【採用担当者必見】採用ミスマッチの原因と対策をわかりやすく紹介!失敗事例から学ぶ、早期離職を防ぐ5つの実践策

「早期離職がなかなか減らない」「採用した人が思うように活躍できない」そんな悩みの大きな原因となっているのが、採用ミスマッチです。
この記事では、採用ミスマッチとは何か、どれくらい起きているのか、企業にとってどんな損失があるのかをわかりやすく説明します。さらに、実際の失敗例や、入社前後にできる具体的な対策についても紹介しています。
目次 [非表示]
採用ミスマッチとは?
採用ミスマッチとは、企業が求めるスキルや考え方、働き方と、入社してきた人の実際の姿に「ズレ」があることを指します。
このズレが起きると、企業は新しく人を採用するための費用や、教育にかかる費用を二重に支払うことになってしまいます。入社した人にとっても、思っていたキャリアから遠回りする結果になりかねません。
だからこそ、こうしたズレに早く気づける仕組みをつくることが、人材の定着にはとても大切です。
また、採用活動では「アンマッチ」という言葉もよく使われます。アンマッチは、企業と求職者の条件や希望が合わず、採用まで進まない状態を意味します。
つまり、ミスマッチは採用した後に起こるズレ、アンマッチは採用する前にわかる不一致と言えるでしょう。
今、採用ミスマッチはどれくらい起きている?
採用してもすぐに辞める人が増えています。ここでは、離職率の最新データと、業界ごとの違いを紹介します。
早期離職は当たり前?今どきの離職率
厚生労働省の調査によると、大卒で入社した人の34.9%、高卒で入社した人の38.4%が、入社から3年以内に会社を辞めています(令和3年3月卒業者を対象に令和6年に調査)。新卒採用に何百万円もかけたとしても、3人に1人以上は3年で辞めることになる計算です。
この調査では、とくに宿泊業や飲食サービス業、生活関連サービス業や娯楽業の離職率が高いことがわかりました。さらに、会社の規模が小さいほど、人が長く働き続けるのが難しい傾向も見られます。
多くの企業では、入社した人が仕事内容や職場の雰囲気にギャップを感じるケースが少なくありません。こうしたズレは、早期離職の大きな原因になります。
もはや、ミスマッチ対策は一部の特別な企業だけに必要なものではなく、どの業種や会社規模でも真剣に取り組むべき課題だと言えるでしょう。
業界・会社別に見る採用ミスマッチの実態
業界別に見ると、離職率が特に高いのは宿泊業・飲食サービス業で、約60%にものぼります。生活関連サービス業や娯楽業も約55%と高い水準です。
これらの業界では、人手不足から採用基準を下げざるを得なかったり、求職者がイメージだけで応募するために、入社後に大きなギャップが生まれやすいと考えられます。
会社規模で比べると、従業員30人未満の企業が最も離職率が高く、資本力のある大手企業になるほど低くなります。限られた人数と資金で「採用」と「育成」を同時に進める中小企業にとっては、年々難しさが増しているのが現状です。
採用ミスマッチが企業にもたらす3つのリスクとは?
