日本の介護業界は、社会の急速な高齢化に伴い、深刻な「人手不足」という課題に直面しています。国内の労働力人口が減少する中で介護サービスの需要は増え続けており、多くの事業所にとって人材の確保は最優先で取り組むべき経営課題です。

このような状況はなぜ生まれているのでしょうか。そして、今後どのように推移していくのでしょうか。

本記事では、介護分野における「人手不足」の現状と構造的な原因を、公的な最新データをもとに多角的に分析します。その上で、今後の見通しと、対策の鍵となる外国人材の動向について詳しく解説します。

 

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データで見る、介護業界における人手不足の深刻さ

 

介護分野における人手不足の深刻度は、公的なデータからも明らかです。

人材の需要と供給のバランスを示す有効求人倍率を見ると、2024年時点での介護サービス職種は3.84倍に達しています。これは、求職者1人に対して約4件もの求人が存在する「売り手市場」であることを意味し、全職種の平均1.13倍と比較しても、いかに介護人材の獲得競争が激しいかを示しています。

さらに、厚生労働省は「第8期介護保険事業計画」の中で、日本の高齢化のピークに向けて必要となる介護職員の数を推計しています。それによると、2025年度末には約243万人、そして団塊の世代が85歳以上になる2040年度末には約280万人もの介護職員が必要になるとされています。

現状の供給ペースのままでは、将来的に数十万人規模での不足が生じる見込みであり、この巨大な需給ギャップをいかに埋めていくかが、国全体の大きな課題となっています。

参照:厚生労働省「一般職業紹介状況(職業別)」、厚生労働省「第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について

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なぜ人手不足は起きるのか?その構造的な2つの原因

 

この深刻な人手不足は、主に以下の2つの構造的な要因が絡み合って発生しています。

原因①:高齢化の加速による「介護需要の増大」

日本の高齢化は世界でも類を見ないスピードで進んでいます。特に、約800万人いるとされる団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる「2025年問題」を目前に控え、介護サービスの需要は今後さらに急増することが確実視されています。サービスの受け手が爆発的に増えることで、それを支える担い手の必要数も必然的に増加します。

原因②:少子化による「生産年齢人口の減少」

需要が増大する一方で、サービスの担い手となる日本の生産年齢人口(15歳〜64歳)は1995年をピークに減少し続けています。特に若年層の人口が先細りしていく中で、国内の日本人労働力だけで増え続ける介護需要をまかなうことは、構造的に極めて困難な状況になりつつあります。

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なぜ今、介護業で外国人採用が注目されるのか?

 

介護分野で外国人採用が注目され、積極的に進められている背景には、いくつかの重要な理由があります。

理由①人手不足解消

第一に、国内の労働力だけでは対応しきれない深刻な人手不足解消への貢献が期待されている点です。高齢化が一層進む中で、介護サービスの需要は増え続ける一方、若年層の労働力人口は減少傾向にあります。この構造的な課題に対応するため、外国人材は不可欠な存在となりつつあります。

理由➁政府による受け入れ強化

第二に、政府による外国人材受け入れ支援策の強化が挙げられます。特定技能制度の創設や運用改善、EPAを通じた受け入れ枠の確保など、国として介護分野への外国人材導入を後押しする姿勢が明確になっています。これにより、企業側も以前に比べて計画的に外国人採用を進めやすくなりました。

理由③日本での労働の魅力

第三に、外国人材側の日本での就労意欲の高まりと介護分野への関心です。日本の介護技術や知識、労働環境に関心を持つ外国人は少なくありません。特にアジア諸国では、自国でも高齢化が進展しており、日本で習得した介護スキルを母国で活かしたいと考える人もいます。

過去からの推移:増加傾向とその背景

外国人介護職員の数は、ここ数年で顕著な増加を見せています。特に、2019年4月に創設された在留資格「特定技能」は、介護分野での外国人材受け入れの門戸を大きく広げました。

深刻な人手不足を背景に、介護現場からの強いニーズがあること、そして政府が外国人材の受け入れ促進策を講じていることが、この増加の主な要因と考えられます。

例えば、特定技能制度においては、一定の専門性と技能を持つ外国人に対して、最長5年間の就労が認められており、介護業務全般に従事することが可能です。また、EPAにもとづく受け入れも継続的に行われており、候補者は日本の国家資格である介護福祉士の取得を目指しながら実務経験を積んでいます。

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今後の展望:外国人材受け入れの見通しと介護現場にもたらす価値

 

今後の受け入れ人数の見通しと予測

政府は、介護分野における外国人材の受け入れ目標数を設定するなど、引き続き積極的な姿勢を示しています。例えば、特定技能制度全体においては、今後5年間で82万人の受け入れを目指すといった目標が掲げられています。

高齢化のさらなる進行と介護ニーズの増大を考慮すると、外国人介護職員の数は今後も増加していく可能性が高いと言えるでしょう。

主な在留資格と国籍の内訳

介護分野で働く外国人の在留資格は多岐にわたりますが、代表的なものとしては前述の「特定技能」「EPA介護福祉士候補者」「技能実習」があげられます。このほか、「介護」の在留資格を持つ介護福祉士もいます。

国籍別に見ると、アジア諸国からの人材が多くを占めています。特にベトナム、インドネシア、フィリピン、ミャンマー、ネパールなどからの出身者が多い傾向にあります。これは、これらの国々と日本との間で経済連携協定が結ばれていることや、送り出し機関の整備が進んでいることなどが背景にあると考えられます。

参照:出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数」、厚生労働省「EPAに基づく外国人看護師・介護福祉士候補者の受入れについて

外国人材がもたらす介護現場への多様な価値

外国人材は、単なる労働力不足の解消にとどまらず、介護現場に多様な価値をもたらす可能性を秘めています。異なる文化背景を持つ人材が加わることで、職場内の活性化や新たな視点の導入が期待できます。また、利用者にとっても、異文化に触れる機会や、多様な価値観を理解するきっかけとなり得ます。

グローバル化が進む現代において、多様性を受け入れる組織文化の醸成は、企業の持続的な成長にも繋がるでしょう。

 

まとめ:人手不足時代を乗り越えるために

ここまで見てきたように、日本の介護業界における人手不足は、需要の増大と供給の減少という構造的な要因によって引き起こされており、今後もこの傾向は続いていくと予測されます。

この大きな変化の時代を乗り越えるためには、従来の採用手法に固執するのではなく、データに基づいた現状認識のもと、外国人材の受け入れをはじめとする新たな選択肢を戦略的に検討していくことが不可欠です。

私たちGuidable株式会社は、外国人採用に特化した専門企業として、これまで多くの介護事業所様の採用・受け入れをご支援してまいりました。人手不足という大きな課題に、どう立ち向かえば良いのか。その第一歩として、まずは信頼できる情報を集めることから始めてみてはいかがでしょうか。

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