外国人材の採用を進める中で、「永住者」の在留資格を持つ方々は、就労に関する制限がなく、企業にとって重要な戦力となり得ます。しかし、「永住権」と、彼らが携帯する「在留カード」について、正確に理解しておくことは採用担当者にとって不可欠です。

この記事では、永住者の在留カード更新に焦点を当て、採用担当者が押さえておくべき点を解説します。

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永住権は更新が必要?

永住権は更新が不要!

日本の「永住権」、すなわち「永住者」としての在留資格に関して、「更新が必要か」という疑問がしばしば聞かれます。

結論からいうと、一度取得した永住権そのものには有効期間がなく、更新の手続は必要ありません。永住者は、在留期間を気にすることなく日本に滞在し続けることができます。

日本の在留資格制度において、永住者は特別な地位を占めます。この資格の最大の特徴は、在留期間に制限がないことです 。他の多くの在留資格、例えば就労ビザや配偶者ビザ、あるいは定住者ビザとは異なり、永住者資格には「〇年間」といった期限が設定されていません。

しかし、永住者が所持する「在留カード」には有効期間が定められており、定期的な更新が義務付けられています

なぜ永住権に更新は不要なのか?

日本の「永住者」という在留資格は、その名の通り、永続的な居住を認めるものです。法務大臣から永住許可を受けた外国人は、在留期間の制限を受けずに日本に在留できます。そのため、他の多くの在留資格のように、数年ごとに在留期間の更新を申請する必要がありません。

一方で、「在留カード」は、日本に適法に中長期間在留する外国人であることを証明する公的な身分証明書です。氏名や在留資格などの基本情報に加え、顔写真が表示されており、携帯が義務付けられています。

このカードは、身分証明書としての機能を維持するため、顔写真や定期的な情報更新が必要とされ、有効期間が設けられています。永住者であっても、このルールは適用されます。

在留カードの有効期間が切れたり、更新を怠ったりしても、それ自体が直ちに永住者資格の喪失を意味するわけではありません。しかし、在留カードの更新は法的な義務であり、これを怠ることは法律違反となり、罰則や不利益につながる可能性があります。

永住者資格という安定した権利を維持するためにも、在留カードの適切な管理と更新が不可欠です。

参照:出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン

外国人労働者の永住権が取り消されるのはどんな場合? 出入国管理法違反、長期海外滞在などケースごとに解説

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在留カードの更新の流れ

在留カードの更新手続きには、いつ申請し、どこで何をするのかといった一連の流れが存在します。以下の表には在留カード更新の申請準備から新しいカードを受け取るまでの大まかな流れを、分かりやすくまとめました。より詳しい必要書類や申請条件については、関連記事でご確認いただけます。まずはこの表で全体像を掴み、手続きの準備にお役立てください。

ステップ内容ポイント・注意点
① 申請のタイミング在留期間の有効期限内に申請を行います。・審査には通常2週間~3ヶ月かかるため、早めの申請が推奨されます。
・申請中に有効期限が切れても、特例として自動的に2ヶ月間は在留期間が延長されます。
② 書類提出住居地を管轄する地方出入国在留管理官署の窓口に必要な書類を提出します。・申請に必要な書類は、出入国在留管理庁のウェブサイトで事前に確認してください。
③ 審査・交付提出書類の審査後、新しい在留カードが交付されます。・永住者の更新の場合、書類に不備がなければ原則として即日交付されます。
・ただし、状況によっては後日交付となる可能性もあります。
④ 受領・確認交付された新しい在留カードを受け取り、記載内容に誤りがないか確認します。・氏名、生年月日、国籍、有効期間満了日などをその場で必ず確認してください。
・万が一、記載内容に誤りがあった場合は、すぐに窓口の職員に申し出る必要があります。

オンライン申請について

近年、一部の在留手続きについてオンライン申請システムが導入されています 。在留カードの更新についてもオンライン申請が可能である旨の情報もあります。

オンライン申請を利用する場合、マイナンバーカードやICカードリーダライタ等が必要となり、24時間申請可能で、新しいカードが郵送で受け取れるといったメリットがあげられています 。

ただし、永住者の在留カード有効期間更新が常時オンライン申請の対象となっているか、また利用条件等の詳細は変更される可能性があるため、利用を検討する場合は、必ず事前に出入国在留管理庁の公式ウェブサイトで最新情報を確認するか、インフォメーションセンター等に問い合わせることを強く推奨します。

参照:出入国在留管理庁「在留期間更新許可申請

【2025年版】永住権の審査期間はどれくらい? 最新の目安と企業ができるサポート・短縮のコツをわかりやすく解説

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在留カードの更新を忘れてしまった場合の対処法

従業員本人や採用担当者が、在留カードの有効期間が切れていることに気づくケースも考えられます。更新忘れは法的な罰則につながる可能性があるため、発覚した際は迅速かつ誠実な対応が不可欠です。

期限切れに気づいたらすぐに行うべきこと

もし在留カードの有効期間が切れていることに気づいた場合、以下の手順で速やかに対処する必要があります。隠したり放置したりせず、正直に手続きを進めることが重要です。

ステップ1:速やかに管轄の出入国在留管理局へ

気づいた時点で、できるだけ早く本人が住居地を管轄する出入国在留管理局へ出頭し、更新を忘れていた旨を正直に申告・相談します。電話での問い合わせも可能ですが、最終的には窓口での手続きが必要です。

ステップ2:必要な書類を準備する

通常の更新書類一式に加え、なぜ更新が遅れたのかを説明するための「理由書(反省文)」の提出が求められます。

通常の必要書類

    • 在留カード有効期間更新申請書
    • 写真(3ヶ月以内に撮影したもの)
    • パスポート(提示)
    • 現在の在留カード(期限が切れたもの)

追加で必要となる書類

  • 理由書:更新を忘れた経緯や理由、反省の意を正直に記載します。「仕事が多忙だった」「制度を誤解していた」など、事実を誠実に説明することが重要です。

ステップ3:窓口で手続きを行う

準備した書類を持参し、窓口で担当者の指示に従って手続きを進めます。悪質性が低いと判断されれば、通常は厳重注意の上で新しい在留カードが交付されますが、状況によっては詳細な聴取が行われる場合もあります。

採用担当者としての注意点

採用担当者としては、従業員の在留カードの期限切れは、本人の不利益だけでなく、企業の労務管理上のリスクにもつながります。

  • 定期的な有効期間の確認:採用時だけでなく、定期的に従業員の在留カードの有効期間を確認する管理体制を構築しましょう。
  • 期限切れを発見した場合の対応:もし従業員のカードの期限が切れていることを発見した場合は、決して放置せず、上記の手順に沿って速やかに出入国在留管理局へ行くよう本人に指導してください。

故意でなくとも、更新忘れは法律違反です。企業としてコンプライアンスを徹底し、外国人従業員が安心して働き続けられる環境を整えるためにも、在留カードの管理に対する正しい知識と意識を持つことが求められます。

おわりに

永住者の在留資格そのものに更新は必要ありませんが、在留カードには有効期間があり、満了前に本人が更新手続をおこなう必要があります。

外国人採用担当者の皆様は、この点を正確に理解し、採用時および雇用期間中において、従業員の在留カード有効期間を確認する習慣をつけましょう。適切な情報管理と必要に応じた従業員への声かけは、コンプライアンスを遵守し、安心して外国人材に活躍してもらうための重要な取り組みです。

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