会社名:株式会社アールキューブさま  

事業の紹介:

「肉汁水餃子 餃包(ぎょうぱお) 六本木交差点」はTripadvisor4年連続で東京1位、Googleレビュー1万件超えの飲食店です。地元に愛されているだけでなく、世界中から多くのお客さまが集まります。店内はレトロな雰囲気で活気に溢れていて、お客さまとスタッフとの距離が近いのが特徴です。

業種:飲食

お話をしてくださった方:小橋 拓馬(コバシ タクマ)さま

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ーー外国人採用自体は、弊社が初めてでしょうか?

 

2016年に社内でベトナム人の採用を考えたことがあったようですが、あまりうまくいかなかったと聞いています。外国人採用の求人媒体を使うのは、Guidable(ガイダブル)さんが初めてですね。

 

ーーやはり日本人だけでは人手が確保できないというのが、外国人採用を始めようと思われた理由ですか?

 

おもな理由は2点あります。ひとつは日本人むけの求人を出してもあまり応募がなかったり、たとえ応募があっても面接の調整まで進まなかったりすることが増えたためです。日本人向けの採用だと苦戦することが増えました。

もうひとつは、当店は海外からのお客さまが多くいらっしゃるということです。お客さまが伝えたいアレルギーのこと、どのような食材を使っているかということ、支払い方法の種類などに関して、多言語でコミュニケーションができる人材を探していました。

 

ーー日本語レベルとしては、N3以上が必要と考えていらっしゃいますか?

 

ひとつの基準としてN3レベル以上にしています。しかしもしN3を取得していなくても、日本語の面接時にコミュニケーションに問題がないと感じた場合は、入社時に教育していく前提で採用することはあります。

 

ーー実際に日本語能力がそこまで高くない方を雇ってみて、うまくコミュニケーションができなかったエピソードはありますか?

 

そうですね…、社内ではおもにLINEを使って業務連絡を行っているのですが、シフト担当の作成者と外国人アルバイトの方とのあいだで、やり取りがうまくいかずに離職してしまったことはありました。

そこで問題になったのは「言った」「言ってない」という内容なので、外国籍の方でなくても起きることではありました。しかしこの件をきっかけとして、LINE上の通話だけで終わらせるのではなく、しっかりとテキストのメッセージも残そうという話になり社内で見直しが入りました。

それぐらいでしょうか。基本的にコミュニケーション面での問題はないと思います。

 

ーー「外国人は日本人よりも時間にルーズ」という意見もしばしば聞きますが、そのあたりはどうマネジメントされていますか?

 

仕事に徐々に慣れてきて時間にルーズになる方がいる、というケースはありました。そこへの当社での対応は2つあります。

ひとつは、当社では基本給とはべつで手当を用意していますが、その条件を「遅刻欠勤が1ヶ月で一回もないこと」に設定しています。ですから1分でも遅刻したら、その月の手当はもらえないことになります。

もうひとつはこれよりさらに厳しい対応です。週に2〜3回遅刻するのが当たり前になる方もいたので、「それ以上遅刻するなら1ヶ月はシフトを組みません」と伝えました。「チームのみんなに迷惑がかかるから」とお店としての意思を伝えて、しっかりと理解してもらいました。

ただその方はそこから改善してくれましたね。余裕を10〜20分持って出勤してくれるようになったので、実際にはこの出勤停止の措置は取らなくて済みました。

 

ーーなるほど。やはり日本人とわけるとかではなく、厳格に対応されているんですね。

 

そうですね。差別とかではなく、やっぱりお店の一員ですので。「当社で働くならこういう人柄であってくださいね」という考えは、明言はしてないですが伝わっていると思います。

 

ーーとくに目立って活躍されている外国人の方がいらっしゃいましたら、ぜひエピソードをお聞きしたいですが、いかがでしょうか?

 

当社には「ファンクラブ会員」という有料制度があります。お客さまにこちらに登録していただくことですとか、あとはお食事のあとで口コミのお願いをすることが評価指標のひとつといえるかもしれません。お客さまは満足していないと口コミは決してしてくれないので、この口コミ数を増やしている方は、仕事ができると考えることもできます。

しかし実際には、バックヤードでスムーズにドリンク提供できるように作るメンバーですとか、料理を提供する順番を考えながらキッチンで作っているメンバーもいます。ですから、かならずしも接客をしている人だけで評価できるかというと、そうではないところもあります。個人を抜きだして評価するのは難しいですね。

 

ーーなるほど。

 

ただ口コミを多くいただけるほど、お客さまの満足度を高められる教育をするのは、当社としてもかなり意識しているところです。

当社には「合格管理」というものがあります。たとえば料理の食べ方説明をロールプレイングでして、そこでスムーズにできるようになれば、お客さまのまえに立って提供をする流れになります。

そういう意味では外国籍の方も全員しっかりと合格して、お客さまに食事の提供ができます。ですから全員がある程度のレベル以上で、しっかりと仕事を進めることができるようになっています

 

ーーネパール出身のアスタさん(※弊社経由で採用された方)は高く評価されていると聞きましたが、どうでしょうか?

 

アスタさんもそうですし、最近入られたフィリピン国籍の方もすごく活躍してくれていますよ。

2名ともトリップ・アドバイザーやグーグルの口コミでもよく名前が上がりますし、「接客がよかったからリピートしました」という声もよく目にします。

ほかにも海外の方が有料会員になってくださって、ご友人に紹介してくださるケースもあります。ご友人たちに「すごくいいお店で、接客がよくて」という風にいってくださるのを見ることもありますね。多言語対応がうまくいっている成果のひとつかな、と思っています。

 

ーー離職についてもお聞きしたいのですが、彼らにとって働きつづけたくなる環境は、どんなものだと思いますか?

 

ひとつは本人と直接しっかりコミュニケーションを取ることだと思います。これは当社が失敗したケースなんですが…。ガイダブルさんのおかげで外国籍の方を多く採用できたのですが、やっぱり採用後の教育の課題が出てきました。

まずわたしたちとしては、教育する側の社員の時間をなるべく削れないか、というのを考えてみました。

最初に教育を始めていくときに、「喫煙所の場所どこですか」「お手洗いはどこですか」などの簡単な接客対応であれば、社員が直接教えなくても大丈夫なのでは、と考えました。

ですからこういう質問をされたとき、どう答えるかモデルとなる動画を自分自身で見てもらった上で、ロールプレイングをして、それを撮影してアップロードする、という方法を試したことがありました。

その結果、新人さんがひとりだけでやることになるんですが、なかなかうまくいきませんでした。ひとつのテーマに使う時間が多すぎるとか、一言一句モデル動画のとおりに言おうとがんばりすぎてしまう、などの現象が起きたのです。

「日本語がうまく言えない」「この仕事はかなり大変だ」と新人さんが思い込んでしまい、2名連続で離職してしまいました。

そこでやはり方法を変えて、あらためて先輩社員と2人でロールプレイングをする教育に変えました。そうしてみると、その時間を使って先輩と後輩の関係性の構築にもつながりますし、完璧な日本語じゃなかったとしても「それぐらいなら、お客さんに伝わるので大丈夫だよ」と即座にフィードバックする機会にもなりました。本人にとっても安心につながっていることがわかりました。

この件から、無理に効率化させようとしないことがポイントだな、と思いましたね。

 

ーー今後も外国人採用での、多言語対応は進めていかれる予定ですか?

 

そうですね。当社では月の売上でも、日本のお客さまと外国のお客さまが5:5くらいの比率になっています。日によっては8割近くが外国からのお客さまですので、多言語ができる人材の採用を進めていく予定ですね。