外国人留学生は就職難?!その問題に迫る

日本は慢性的に人手不足に悩まされていて、2030年には644万人の労働者が不足するという試算もあります。こうなると企業も外国人の採用を無視できなくなります。現在日本には外国人留学生が約30万人いて、毎年3万人ほど増えています。日本で就職を希望する学生もたくさんいますが、希望が叶わず帰国を余儀なくされるケースも少なくありません。
日本での就職にあたって留学生がどんな問題を抱えているのか、また企業としてどのような取り組みができるのかを解説します。
目次
留学生に就職活動は難しいという問題
留学生が日本で就職活動をするのは難しいという声をよく聞きます。これは日本と海外では就職活動の仕方が違うことが大きな原因の一つになっています。実際の調査結果から留学生が日本の就活でどこにつまづいてしまうのか見ていきましょう。
留学生採用の現状とは
日本でも留学生の採用は行われていますが、希望する留学生が多い「商業・貿易」の分野では求人が少ないなど、求人と留学生が希望する職種の間にギャップがあるのが現状です。
出典:経済産業省 平成26年度 外国人留学生の就職及び定着状況に関する調査
留学生が就職活動で困る事としては、外国人向けの求人が少ないことが最も多く挙げられ、日本の就職活動の仕組みが分からない、日本語での適性試験や能力試験が難しいと続きます。
求人の少なさもありますが、日本独特の就職活動の文化に戸惑ってしまう様子が伺えます。
出典:経済産業省 平成26年度 外国人留学生の就職及び定着状況に関する調査
日本の就活は特殊なの?
日本の就活には独自の文化が多く、留学生の就職を難しくする大きな原因になっています。
・日本語での適正試験が難しい
日本語で行われるSPIなどの適性試験で、日常会話や読み書きに不自由しない程度の日本語はできる学生がはじかれてしまうケースが多く見受けられます。その中には英語が堪能など、入社すれば活躍が期待できる優秀な学生も少なくありません。
・面接が多い
日本の新卒採用では4回、5回と面接が行われることが珍しくありません。日常会話に支障はなくても、母国語でない言語で何回も面接を受けるのは大きな負担になります。
海外の就職活動って?
海外での就職活動は日本とは大きく異なります。アメリカを例に解説します。
・通年採用が基本
アメリカでは採用の時期を特に設けていません。欠員が出たり、人材が欲しいと思ったタイミングで都度採用をする方式です。日本のように決まった時期に新卒向けに説明会をしたり、面接をしたりすることはありません。学生が就活をする時期も様々で、卒業前に就活をしない学生も多いです。
・学歴や学んだ内容が重要視される
アメリカでは採用後に即戦力となることを期待されるので、学生時代のエピソードよりどんな成果を出してきたかがとにかく大事です。ですから、分かりやすい学歴や資格が重視され、学んできた内容が仕事に直結することをアピールする必要があります。
・企業での実務経験が必須
アメリカでは日本のポテンシャル採用のように入社後の成長に期待して採用されることはなく、即戦力になることが求められるので実務経験がとても重要になります。そのため、就職を希望するほとんどの学生は長期のインターンシップに参加します。インターンシップから内定というパターンも多く、卒業後の学生が実務経験を積むためにまずインターンシップに参加することも少なくありません。
留学生の就職活動の問題に企業ができることは?
留学生が日本での就職活動で抱える問題を理解した上で、企業側も歩み寄ることで留学生の採用を加速させることができます。次のポイントに関しては、何か出来ることはないかぜひ見直してみてください。
採用基準を見直してみる
企業の採用基準が高すぎると応募が集まりにくくなるので基準の見直しをしてみましょう。例えば外国人採用にあたって、ビジネス上級レベル以上の日本語能力を求める会社が多いですが、採用基準を「日常会話や読み書きに不自由がない」などのレベルまで下げれば門戸がぐっと広がります。
ビジネス上級レベルの日本語は日本語検定1級に相当しますが、合格率は10%を下回り、外国人がビジネス上級レベルの日本語を身につけることは簡単ではありません。入社後に実務や研修などで日本語の能力を高めることは十分に可能ですので、入社時の日本語のレベルの基準を下げることを検討してみましょう。
外国人専門の求人媒体を使ってみる
日本で就職を希望する留学生の多くが外国人専門の求人媒体を利用しています。このような媒体に積極的に求人を出すことで優秀な留学生と接触できる可能性が高まります。ここでいくつか求人媒体をご紹介します。
NINJA
日本で働きたい134か国、4万人以上の外国人が登録する就職サイトです。雇用形態も正社員だけでなく契約社員や派遣社員、インターンシップ、アルバイトと様々な形態を取り扱っています。
Jobtopia(旧 DORAGON GATE)
若手の外国人に特化した就職サイトです。留学生協会や大学のキャリアセンターと連携していて、意欲のある留学生にアプローチすることができます。また、求人票作成やビザの取得など外国人採用特有のポイントについてもサポートを受けることができます。
connect job JAPAN
国内の外国人留学生に特化したサービスです。上位大学に通う学生の登録も多く、有名企業の採用でも利用されています。
社内の受け入れ態勢を整える
留学生を受け入れるにあたり、社内の体制作りも重要になります。自国ではない国でも安心して働けるようにすることがポイントです。
・日本語の習得のサポート
留学生が日本で働く上で大きな壁になるのが言葉の壁です。英語以外を母国語とする学生もたくさんいるため、コミュニケーションを円滑にするためにも日本語習得へのサポートは欠かせません。
日本語教室に通わせたりオンラインで学習させる他にも、自治体やNPOで主催している教室も積極的に活用しましょう。値段が安く抑えられるので、コスト削減になります。
・適正な労働条件を提示する
適正な労働条件で納得して働いてもらうことも大切です。外国人だからという理由で不当に低い労働条件ではなく、日本人と同等の条件で働いてもらうことでモチベーションアップにもつながります。
・価値観を共有する
仕事の進め方や価値観は事前にしっかり共有する必要があります。留学生は労働環境はもちろんのこと、文化や価値観も日本とは異なる環境で育ってきています。例えば日本では空気を読む、察するといった「暗黙の了解」の文化が根強く残っていますが、多くの外国人にはこの文化は通用しません。
言葉でしっかりと説明をする必要があります。また、「時間厳守」「集団行動を重んじる」「残業が多い」といった点も理解されにくいことが多いので、価値観を共有する努力が必要です。
留学生の採用について詳しくなりましたか?
企業のグローバル化が進み、人手不足も問題になっている中で留学生の採用を積極的に考えなければならない企業は確実に増えています。しかし、文化の違いや外国人採用独特の制度がハードルになってなかなか留学生の採用が進まない企業が多いのもまた事実です。
留学生の採用に関してサポートしてくゆいサービスなども積極的に活用して、優秀な留学生の採用をぜひ検討してみてください。
ライター:山田モヤイ