロナ禍における入国制限の影響で、2020年に微減、2021年に大幅減、2022年も減少が続きました。

入国制限の緩和が進んだ2023年には増加に転じ、2024年には+12.9%増 と回復が加速し、約40万人になりました。これは、留学生の受け入れが再び活発化していることが理由になっています。

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産業別の動向分析

産業201920202021202220232024
製造業483,278482,812465,729485,128552,399598,673
サービス業266,457277,617282,127295,700320,755不明
卸売業、小売業212,488232,784228,998237,928263,555不明
宿泊業、飲食サービス業234,956239,682203,492208,981不明不明
建設業104,949126,464110,018116,789144,935不明
医療、福祉39,47546,58157,78874,33990,842116,369

製造業

製造業は、分析期間を通じて一貫して外国人労働者数が最も多い産業です。2024年でも全体の26.0%を占め、約60万人が就労しています。

コロナ禍の初期には影響を受け、2021年には前年比-3.4%と減少しましたが 、その後は回復し、2023年には前年比+13.9%増と大きく伸びました。しかし、外国人労働者全体に占める割合を見ると、2019年の29.1% から2024年の26.0% へと、緩やかな低下傾向が見られます。

製造業における外国人労働者の多さは、国内の労働力不足が慢性化していること、そして技能実習生や特定技能外国人を受け入れやすい業種特性を反映していると考えられます。一方で、構成比の微減は、他の産業分野、特にサービス関連や専門職分野での外国人労働者の増加がより急速に進んでいることを示しています。

製造業は依然として外国人雇用の基盤ですが、成長を牽引する役割は相対的に他産業に移りつつあります。

サービス関連産業

以下のサービス関連産業は、合計すると製造業に匹敵する規模の外国人労働者を雇用しています。

サービス業(他に分類されないもの)

労働者派遣・請負事業などが含まれることが多く 、常に上位の雇用規模を持ちます 。景気変動の影響を受けつつも、安定した労働力需要があると考えられます。

卸売業、小売業

多くの外国人労働者が就労する主要産業の1つです。近年、増加率が上昇傾向にあり、これは国内消費の回復やインバウンド需要の増加と関連していると見られます。

宿泊業、飲食サービス業

コロナ禍で大きな打撃を受け、2021年には労働者数が減少しました。しかし、経済活動の再開とインバウンド観光客の急回復に伴い、近年は急速な回復が見られます。特に2024年の対前年増加率は16.9%と、前年の11.9%から大幅に上昇しており 、需要の急増に対応するための人材確保が急務となっています。

建設業

建設業は、期間を通じて外国人労働者数が著しく高い伸びを示しています。対前年増加率は、2020年に+20.5% 、2023年に+24.1% を記録するなど、常に全産業平均を上回る水準で推移しています。

この背景には、国内の建設業界における深刻かつ長期的な人手不足があります。労働者の高齢化が進む一方で、若年層の入職者が少なく、常に労働力確保が大きな課題となっています。

技能実習生や特定技能外国人(建設分野は特定技能の主要対象分野の一つ )の受け入れが積極的に進められてきた結果、高い増加率となって表れているようです。

今後も建設業における外国人労働者への依存は続くと考えられ、安定的な人材確保に向けた政策的支援の重要性が増しています。

医療と福祉

医療、福祉分野は、分析期間中、特に近年において最も高い成長率を示している産業です。対前年増加率は、2022年に+28.6%と全産業中トップとなり、2023年も+22.2% 、2024年には+28.1%と再び大きく伸びました。労働者数も、2019年の約4万人から2024年には11万人を超える規模にまで急増しています。

この爆発的な増加の最大の要因は、日本の急速な高齢化に伴う介護需要の増大です。介護現場の人手不足は深刻であり、その解決策として外国人材の受け入れが積極的に推進されてきました。

具体的には、EPA(経済連携協定)にもとづく介護福祉士候補者の受け入れ(特定活動の一部 )、在留資格「介護」の創設 、そして特定技能制度における介護分野の対象化 など、政策的な後押しが大きく寄与しています。

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おわりに

日本の人口減少と高齢化が今後も進むことを考えれば、外国人労働者への需要は引き続き高い水準で推移すると予想されます。政府も特定技能制度の目標人数を設定するなど、計画的な受け入れを進める方針を示しています。

一方で、課題も存在しています。コミュニケーションの問題、地域社会との共生など、多岐にわたる課題への対応が求められています。

外国人労働者は、単なる「労働力」としてだけでなく、日本社会を構成する一員として、その活躍と共生をいかに実現していくかが、今後の日本の持続的な発展にとって重要な鍵となるでしょう。

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