【2025年最新版】愛知県の外国人採用で利用できる助成金・補助金まとめ
「人手不足の解消」や「多様性の促進」を目的に外国人材の採用を検討する愛知県内の企業様にとって、初期費用の負担は大きな課題の一つです。採用活動、日本語教育、生活環境のサポート、さらには受け入れ体制の整備には、相応のコストがかかります。
幸いにも、国や愛知県、そして名古屋市や碧南市などの自治体では、外国人材の雇用や定着を支援するための多岐にわたる助成金・補助金制度が用意されています。これらを賢く活用することは、企業の財政的な負担を軽減し、より質の高い受け入れ体制を構築する上で不可欠です。
本記事では、2025年度の最新情報に基づき、愛知県内の企業が外国人採用・定着のために具体的に活用できる助成金・補助金をご紹介します。各制度の概要、対象となる経費、申請時期の目安をわかりやすく解説しますので、ぜひ貴社の採用計画にお役立てください。
目次
愛知県の外国人採用で使える主な助成金・補助金の一覧

【県制度】外国人材を採用する企業向けの補助金・助成金
| 助成金・補助金名 | 自治体 | 対象者 | 対象業種 |
| 外国人介護人材定着促進事業 | 愛知県 | 外国人介護人材の受入施設・受入予定施設又はこれらを経営する法人、介護福祉士養成施設又は日本語学校を運営する法人 | 介護業 |
| 外国人介護人材獲得強化事業 | 愛知県 | 外国人介護人材の受入施設・受入予定施設又はこれらを経営する法人、介護福祉士養成施設又は日本語学校を運営する法人 | 介護業 |
【その他制度】外国人材を採用する補助金・助成金
| 助成金・補助金名 | 自治体 | 対象者 | 対象業種 |
| 名古屋市外国人介護人材等導入支援事業 | 名古屋市 | 外国人介護人材等を初めて雇用する、市内の介護サービス事業所及び障害福祉サービス事業所等 | 介護業 |
| 碧南市介護人材育成等補助金 | 碧南市 | 市内に所在する介護保険法第8条に規定する介護サービスを実施する事業所 | 介護業 |
| 東浦町ボランティア活動支援交付金 | 東浦町 | 東浦町総合ボランティアセンター「なないろ」に登録しているボランティア | 業種の制限なし |
| 豊川市日本語能力試験受験費補助 | 豊川市 | 日本語を母語としない豊川市民で、日本語能力試験に合格した方 | 業種の制限なし |
| 蒲郡市日本語能力試験受験料補助 | 蒲郡市 | 蒲郡国際交流協会の個人会員、又は団体会員の事業所に勤める方で、日本語能力試験を受験した方 | 業種の制限なし |
| 日本語能力試験受験助成制度 | 西尾市 | 西尾市民で、日本語能力試験を受験した方 | 業種の制限なし |
各助成金・補助金の詳細(愛知県が行っているもの)
ここからは、各助成金・補助金の「概要・目的」「対象者」「補助対象・補助額」についてそれぞれ紹介していきます。
外国人介護人材定着促進事業(愛知県)
概要と目的
外国人職員と日本人職員の意思疎通の円滑化、外国人の日本語学習の支援、外国人の記録作業の負担軽減をし、外国人介護人材の介護現場における円滑な就労・定着を促進する目的での以下 (a) 及び (b) の取組を補助の対象とします。
(a) 外国人介護人材の活躍に資するツール等の導入支援及び活用促進
外国人介護人材が介護現場で円滑に就労・定着できるよう、外国人介護人材の活躍に資するツール等( 携帯型翻訳機、多言語対応の介護記録ソフトウェア、e-ラーニングシステムなど) を導入するとともに、導入されたツール等が有効活用されるための研修、勉強会、関連規程の整備などの環境整備を行う取組が対象です。
(b) その他外国人介護人材が介護現場で働きやすくするための必要な取組
※令和7年度の事前協議は(a)の取組のみが協議対象です。詳細は県の要項をご確認ください。
※令和7年度の事前協議の受付は終了しました。
交付対象
県内の外国人介護人材の受入施設・受入予定施設又はこれらを経営する法人、介護福祉士養成施設又は日本語学校を運営する法人
補助金額
| 補助基準額 | 補助率 | 補助金額 |
|---|---|---|
| 上限額:22万5千円 | 3/4 | 1事業所当たり、実支出額に補助率を乗じた額と22万5千円を比較して、少ない方の額 |
外国人介護人材獲得強化事業(愛知県)
概要と目的
介護の担い手を確保するため、以下の(a)から(d)の取り組みを補助の対象とします。
(a) 送り出し国におけるマーケティング活動等の情報収集:
外国人介護人材の確保の取組を効果的に行うため、送り出し国の学校、送り出し機関、政治情勢、生活・文化・風習等の事前調査等を実施します。
