運送業界で「求人を出しても応募が来ない」という課題を抱えている企業が急増しています。日本全体で深刻化する人手不足に加え、運送業界特有の採用難が重なり、多くの企業が優秀な人材を確保できずに苦しんでいます。

この記事では、「なぜ運送業でドライバーの応募が来ないのか?」という原因を掘り下げるとともに、新たな解決策として注目される外国人採用について詳しく解説します。求人の効果を最大化し、必要な人材を確保するための具体的な方法をお伝えします。

運輸業の採用難易度は全業種の約2倍、人手不足の長期化が予想される

有効求人倍率とは?

有効求人倍率とは、求職者1人に対して何件の求人が存在するかを示す指標です。この数値が高いほど、企業側が求職者を採用する難易度が上がります。

運送業界ではこの有効求人倍率が全産業平均を大幅に上回る水準にあり、特にドライバー職においては深刻な状況です。

運送業界の有効求人倍率データ

運送業の有効求人倍率を表すグラフの画像
出展:厚生労働省

厚生労働省が発表しているデータによれば、2023年度の全産業の平均有効求人倍率は約1.3倍でした。一方で、運送業界では約3.0倍を地域もあり、平均的に約2倍以上の水準となっています。

この数値は、求人を出しても1人の求職者を確保するために2社以上が競争する状況を意味します。つまり、求人を出しても応募が来ないという課題は、業界全体に共通する現象です。

ドライバー職の有効求人倍はさらに高い

運輸業の有効求人倍率を表すグラフの画像

運送業の中でも特にドライバー職の求人倍率は高い傾向にあります。これは、特定のスキルや資格(例:中型・大型免許)が必要とされること、長時間労働や不規則な勤務時間などが敬遠されることが要因です。

採用難易度は有効求人倍率で計測できますが、全業種の求人倍率が1.13であるのに対し、運輸業(※1)は2.29と、約2倍の難易度を示しています。

さらに、10年前と比較すると1.6倍に悪化しており、今後も人手不足が深刻化し、長期化することが見込まれます。
では、このような厳しい状況下で、どのように採用活動を成功させることができるのでしょうか?

ドライバー職の応募が来ない理由とは?

トラック運転手の年間労働時間の推移グラフの画像

出展:厚生労働省

求人を出しても応募が来ない背景には、運送業界特有の課題があります。ここではその主な原因を詳しく解説します。

労働条件の厳しさ

運送業界、とりわけドライバー職は、労働条件の厳しさが問題視されています。主な理由として以下が挙げられます。

  • 長時間労働と不規則な勤務

トラック運転手は、配送スケジュールによって深夜や早朝勤務が求められることが多く、生活リズムが不安定になる傾向があります。

  • 過酷な作業環境

荷物の積み下ろしや長時間の運転による体への負担が大きいことから、求職者の中には「他の職種を選びたい」と考える人も少なくありません。

給与と待遇の不満

給与水準は、労働の過酷さを補う十分な額であるべきですが、多くのドライバーが「給与が割に合わない」と感じています。また、以下のような待遇の問題も挙げられます。

  • 手当や昇給制度が不明確

モチベーションを保つためのインセンティブが不足しているケースが多い。

  • 福利厚生の充実度が低い

他業種と比較して健康管理やワークライフバランスを重視した福利厚生が不足しています。

業界イメージの問題

「運送業はブラック」というイメージが根強いことも、若年層を中心に応募を敬遠される理由です。特に以下の点がマイナスに働いています。

  • 体力勝負の職場という先入観
  • キャリアパスが見えない職種と思われている

運輸・運送業界の賃上げは求人応募増加へつながる?

採用改善策としてよく挙げられる「賃上げ」ですが、結論から言うと、賃上げだけでは採用難易度を大きく下げることはできません。
実際、過去10年で運輸業の賃金は13%上昇しました(※2)。しかし、同期間で求人倍率(採用難易度)は1.44から2.29へと【1.6倍に悪化】しています。

運輸、運送業の賃上げと採用難易度の関係を表すグラフの画像

人手不足で求人倍率が高くなると、多くの企業が賃金を引き上げる傾向にあります。そのため、自社も同じペースで賃金を上げた場合、「他社並みの待遇」に留まり、応募者数を大幅に増やすことは難しいのです。賃上げには一定の効果があり、応募者数の減少を防ぐ(=現状維持)ことは期待できますが、これはいわば「守りの賃上げ」と言えます。

一方で、応募者数を増やすほどの「攻めの賃上げ」を実施すれば、採用数を増やせる可能性はあります。しかし、人件費の大幅な増加を伴うため、実行できる企業は限られているのが現状です。

運送業界のドライバー職への解決策となる「外国人採用」

外国人採用の重要性

日本国内での人材確保が難しい現状を受け、多くの企業が外国人労働者の採用を検討しています。特に「特定技能ビザ」や「身分系外国人」を活用することで、国内での採用が難しい職種への適応が進んでいます。

