少子高齢化が進む日本において、労働力確保は多くの企業にとって切迫した課題です。その解決策の一つとして、外国人労働者の受け入れがますます重要になっています。厚生労働省の発表によれば、日本で働く外国人労働者の数は年々増加しており、経済社会の維持・発展に不可欠な存在となっています。

しかし、言語や文化、習慣の違いから、受け入れに伴う様々な「問題」や「課題」が生じる可能性も否定できません。これらの問題を事前に把握し、適切な対策を講じることが、円滑な受け入れと定着、そして企業の持続的な成長に繋がります。

この記事では、外国人労働者を雇用する際に起こりうる主な問題点と、企業が取るべき具体的な対策について、公的な情報も踏まえながら分かりやすく解説します。

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なぜ外国人雇用で「問題」が起こりうるのか?

外国人雇用における問題の多くは、言葉の壁や、日本とは異なる文化・価値観・商習慣への理解不足が根本にあります。また、受け入れ側の企業における準備不足や、双方の認識のずれが、意図せず問題を引き起こすことも少なくありません。

これらの問題を放置すると、コミュニケーション不全による生産性の低下、早期離職による採用コストの増大、さらには労働関係法令や入管法に関わる法的トラブルに発展するリスクも潜んでいます。

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外国人労働者の雇用で起こりうる主な問題

コミュニケーションの問題

言語の壁は最も大きな課題の一つです。日本語能力が十分でない場合、業務指示が正確に伝わらなかったり、重要な報告・連絡・相談(ほうれんそう)が滞ったりする可能性があります。また、非言語的なコミュニケーション(表情やジェスチャー)の解釈の違いも、誤解を生む一因となりえます。

文化・習慣の違いによる問題

時間に対する感覚(遅刻や残業に対する考え方)、仕事の進め方(個人主義か集団主義か)、宗教上の配慮(礼拝の時間や食事制限など)、プライベートに関する考え方など、日本人の常識が必ずしも通用しない場面があります。これらの違いへの無理解が、人間関係の軋轢や業務上の支障につながるケースが見られます。

労務管理の問題

雇用契約の内容や労働条件(労働時間、休日、賃金など)について、認識の食い違いが生じやすい点も課題です。労働基準法などの日本のルールを十分に理解していない、あるいは説明が不十分な場合に、意図せず法令違反の状態になったり、賃金未払いなどのトラブルに発展したりするリスクがあります。

参照:厚生労働省「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針

法的手続きの問題

外国人雇用には、在留資格(ビザ)の確認と管理が不可欠です。許可された活動範囲外の業務に従事させたり、在留期間の更新を怠ったりすると、不法就労助長罪に問われる可能性があります。手続きが複雑なため、担当者の知識不足によるミスも起こりえます。

参照:出入国在留管理庁「不法就労防止にご協力ください

受け入れ側の体制の問題

既存の日本人従業員が、外国人労働者の受け入れに対して十分な理解を持っていない場合、職場で孤立させてしまったり、無意識のうちに差別的な言動をとってしまったりする可能性があります。また、誰がサポートするのか、相談窓口はどこか、といった社内体制が不明確なことも、問題を生じさせる要因となります。

生活面の問題

日本での生活に慣れていない外国人労働者にとって、住居の確保、銀行口座の開設、役所での手続き、ゴミ出しのルールなど、日常生活の基盤を整えること自体が大きな負担となる場合があります。企業側のサポートが不足していると、仕事への集中を妨げる要因にもなりかねません。

採用ミスマッチの問題

期待していた能力やスキルと実際のレベルにギャップがあったり、日本の職場文化に馴染めなかったりして、早期に離職してしまうケースです。採用段階での相互理解の不足が主な原因と考えられます。

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【問題別】具体的な対策と解決策

コミュニケーション対策

「やさしい日本語」の活用を心がけましょう。文化庁などが示す指針を参考に、簡潔な言葉、短い文、漢字へのルビ振りなどを意識することが重要になります。

図や写真、ジェスチャー、多言語翻訳ツールなどを補助的に活用するのも有効です。定期的な1on1ミーティングの機会を設け、業務の進捗確認だけでなく、困っていることや不安がないかを聞き取る姿勢が大切です。

参照:文化庁「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン

異文化理解促進

日本人従業員向けに、外国人労働者の出身国の文化や習慣、宗教に関する研修を実施します。同じように、外国人労働者向けにも、日本のビジネスマナーや職場のルールに関するオリエンテーションを行いましょう。

社内に相談窓口を設置したり、異なる文化背景を持つ従業員同士が交流できる機会を設けたりすることも、相互理解の促進に繋がります。

労務管理の徹底

労働条件通知書や雇用契約書は、可能であれば母国語に翻訳したものを用意し、内容を丁寧に説明して双方の認識を合わせることが推奨されています。労働時間や休憩、休日が法律や契約通りに運用されているか、勤怠管理システムなどを活用して適切に管理します。

賃金の計算方法や支払いルールを明確に伝え、給与明細の内容についても説明できるようにしておきましょう。

参照:厚生労働省「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針

法的手続きの遵守

採用時には、在留カードを確認し、就労が許可されている在留資格かどうか、在留期間はいつまでかを必ず確認します(コピーの保管も推奨されます)。

在留資格の更新手続きなど、不明な点や複雑な手続きについては、行政書士などの専門家に相談・依頼することを検討しましょう。社内で担当者を決め、在留期間の管理を徹底する体制を整えます。

参照:出入国在留管理庁「不法就労防止にご協力ください

受け入れ体制整備

外国人労働者を受け入れる前に、部署内や関係部署に対し、受け入れの目的や背景、配慮事項などを説明し、協力体制を築きます。直属の上司だけでなく、日常業務や社内ルールについて気軽に相談できるメンターやバディなどの担当者を任命すると、早期の適応を助けます。

生活サポート

可能な範囲で、住居探しの情報提供や連帯保証人の代行、銀行口座開設の同行などのサポートを検討します。役所での手続きや地域のルール(ゴミ出し、騒音など)、交通機関の利用方法など、日本での生活に必要な情報を提供することも有効です。

自治体や地域の国際交流協会、NPOなどが提供する支援サービスの情報を伝えるのも良いでしょう。

参照:出入国在留管理庁「生活・就労ガイドブック

採用ミスマッチ防止

募集する職務内容や求めるスキル、経験、日本語レベルを具体的に定義し、採用基準を明確にします。面接では、一方的な質問だけでなく、候補者のキャリアプランや日本で働きたい理由などを深く聞き、相互理解に努めます。

日本での就労を希望する多くの外国人が登録している「Guidable Jobs」のような専門の求人媒体を活用することで、より自社のニーズに合った候補者を見つけやすくなります。入社後の定期的なフォローアップ面談を通じて、業務や職場環境への適応状況を確認し、早期に課題を発見・解決することも重要です。

また、「Guidable Research」を活用して外国人材の潜在的なニーズや満足度を調査し、より良い職場環境づくりに繋げることも可能です。

外国人を雇用することのメリット7選 労働者が抱える問題点についても解説

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おわりに

外国人労働者の雇用には、コミュニケーションや文化、法的手続きなど、特有の課題が伴う可能性があります。しかし、これらの問題点を事前に理解し、一つひとつ丁寧に対策を講じていくことで、その多くは乗り越えることができます。

問題を恐れるあまり受け入れに消極的になるのではなく、適切な準備と継続的なサポートを行うことで、外国人材は多様性をもたらし、企業の成長を支える貴重な戦力となります。この記事でご紹介した対策を参考に、ぜひ前向きに外国人採用をご検討ください。

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