(b) 海外現地の学校や送り出し機関との関係構築・連携強化:
外国人介護人材を円滑に確保することを目的に、海外現地の学校・送り出し機関等との関係構築・連携強化を図るための訪問活動等を行うとともに、必要となる宣材ツールの作成等を行います。
(c) 海外現地での説明会開催等の採用・広報活動:
海外の日本語学校等での説明会の開催や現地での求人募集、日本の介護に関するPR、介護施設や介護福祉士養成施設等の情報提供などの広報活動、それらを実施するための宣材ツールの作成等を行います。
(d) その他海外現地における外国人介護人材確保のための取組
※令和7年度の事前協議の受付は終了しました。
交付対象
県内の外国人介護人材の受入施設・受入予定施設又はこれらを経営する法人、介護福祉士養成施設又は日本語学校を運営する法人
補助金額
| 補助基準額 | 補助金額 |
|---|---|
| 上限額:50万円 | 1法人当たり実支出額と50万円を比較して、少ない方の額 |
各助成金・補助金の詳細(各市・法人が行っているもの)
名古屋市外国人介護人材等導入支援事業(名古屋市)
概要と目的
市内事業所への外国人介護人材・障害福祉人材の導入を促進するため、外国人介護人材等を初めて雇用する事業所に対し、1人目の雇用にかかる費用を補助します。
以下を補助の対象となる費用とします。
監理団体等への入会金・会費、紹介料・手数料、監理費・支援委託費、ビザ申請費用、健康診断費、渡航費、居住費等
交付対象
外国人介護人材等(技能実習生、在留資格「特定技能」、EPAに基づく外国人介護福祉士候補者)を初めて雇用する、市内の介護サービス事業所及び障害福祉サービス事業所等(訪問系サービス等を除く)
補助金額
| 補助基準額 | 補助率 | 補助金額 |
|---|---|---|
| 上限額:55万円 | 3/4 | 1事業所あたり、要した経費の3/4を補助額とする |
※補助対象期間は初年度交付決定より1年間
碧南市介護人材育成等補助金(碧南市)
概要と目的
市内の介護事業所に従事する職員の受講する研修の受講料を支援することにより、介護事業所における人材の定着の推進及び介護サービスの質の向上を図ることを目的とした制度です。
以下の1~7の事業を補助の対象とします。
- 介護保険法施行規則(平成11年厚生省令第36号。以下「省令」という。)第22条の23に規定する介護職員初任者研修
- 省令第113条の4に規定する介護支援専門員実務研修
- 省令第113条の16に規定する再研修
- 省令第113条の18に規定する更新研修
- 省令第140条の68に規定する主任介護支援専門員研修及び主任介護支援専門員更新研修
- 認知症介護実践者等養成事業実施要綱(平成18年3月31日付け老発第0331010号厚生労働省老健局長通知)に規定する認知症介護実践者研修又は認知症介護実践リーダー研修
- 介護支援専門員資質向上事業実施要綱(平成26年7月4日付け老発0704第2号 厚生労働省老健局長通知)に規定する介護支援専門員専門研修
交付対象
碧南市内に所在する介護保険法第8条に規定する介護サービスを実施する事業所
※補助金の交付の対象となる経費を補助の対象とする他の助成金又は交付金を受けていないことが条件となります。
補助金額
| 補助基準額 | 補助率 | 補助金額 |
|---|---|---|
| 上限額:10万円 | 1/2 | 受講料の1/2の額を補助 1事業所につき、年度10万円を上限とする |
東浦町ボランティア活動支援交付金(東浦町)
概要と目的
ボランティア・NPOの方が東浦町内で行う事業に対し、「東浦町ボランティア活動支援交付金」を交付しています。
※こちらは主にNPOや支援団体向けの制度ですが、地域連携の参考として掲載しています。
※令和7年度の申請受付期間は終了しています。
以下の1から4の事業を補助の対象とします。
- 地域の公共的な課題を解決するための事業
例)外国人の支援事業、子どもの貧困対策、高齢者・障がい者の支援、移送支援 - 地域の実施団体などにおける人材の発掘又は育成に関する事業
例)新たな担い手の養成講座・セミナーの開催、スキルアップ研修 - 地域情報の収集又は発信に関する事業
例)調査・アンケートの実施、広報誌・情報誌の発行 - コミュニティ組織の強化又は地域のネットワーク化に関する事業
例)イベント・企画の開催、地域住民の集いの場の開催
交付対象
東浦総合ボランティアセンター「なないろ」に登録しているボランティア(個人・団体)
補助金額
| 対象経費 | 補助金額 | |
|---|---|---|