採用ミスマッチは、会社にさまざまなリスクをもたらします。ここでは、とくに大きな影響を与える3つのリスクについて見ていきましょう。
人的リスク:組織の信頼とやる気が下がる
採用ミスマッチが起きると、組織の中の信頼やチームのやる気に大きな影響を与えます。期待して採用した人がすぐに辞めたり、思ったような成果を出せなかったりすると、もともと働いていた社員が不安を感じることもあります。
このような状況が続くと、チームの団結力が弱まり、生産性が下がったり、さらに離職者が増えたりする可能性があるでしょう。また、社員の入れ替わりが多くなると、取引先や顧客からの信頼も失われ、会社の評判に悪影響が出るおそれもあります。
金銭的リスク:採用や育成にかけたお金がムダになる
採用ミスマッチによって早期離職が起きると、会社には大きな金銭的ダメージが残ります。
求人広告や採用活動にかかるお金、入社後の研修に使った費用が無駄になってしまうのです。
さらに、もう一度人を探して育てる必要が出てくるため、追加でお金がかかります。離職者が残した仕事の穴による売上減少など、目に見えにくい損失も出るでしょう。
こうした影響は、会社の資金繰りを苦しくするだけでなく、他の成長に向けた投資にもブレーキをかける原因になります。
時間的リスク:仕事のスピードが落ちる
採用ミスマッチは、会社の時間的なリソースにも悪い影響を与えます。うまく合わなかった人材をフォローするために、マネージャーやチームリーダーが多くの時間を取られることになるからです。これにより本来進めるべき他の仕事に集中できなくなり、チーム全体の効率が落ちてしまいます。
また、再び採用や研修にかかる時間を考えると、会社が成長のチャンスを逃してしまうリスクもあるでしょう。とくに、変化の速い市場に対応できなくなり、競争力が下がる危険性も出てきます。
採用ミスマッチはなぜ起きる?5つの主な原因
採用ミスマッチは、ちょっとした行き違いからでも起こります。ここでは、よくある5つの原因についてわかりやすく説明します。
情報が偏っていて、仕事のイメージを誤解していた
企業が自社の良い面ばかりを強調して、仕事の厳しさや実際の職場の様子をあまり伝えないと、入社後に現実とのギャップを感じることがあります。
このような偏った情報は、求職者に間違った期待を持たせてしまい、早期離職の原因になりやすいです。企業は、仕事内容や職場環境についてリアルな情報をきちんと伝え、求職者が正しい判断をできるようサポートすることが大切です。
企業文化や価値観が合わなかった
企業の文化や考え方が、求職者の期待とズレていると、入社後に違和感を持つことがあります。たとえば、自由な働き方を望んでいる人が、厳しいルールのある会社に入ると、強いストレスを感じるかもしれません。
このようなミスマッチを防ぐためにも、企業は自社の文化や価値観をしっかり伝え、求職者が合いそうかどうかを入社前に確かめる必要があります。
スキルや経験を高く見すぎていた
採用の場面で、求職者のスキルや経験を実際以上に評価してしまうことがあります。たとえば、資格は持っているけれど実務経験が少ない場合や、求職者が自分をよく見せようと話を盛る場合などがこれにあたります。
企業側は、面接や適性検査などを通して、求職者の本当のスキルや適性をしっかり見極めることが大切です。
就職活動が早まり、業界についてよく知らなかった
最近は就職活動の時期がどんどん早くなっていて、十分に調べないまま内定を受ける人も増えています。そのため、入社後に「思っていた仕事と違う」と感じてしまうケースも少なくありません。
今後、企業はインターンシップや社員との交流会などを通して、学生が業界や会社について深く知る機会を増やすことが大切になります。
中途採用者が前の職場と比べてしまう
中途採用の場合、前の職場と今の職場を無意識に比べる人が多いです。そのため、仕事内容や職場の雰囲気に違いを感じると、期待とのズレが生まれやすくなります。
企業は、求人情報や面接のときにできるだけリアルな情報を伝えたうえで、入社後のフォローにも力を入れることが大切です。
よくある採用ミスマッチのパターンとそこから学べること
採用ミスマッチには、いくつかの共通したパターンがあります。実際の失敗例をもとに、その背景と教訓を見ていきましょう。
良いことばかり伝えすぎて、入社後にギャップが生まれた
「急成長中」「働きやすい職場」といった魅力的な言葉を前面に出して募集したところ、たくさんの応募が集まりました。しかし実際の職場では、長時間の残業やハードな仕事が当たり前になっていて、入社した人たちは話と違うと感じて次々と辞めてしまいました。
