永住権は、日本における安定した生活基盤を提供する重要な在留資格であり、他の資格と比較して活動の制限が少なく、在留期間の更新も原則不要です。

しかし、この永住権は、日本から出国する際に適切な手続きを踏まなければ、意図せず失効する可能性があることをご存知でしょうか。

永住資格を維持したまま日本を出入国するためには、出入国在留管理庁が定める再入国許可制度を正しく理解し、利用する必要があります。本報告書では、この制度の詳細、関連する手続き、そして注意すべき点について、分かりやすく解説します。

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永住権を維持したまま海外へ行くための「再入国許可」制度

永住権は、特定の活動に制限されず日本に在留し続けることができる権利ですが、海外への移動を完全に禁止するものではありません。そのため、永住者が海外旅行へ行ったり、海外で活動したりすることは可能です。

しかし、重要な注意点があります。それは、日本を出国する際に適切な手続きを踏まなければ、永住権を失ってしまう可能性があるということです。永住権を維持したまま海外へ行き、再度日本に戻ってくるためには、「再入国許可」制度に申し込む必要があります。

この再入国許可制度は、二種類のケースに分けることができます。

みなし再入国許可

出国の日から1年以内に日本に戻ってくる予定の場合は、原則として出国前に再入国許可を取得する必要はありません。これは「みなし再入国許可」と呼ばれる無料の制度です。

この制度を利用する場合、従業員本人が、出国時に空港等で再入国出国記録(再入国EDカード)の「みなし再入国許可による出国を希望します」という欄にチェックを入れる必要があります。

特別な事前申請や手数料は不要ですが、有効期間は出国の日から1年間です。この期間内に再入国しない場合、永住権は失効してしまいます。また、どのような理由であっても、有効期間をのばすことはできません。

出国日から1年以内に在留カードの有効期限が到来する場合は、その在留カードの有効期限までがみなし再入国許可の有効期間となります。永住者の在留カードは7年ごとの更新が必要であり、この期限が出国後1年以内に来る場合は特に注意が必要です。

再入国許可

再入国許可は、日本を出国する前に、居住地を管轄する地方出入国在留管理局で申請し、有料で取得することができる正式な許可です。1年を超える期間の出国や、有効期間中の複数回の出入国が可能となっています。

再入国許可の有効期間は5年で、1回限り有効なものと、有効期間内なら何度でも使えるものの二種類があります。それぞれ3000円、6000円の印紙が必要です。

また、みなし再入国許可と違い、出国した者が、病気、天災、その他やむを得ない相当な理由により有効期間内に再入国できないと認められる場合、本人の申請にもとづき、海外の日本国大使館または総領事館で有効期間の延長を最大1年まで申請することができます 。

予定が不確定だったり、1年を少しでも超える可能性がある出国の場合は、この再入国許可を申請することをおすすめします。

日本国内での手続き:転出届

海外へ1年以上滞在する場合は、住民基本台帳法に基づき、出国前に市区町村役場へ「転出届」を提出することが原則として求められます。これにより住民票が除票となります。転出届の手続きについては、従業員がお住まいの市区町村の窓口やウェブサイトで確認する必要があります。

参照:出入国在留管理庁「再入国許可申請

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再入国許可を申請せずに出国した場合

再入国許可を受けずに出国した場合

みなし再入国許可の意図表示(EDカードへのチェック)も、事前の再入国許可取得もせずに出国した場合、その時点で永住資格は自動的に消滅します 。たとえ数日間の短い旅行であっても、この手続きを忘れると永住資格を失うことになります。

みなし再入国許可の有効期間を超えて海外に滞在した場合

みなし再入国許可で出国した後、出国日から1年(特別永住者は2年)を超えて海外に滞在し、期間内に再入国しなかった場合、永住資格は失効します 。前述の通り、みなし再入国許可の有効期間は海外で延長することはできません。

再入国許可の有効期間を超えて海外に滞在した場合

事前に通常の再入国許可を取得して出国した場合でも、その許可の有効期間(海外での延長が認められた場合はその期間を含む)を超えて日本に再入国しなかった場合、同様に永住資格は失効します。

これらの手続き上の不備によって失われた永住資格は、通常、簡単に回復させることはできません。原則として、再度他の在留資格を取得し、永住許可の要件(居住歴、素行、生計能力など)を改めて満たしたうえで、永住許可申請を最初からやり直す必要があります。

特に、コロナ禍のような特殊な状況を除き、手続き不備で失った永住資格を復活させる手段は基本的に存在しないと認識すべきです。

参照:出入国在留管理庁「みなし再入国許可」、総務省「住民基本台帳等

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おわりに

海外渡航を計画する際には、事前の情報収集と計画、書類や有効期限の確認を徹底し、自身の状況に最適な手続きを選択・実行することが極めて重要です。

不明な点や複雑な事情がある場合には、出入国在留管理庁のウェブサイトやインフォメーションセンターで最新情報を確認するか、または移民法務の専門家(弁護士や行政書士)に相談することを強くおすすめします。

永住資格を守るためには、これらの手続きを真摯に受け止め、細心の注意を払って対応することが不可欠です。

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