深刻化する人手不足への有効な対策として、多くの企業が特定技能制度を活用した外国人採用を進めています。しかし、採用活動の成否は、どの国の人材をターゲットにするかという「国籍選定」に大きく左右されることをご存知でしょうか。

「ベトナムやインドネシアが主流と聞くが、本当に自社に合っているのか?」

「候補として『ミャンマー』が挙がっているが、採用の進め方や他国との違いがよく分からない」

この記事では、そのようなお悩みを持つ採用担当者様へ向けて、客観的なデータに基づき主要な送り出し国を比較し、ミャンマー採用の「大前提となるルール」から「メリット・デメリット」までを網羅的に解説します。感覚的な国選びから脱却し、貴社の採用戦略に最適な判断を下すための一助となれば幸いです。

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【大前提】特定技能でミャンマー人材を採用する際の「3つの独自ルール」

特定技能の採用国としてミャンマーを検討する上で、まず理解すべきなのが、他国にはないミャンマー特有の採用ルールです。これを知らずに進めると、後々手続きが停滞する原因となります。

ルール1:二国間協定(MOU)に基づく正規ルートの遵守

日本とミャンマーは、特定技能制度に関して二国間の協力覚書(MOC:Memorandum of Cooperation)を締結しています。これにより、両国政府が認めた正規のルートで採用活動を進めることが定められています。

(参照:出入国在留管理庁「特定技能に関する二国間の協力覚書(MOC)

ルール2:ミャンマー労働省(MOL)からの承認取得

ミャンマー人の特定技能雇用においては、ミャンマーの労働・入国管理・人口省(Ministry of Labour, Immigration and Population:MOL)の承認が不可欠です。求人内容の審査や、労働者の身分証明など、採用プロセスの各段階でMOLが関与します。

(参照:日本国法務省、外務省、厚生労働省とミャンマー労働・入国管理・人口省との間の技能実習制度に関する協力覚書

ルール3:ミャンマー政府認定の送り出し機関を通じた採用の徹底

企業がミャンマー在住の方を直接探して採用することはできず、必ずミャンマー政府が認定した「送り出し機関」を通じて求人や候補者とのマッチングを行う必要があります。

これらのルールが存在するため、ミャンマー人材の採用は、他国と比較して手続きが複雑になる傾向があります。

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【徹底比較】ミャンマー vs ベトナム vs インドネシア|採用費用・期間から見る最適な選択

では、ミャンマーは他の主要な送り出し国と何が違うのでしょうか。特定技能の主要な送り出し国であるミャンマーベトナムインドネシアの3カ国を、在留人数採用期間・費用などの具体的なデータで徹底比較しました。この表を、貴社にとって最適な国籍を見極めるための羅針盤としてご活用ください。

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【メリット・デメリット】特定技能でミャンマーを選ぶべきか?最終判断のポイント

前章までのデータを踏まえ、ミャンマーを選ぶことのメリットと、乗り越えるべきデメリットを整理します。

戦略的メリット

  • 誠実な人材と高い定着率への期待 :親日的で真面目な国民性は、日本の職場文化と馴染みやすい傾向があります。丁寧な指導を行うことで、技術の習得に熱心に取り組み、長期的に活躍してくれる可能性が高いと言えます。
  • 競合が少なく、優秀な人材と出会える可能性: 在留人数データが示す通り、ベトナムやインドネシアに比べて採用の競合がまだ少ない状況です。これは、他社との人材獲得競争を避け、自社に合った優秀な人材をじっくりと見つけられるチャンスと捉えることができます。
  • 今後の発展を見据えた長期的な関係構築 :ミャンマーは今後の経済発展が期待される国の一つです。早期から人材交流を通じて良好な関係を築くことは、将来的な海外展開など、企業の長期的な成長戦略にも繋がり得ます。

考慮すべきデメリットと対策

複雑な手続きと採用までの時間 :前章『3つの独自ルール』で解説した通り、MOLの承認など他国にない手続きが存在するため、採用決定から入社までの期間が半年から1年以上かかることも珍しくありません。

<対策> 信頼できる送り出し機関や登録支援機関と密に連携し、余裕を持った採用スケジュールを組むことが不可欠です。以下の複雑な手続きを簡潔にまとめたフローチャートを参考にしてみてください。

【これからミャンマーから招聘する場合】

  • STEP 1:求人活動
    • 送り出し機関を選び、求人票をミャンマー労働省(MOLIP)に提出し、承認(デマンドレーター)を得ます。
  • STEP 2:人材選定・契約
    • 現地で候補者を募集・面接し、雇用契約を結びます。
  • STEP 3:在留資格の申請
    • 日本側で在留資格認定証明書(COE)を申請。ミャンマー側で海外労働身分証明カード(OWIC)の取得とパスポート更新を行います。
  • STEP 4:入国
    • ビザを取得し、日本に入国します。
  • STEP 5:勤務開始
    • 企業での勤務を開始し、登録支援機関が生活をサポートします。

【すでに日本にいるミャンマー人を採用する場合】

  • STEP 1:人材選定・契約
    • 日本国内で面接を行い、雇用契約を結びます。
  • STEP 2:在留資格変更申請
    • 出入国在留管理庁へ「在留資格変更許可申請」を提出します。
  • STEP 3:勤務開始
    • 許可が下り次第、新しい在留カードを受け取り、勤務を開始します。
    • 登録支援機関による生活サポートも始まります。

(参照:特定技能外国人受入れに関する運用要領

政治情勢に起因する採用の不確実性 :ミャンマーの国内情勢によっては、行政手続きが停滞したり、出国が制限されたりするリスクがゼロではありません。

<対策> 外務省の海外安全情報などで常に最新の情報を収集するとともに、ミャンマー一国に絞らず、複数の国を候補とするポートフォリオ採用を検討することも有効なリスクヘッジとなります。

(参照:外務省 海外安全ホームページ

最終判断のためのチェックポイント

  • 貴社は、採用スピードと人材の質、どちらをより重視しますか?
  • 半年以上の採用期間や、情勢による不確実性を許容できる体力はありますか?
  • 丁寧な教育体制を構築し、長期的に人材を育てる文化がありますか?

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【まとめ】自社の採用戦略に最適な国を選び、企業の成長へと繋げましょう

 

本記事では、特定技能におけるミャンマー人材採用について、他国との比較やメリット・デメリットを解説しました。

  • ミャンマー採用には、MOLの承認など他国にない固有のルールが存在する。
  • 在留人数はまだ少ないが、真面目な国民性など、人材としての魅力は大きい。
  • 手続きの複雑さや時間はデメリットだが、対策を講じれば乗り越えることは可能。

採用国の選定は、企業の未来を左右する重要な経営判断です。感覚やイメージだけでなく、本記事で示したような客観的なデータと、自社の採用方針や企業文化を照らし合わせて、最適な国籍選定を行ってください。正しい知識と戦略が、外国人採用の成功へと繋がります。

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