このような事態が続くと、企業の評判が下がり、次第に応募者も減ってしまいます。
教訓
採用では、会社の良いところだけでなく、大変な部分や今かかえている課題もしっかり伝えることが大切です。そうすることで、求職者は自分に合うかどうかを冷静に判断でき、入社後のミスマッチを減らすことにつながるでしょう。
スキルばかり重視して、社風に合わない人が入ってしまった
専門的なスキルが高い人を中心に採用した結果、会社の雰囲気や価値観に合わない人が入社してしまいました。
その人と既存の社員とのあいだに考え方のズレが生まれ、チームのまとまりが悪くなってしまったのです。その影響で仕事が進まなくなり、もともと活躍していた社員が辞めてしまうこともありました。
教訓
スキルだけでなく、その人の性格や価値観が会社の文化に合っているかどうかも、採用の大事なポイントです。面接や適性検査などを活用して、チームと相性が良さそうかどうかを見きわめる工夫が必要になります。
面接の基準があいまいで、合わない人を採ってしまった
採用のときに評価基準がはっきり決まっていないと、面接官の個人的な印象に頼った判断が増えてしまいます。その結果、本当に会社が求めていたタイプとは違う人を採用してしまい、入社後にうまく力を発揮できないという問題が起きました。
教訓
求める人物像や評価ポイントを事前にしっかり決めておくことが大切です。それを面接官全員で共有しておけば、採用の判断に一貫性が出て、ミスマッチのリスクを減らせるでしょう。
採用ミスマッチを防ぐための5つの対策
採用のミスマッチを減らすには、入社する前と後の両方で工夫が必要です。ここでは、そのための6つの対策を紹介します。
1. 仕事内容のリアルを伝えてギャップを防ぐ
会社の良いところばかりを伝えていると、入社後に「思っていた仕事と違った」と感じさせてしまうことがあります。そうならないように、仕事内容の大変さや職場の雰囲気も含めて、正確な情報を伝えることが大切です。
そうすることで、求職者は自分に合うかどうかを判断しやすくなり、ミスマッチを防ぎやすくなります。
2. 求める人物像と評価の基準をはっきりさせる
どんな人に入ってほしいのかがはっきりしていないと、面接官ごとに判断がバラバラになってしまいます。まずは求める人物像を明確にして、共通の採用基準を決めましょう。
また、「構造化面接」と呼ばれる、あらかじめ決めた質問や評価項目にそって進める方法を使えば、より公平に判断しやすくなります。
3. 入社後のサポート体制を整えて早期離職を防ぐ
新しく入った人が安心して働き始めるには、入社後のフォローがとても大切です。
たとえば、仕事内容やルールを段階的に学べる「オンボーディングプログラム」や、先輩社員が相談に乗ってくれる「メンター制度」などが役立ちます。さらに、定期的に話を聞く機会をつくることで、不安を減らすこともできるでしょう。
4. 採用方法をふり返って、より良くしていく
採用ミスマッチを防ぐためには、一度決めたやり方をそのまま続けるのではなく、定期的に見直すことが必要です。たとえば、応募が少ない場合は求人の出し方を変える、面接の判断がバラつく場合は面接官に研修を行うといった対策が考えられます。
また、入社後の定着率や早期退職の理由を調べて、採用活動に反映させていくことも重要です。成功や失敗の事例を社内で共有することで、チーム全体の力を高めることにもつながります。
5. ジョブ型雇用で仕事の内容と期待をはっきりさせる
ミスマッチを防ぐ方法のひとつに「ジョブ型雇用」という考え方があります。
これは、あらかじめどんな仕事をするのか、どんな成果が求められるのかをはっきり決めてから人を採用する方法です。仕事の内容や必要なスキルを明確に伝えることで、求職者との間でイメージのズレが起きにくくなります。
また、入社後の評価も仕事内容にそった基準で行いやすくなるため、働く人も納得しやすくなります。とくに専門的なスキルが必要な仕事では、この方法がうまくはたらくでしょう。
さいごに
日本では少子高齢化が進み、人材をめぐる競争がますます激しくなっています。その中で、「採用して終わり」という考え方は通用しなくなっています。
リアルな情報をきちんと伝えること、データに基づいてしっかり見きわめること、入社後のサポートを続けること。この三つを組み合わせることで、離職率が高い今の時代を乗り越えることができるでしょう。
今回紹介した対策を、ぜひ自社の採用活動に取り入れてみてください。長く活躍する社員が増えれば、採用にかけたお金も「コスト」ではなく「資産」として役立つようになるはずです。
外国人採用ハンドブックを見てみる⇒資料はこちらから