タクシードライバーの人手不足を解消する外国人雇用とは? 採用事例や雇用するメリット、タクシー業界で働ける在留資格について
少子高齢化の影響により、タクシー業界では人手不足が深刻化しています。
そんな中、外国人タクシードライバーの雇用が対策として注目を集めています。
本記事では、タクシー業界の現状や外国人を雇用するメリット、必要な在留資格について解説します。
目次
タクシー業界の現状
年々減少するタクシードライバー
出典:内閣府 タクシー運転手の現状とタクシーに関する事故データ
内閣府の調査によると、タクシードライバーの人数は2010年からの10年間で40%減少しています。
また、令和4年にはドライバーの平均年齢が60歳を記録しています。全産業の平均年齢が42歳であることから、他業種と比べても高齢化がかなり目立っていることがわかります。
他にもタクシー業界の人材不足には「拘束時間に対する不満」や「観光客の増加」が関係していると言われています。
外国人タクシードライバー雇用の現状
人手不足への対策として、外国人ドライバーの雇用が注目を集めています。
外国人ドライバーの採用に力を入れている「日の丸交通株式会社」では、現在全社員の5%である116人の外国人ドライバーが在籍しています。
しかし、高度な日本語が求められることやタクシードライバーとして就労できる在留資格の獲得が困難であることから、外国人ドライバーの雇用は思うように進んでいないのが現状です。
今後、観光客の増加や高齢ドライバーの退職が予測され、外国人ドライバーの需要はより高まると言えるでしょう。
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雇用可能な在留資格・条件
タクシードライバーとして外国人を雇用するには、以下のいずれかの在留資格を持ち、条件を満たしている人材である必要があります。
就労系の在留資格
特定活動46号
特定活動46号は高度な日本語能力を持った留学生が「技術・人文知識・国際業務」に該当しない職種に就く場合でも就労可能とする在留資格です。
取得の要件は「日本の4年制大学または大学院を卒業」と「日本語能力試験N1またはBJTビジネス日本語能力テストで480点以上」になっています。
身分系の在留資格
永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者
身分系と呼ばれるこれら4つの在留資格は、就労制限がなく日本人と同じように雇用することが可能です。
現在、日本にいるほとんどの外国人タクシードライバーがこちらの身分系に該当します。
二種免許試験に合格
上記の在留資格に加えて、「二種免許」の取得が必要です。
二種免許の取得には、日本人と同じように一種免許を取得してから1年間の経験と二種免許試験への合格が求められます。
二種免許試験は長らく日本語での実施のみで、外国人にとって取得が困難でした。しかし人手不足の状況をうけ、昨年から20言語へと対応するようになりました。
これにより、外国人がタクシードライバーを目指すハードルが下がり、ドライバーの増加が期待されています。
特定技能に「自動車運送業」が追加
令和6年3月29日に、「自動車運送業」が特定技能に新たな分野として追加されることが決定されました。
業務区分にはタクシー運転手に加えて、バス・トラック運転手も含まれています。
取得するには特定技能「自動車運送業」で設けられる独自の試験への合格と、二種免許の保持が必要となります。
外国人タクシードライバーを雇用するメリット
人手不足への対応として積極的に進められている外国人タクシードライバーの雇用ですが、メリットも多くあります。
① 観光客・多言語への対応
日本で急増しているほとんどの観光客は、経路が複雑な電車やバスを避けてタクシーを利用する傾向があります。
しかし、観光客への対応においては「言葉が通じないので、行き先が伝えられない」や「事前に料金がわからないので不安」といった声があがっています。
また、コミュニケーションが上手くいかないことによるトラブルも発生していて、外国人を避ける日本人ドライバーも少なくありません。
そのため、タクシー業界では英語や中国語をはじめとした多言語へと対応できるドライバーの需要が高まっています。
外国人ドライバーはこのような課題を解決する貴重な人材となるでしょう。
② 高いコミュニケーション能力
タクシードライバーの業務では、コミュニケーション能力もお客様からの評価を左右する重要なものです。基本的な接客のやりとりだけでなく、談話が求められる場面もあります。
海外から見ると日本人はシャイだと言われるように、外国人の方は非常にオープンな性格を持っています。言語の壁を超えられるだけでなく、初対面のお客様との距離を縮めることが得意な人材が多く期待できるでしょう。
参考として、日本人とよく似た「おもてなし」などの文化・性格を持ちながらもオープンな性格を持つ、バングラデシュ人を特集した記事もぜひご覧ください。
③ 若いドライバーの確保
最初に紹介したように、タクシー業界では高齢化が深刻な問題としてあります。
タクシードライバーの平均年齢が60歳なのに対し、平均勤続年数が8.8年であることから、40代後半や50代からタクシードライバーになる方が多いことがわかります。
日本では高齢化の影響により若い労働力の確保が難しいなか、外国人労働者の数は「20〜29歳」の割合がもっとも多いです。
そのため、外国人にも焦点を当てることで若い人材の確保がより期待できるでしょう。
参考:全国ハイヤー・タクシー連合会 タクシードライバーの都道府県別平均勤続年数
参考:厚生労働省 在留資格別×年齢別にみた外国人労働者数の推移
タクシー業界での外国人労働者の採用事例を紹介
ここからは、在留外国人向け求人媒体である「Guidable Jobs(ガイダブル・ジョブス)」を利用して、外国人採用に成功した事例を紹介いたします。
【事例1】1ヶ月1名を超えるペースの採用に成功!
・事業所所在地域(市区町村)の在留外国人数:93,312人
・掲載日数:142日
・採用人数:5名
・企業のサポート内容:2種免許取得費用全額負担、制服貸与
「未経験の歓迎」「外国人社員の勤務状況」を目立つところに記載することで、挑戦のしやすさ・安心感を強調し、短期間で多くの採用に成功しました。 |
【事例2】20代を含む豊富な年代の採用に成功!
・事業所所在地域(市区町村)の在留外国人数:24,687人
・掲載日数:308日
・採用人数:5名
・企業のサポート内容:2種免許取得費用全額負担、制服貸与、未経験歓迎、家賃補助(規定あり)、交通費支給
俳優やアイドルなど夢との掛け持ちを歓迎し、応援する会社の特徴を強調することで、特定の在留外国人から人気の高い求人になりました。 また、教育制度を充実させることで未経験者の採用にも成功しています。 |
【事例3】多くの応募者から最適な人材の確保に成功!
・事業所所在地域(市区町村)の在留外国人数:86,120人
・掲載日数:166日
・採用人数:4名
・企業のサポート内容:未経験歓迎、制服貸与、退職金
96名の応募者のなかから、4名を採用。 転職支援金などの充実した福利厚生に加えて、出勤日数・時間の自由を会社の特徴として強調することで短期間に多くの応募を獲得することに成功しました。 |
さいごに
外国人タクシードライバーを雇用するメリットは多く、今後さらに貴重な人材となることが予測されます。
人材の確保に悩まされている方は、ぜひ外国人ドライバーの採用を積極的に進めましょう。