運送業で外国人採用をするメリット

人手不足の即時解消

外国人労働者は、特に若年層が多く、活力に溢れた人材が多いです。

多様な働き方への対応

外国人労働者は、労働条件が適切であれば長期間にわたり勤務する意向が強い傾向にあります。

外国人採用は伸びるマーケットだが、9割以上が「未実施」

次に挙げられるのが、運輸業で一般化しつつある外国人労働者の採用です。現在、運輸業界では約6.6万人の外国人が働いており、この10年で約4万人増加しました。

しかし、近年はその増加ペースが鈍化し、2023年には2,000人程度の増加に留まっています。その要因の一つとして、外国人採用を実施している事業所が全体の1割にも満たない現状があります。

運輸業における外国人労働者数の年度推移を表すグラフの画像

例えば、神奈川県では運輸業の事業所数が20,884に対し、外国人を採用している事業所はわずか802事業所、全体の約4%に過ぎません。(※5)

外国人雇用の実施割合を表したグラフの画像

外国人採用は「やれば伸びる」成功パターンーー過去4年で実施件数が2.27倍に

ここまでのデータから、「全企業が一律に外国人を1割採用している」のではなく、「外国人採用に取り組んでいる一部の企業が、大量の人材を確保している」ことがわかります。
つまり、外国人採用を実施していない企業ほど、業界平均以上に深刻な人手不足に陥っている可能性が高いと考えられます。

外国人採用を取り組んでいる企業と取り組んでいない企業を表したグラフの画像

もし自社でまだ外国人採用に積極的に取り組んでいない場合、大きな成長のチャンスが残されていると言えるでしょう。

実際、Guidableでは運輸業界の利用企業が過去4年で2.27倍に増加しており、多くの成功事例を生み出しています。(※6)

運輸業の「外国人採用」利用実績推移を表したグラフの画像

そこで実際に運輸業で外国人を採用した成功事例や、気を付けるべきポイントなど各種ノウハウを提供。

運送・運輸業で外国人採用を活用した成功事例

ドライバー職での人材確保を外国人採用という選択肢まで広げて、成功している事例をご紹介いたします。

ドライバーを募集するために、女性や高齢者、高校を卒業したばかりの人材も採用範囲に含めているそうです。それでも人手不足が続いていた状況で外国人採用に選択肢を広げ、人材確保にチャレンジした事例となっています。

▼運輸業での外国人採用事例を詳しく知りたい方はこちら!

【運輸】バス運転手での外国人採用にチャレンジ! 小田急ハイウェイバスさまに詳しく聞きました

運送業界のドライバー応募を外国人採用を始めて解消!

「応募が来ない」という課題は、運送業界全体に共通する深刻な問題です。しかし、現状を分析し、外国人採用を含めた新たな採用戦略を導入することで、人材不足を解消し、企業の成長を促すことが可能です。

▼外国人ドライバーについての記事はこちらをチェック!

外国人ドライバー受け入れのポイント|トラック、バス、タクシーに必要な在留資格と注意点をわかりやすく解説!

▼外国人の運転免許についての記事はこちらをチェック!

二種免許試験が20言語に対応|バス・タクシー業界で進む外国人ドライバーの採用増加とその背景、今後の動向について解説

ボリュームが大きいだけでなく「45.5%安く」採用できる有望株

運輸業における正社員の採用単価は、ここ数年で増加傾向にあります。2019年の平均採用単価が60万円だったのに対し、2023年には69.2万円へと上昇しています。(※7)

運輸業の採用単価グラフの画像

ロシアのウクライナ侵攻や新型コロナウイルスの影響で物流高は一貫して高騰してきました。国の助成金などで一時、採用単価が下がってきたとはいえ、まだまだ企業の負担は重い状態です。

一方で、Guidableでは外国人に強いコネクションを持っているため、日本人を雇うよりもはるかに安く採用できる点が特徴です。
2023年の運輸業、正社員の採用単価は、37.7万円となっており(※8)、市場の採用単価である69.2万円を45.5%引き離す数値となっています。

市場平均採用単価とGuidable採用単価の比較グラフの画像

ぜひ採用単価の事例などを元に、御社の採用の参考にしてください。

※1:厚生労働省「一般職業紹介状況」より、「運輸従事者」の有効求人倍率を抽出
※2:厚生労働省「毎月勤労統計調査」より、運輸業の賃金指数を抽出
※3:国土交通省「運輸分野における外国人材の受入れ」より
※4:厚生労働省「一般職業紹介状況」より、運輸系の有効求人数を抽出
※5:神奈川労働局「外国人雇用状況の届出状況まとめ」より
※6:運輸業の累計実施件数
※7:就職白書2020、ツナグ・ソリューションズプレスリリース、マイナビ中途採用状況調査を元にGuidable編集部が推計
※8:Guidable利用実績より2023年内で運輸業、正社員、採用1名以上の場合を抽出