| 報償費 | 講師謝金、協力者に対する謝礼金等 | 上限額:10万円 |
| 需用費 | 消耗品費、燃料費、印刷製本費、修繕費、食糧費 | |
| 役務費 | 通信運搬費、保険料 | |
| 賃借料 | 会場使用料、事務所等の賃借料、機械・器具借上料 | |
| 備品購入費 | 作業等に必要な器具等の購入費 | |
| その他 | 町長が必要と認めるもの | |
日本語能力試験受験費補助(豊川市)
概要と目的
市内事業所で働く外国人労働者の日本語学習を支援し、就労の定着を図ることを目的として、日本語能力試験の受験費用を補助する制度です。企業にとっては、本制度を外国人従業員に案内することで、日本語学習の後押しや職場定着の支援につなげることができます。
交付対象
日本語を母語としない豊川市民で、日本語能力試験(N1〜N5)に合格した方
補助金額
| 補助金額 | 補助率 |
|---|---|
| 2,500円 | 1/3 |
※申請は1年度につき1人1回までとする
日本語能力試験受験料補助(蒲郡市)
概要と目的
日本語を母語としない人を対象に実施される日本語能力試験は、企業での優遇や社会的な資格認定につながります。その受験者を支援するため、蒲郡国際交流協会で補助金を交付します。
交付対象
次の2点に当てはまる方
- 試験のレベル(N1~N5)及び合否に関わらず、試験を受験した方
- 受験日時点で、蒲郡国際交流協会の個人会員、又は団体会員の事業所に勤める方
補助金額
| 補助金額 | |
|---|---|
| 蒲郡国際交流協会 団体会員 | 1社につき5名分まで、1人につき2,000円(同一社員も申請可能) |
| 蒲郡国際交流協会 個人会員 | 1人につき3,000円 |
日本語能力試験受験助成制度(西尾市)
概要と目的
外国人労働者の日本語学習を支援し、就労の定着を図ることを目的として、日本語能力試験の受験を助成する制度です。企業にとっては、本制度を外国人従業員に案内することで、日本語学習の後押しや職場定着の支援につなげることができます。
交付対象
次の2点に当てはまる方
- 試験のレベル(N1~N5)及び合否に関わらず、試験を受験した方
- 申請日時点で、西尾市内に住所がある方
※西尾市国際交流協会の会員であれば、市外在住でも対象となります。
助成制度内容
申請をされた方に2,000円分の商品券を支給します。
[Guidable Jobs(ガイダブルジョブス)へのお問い合わせはこちら]
助成金・補助金活用のための「申請の壁」を越えるポイント
申請準備のチェックリスト
募集期間と整合性の確認:常に最新の公募要領を確認し、締め切りから逆算して準備を始めること。また、外国人採用が貴社の経営課題(人手不足・多様性促進)と具体的に結びついているか、事業計画書で明確に示してください。
必須書類と経費の準備:申請に必要な法人登記簿謄本や雇用契約書などの必須書類に不備がないか徹底的に確認します。補助対象となる経費(採用手続き費用、教育費、住居費等)については、申請前に正式な見積書を全て取得してください。見積書がない経費は原則対象外です。
定着を見据えた環境整備計画の明記:補助金の目的は定着です。申請書には、採用後の以下の具体的な計画を必ず盛り込み、加点要素を狙います。
日本語教育プラン: 業務と生活を支えるための具体的な学習支援計画。
生活サポート体制: 住居確保や行政手続き、緊急時対応の担当者配置。
社内意識改革: 既存社員向けの異文化理解研修やメンター制度の導入計画。
専門家の活用検討:複雑な申請手続きや、審査で有利になる説得力のある事業計画書の作成には、社会保険労務士や行政書士といった専門家の支援が極めて有効です。本業に集中するためにも、専門家の活用を初期投資として検討してください。
まとめ
本記事では、愛知県内の企業様が外国人採用の初期費用を軽減し、質の高い受け入れ体制を構築するために活用できる、2025年度の主な助成金・補助金をご紹介しました。人手不足の解消やイノベーションの促進は、待ったなしの経営課題です。これらの公的支援制度は、単なる資金援助ではなく、企業が「多様な人材が活躍できる職場環境」を整備するための追い風です。
特に、介護分野においては複数の手厚い支援が用意されており、制度が充実しています。重要なのは、これらの制度を知っているだけでなく、活用することです。
まずは、貴社の採用計画と最も合致する補助金を見極め、申請準備を始めることから一歩を踏み出してください。制度の複雑な申請手続きや、採用後の定着サポートには、信頼できる専門家や支援機関の活用も視野に入れ、外国人採用をコストではなく「企業の未来への確かな投資」として成功させましょう。


