「外国人採用をしてみたい」と思っても、コミュニケーションがうまくできるのか日本の社風になじむことができるのか、など多くの不安をかかえ、なかなか踏み出せていない方が多いのではないでしょうか?

しかし、観光客の急増や、グローバルな市場があたりまえとなっている今、外国人はどの業界においても欠かせない、貴重な戦力だといえます。

本記事では、バングラデシュからの留学生へのインタビューをもとに、日本にもっとも近い国民性・労働環境をもつバングラデシュ人についてご紹介します。

1.バングラデシュってどんな国?

・「脱」貧困国

バングラデシュは「アジア最後の新興国」と言われており、国土は日本の4割程度、人口は約1億6900万人の人口密度が非常にたかい国です。数10年前までは最貧国のひとつでした。2010年代くらいから急激な成長をとげ、現在では発展途上国となっています。

その急成長を支えたのが、全国的なIT化と、縫製業です。バングラデシュには約4500社のIT企業があり、多くの若者もIT人材をめざしています。また、縫製業ではユニクロZARAのような主要なファストファッション企業の工場をもっています。

実際に貧困率も下がり、人々のライフスタイルも向上してきているようで、全体的に上向きな現状であるといえます。

参考:ユニクロのキャリアアッププログラム

・親日国である

みなさんもご存知のように、バングラデシュは親日国として有名です。バングラデシュがパキスタンから独立した後も、日本は50年ちかく道路、農業、教育といった様々な分野・インフラで支援を続けています。

・留学生が多い!

日本へのバングラデシュ人留学生も多く、2022年の調査ではトップ10に入る3,313人を記録しています。

その要因として、親日であることが深く関係しています。留学生によると、留学先として日本をえらぶと、家族からの印象がよいそうです。特に女性は治安のよさや安心面で、家族が送り出しやすいといいます

参考:2022年度(令和4年)外国人留学生在籍状況調査結果

2.バングラディッシュ人の特徴

・「おもてなし」の心

バングラデシュ人は親日なだけでなく、日本によく似た国民性や文化をもちます。その一つとして「おもてなし」の心があります。

バングラデシュ人は来客やゲストに対して、たとえそれが誰であろうと、まるで長いあいだ親しくしている仲のように接します。それは表向きのものではありません。たとえば、誰かを家に招き入れる際には、必ずたくさんの手料理をふるまいます。人種や男女に関係なく、はじめて会う人でも心地よくいてもらおうとするのが当たり前のようです。

そうした精神や振る舞いは、子どもの頃に両親から意図的に学ぶものではなく、自然と心のうちに根付いていく国民性のようなものだといいます。

・シャイじゃない日本人?!

日本人によく似たバングラデシュ人ですが、逆に異なる一面として、ものすごくフレンドリーです。

誰であろうと、おもてなしをするのと同様に、知らない人に対してかなり積極的に話しかけにいきます。みんな”Where are you from?”のひと言で会話をはじめるそうで、困っていそうな素振りをみせている人がいれば、自ら手助けをしにいくのが当たり前のようです。そのため、初対面の人とのコミュニケーションが得意だといえるでしょう。

日本人から「シャイ」を抜いたような性格だといえます。

・高度な語学力・ITスキル

バングラデシュ人の公用語はベンガル語ですが、ほとんどの方が英語も堪能です。

バングラデシュでは、小学校から英語をならいはじめ、高等教育では国語の授業はなくなり、英語のみに集中するそうです。また、家族の会話ではベンガル語と英語をまぜあわせて使うのが日常的な習慣となっています。裕福な家庭に生まれず、教育をうけるのが難しい方でも、かんたんな英語が使えます。

語学だけでなく、多くのバングラデシュ人はITに強いというのも特徴です。若い世代にITが大変人気であり、年間1万5千人から3万人ものIT関連学科を卒業した若者が社会にでるようです。実際に、バングラデシュの東大とも呼ばれるダッカ工科大学では、コンピューターサイエンス&エンジニアリング学部の倍率が約30倍から80倍となっています。それほど、IT技術を学ぶ人が多く、競争率が高いことがわかります。

高度な英語とITスキルを兼ね備える、貴重な人材がおおく期待できます。

・ハードワーカー

バングラデシュでは、子どもの頃から親にきびしく育てられることから、忍耐力のつよい、ハードワーカーの方が多いといえます。家庭での勉強に対するきびしさは日本以上ともいえるほどで、どのような経済状況や両親をもつ家族でも、基本的に勉強ができるかどうかで、「良い子・悪い子」かが決まるそうです。

また、学校でも毎週テストをおこない、成績でAをとるのにみな必死で勉強します。そのため、仕事の面でもきびしく、最後までやり切る力のある方が多いといえます。

3. バングラデシュの労働環境

・日本以上の年功序列?

年功序列の文化は、いっけん日本特有のようにみえますが、バングラデシュでもきびしい年功序列があります。バングラデシュでは、年上への敬意をはらうのは非常に大切なことで、職場だけでなく、学生のころから先輩ときびしい上下関係のもとかかわります。年上の態度もどっしりとしており、年下へは基本的にお辞儀をしないそうです。

また、人間関係の上で、相手への尊敬心を重視する特徴があります。バングラデシュ人はすごく尊敬する人のもとであれば、つきっきりでいくらでも働き、なんでもするような精神を持っています。

厳しい年功序列や、尊敬心を大切とすることから、日本人に近い、人間関係の常識をもっているといえるでしょう。

・残業は…

バングラデシュ人が職場でいちばん気にするのが、フレキシビリティです。仕事に対して、きびしく、ハードワークしますが、極度な重圧や、強制的かつ長時間の残業はいやがります。

その主な理由として、バングラデシュ人は家族との時間と自分の生活スタイルを大切にし、優先します。とくに、家族との時間は最優先で、ほとんどの家庭が結婚をしても両親だけでなく、祖父母とまで深いかかわりを持ち続けます。

実際に、日本の職場に対するいちばんの不安は、残業を当たり前とする過酷な労働環境であるというイメージだといいます。ただ、毎日のように残業することには抵抗があり、適度な残業なら納得できるようです。

4. 日本で働きたい!

留学生だけでなく、日本で働きたいバングラデシュ人も非常に多いです。実際に今回インタビューした2人も日本での就職をのぞんでいます。理由としては、主に「給与のちがい」です。経済面での成長が著しいバングラデシュですが、それでも国内GDPは日本の20分の1程度しかなく、現地の初任給は1万5000円ほどです。

また、ほとんどのバングラデシュ人は母国の家族にかせいだお金を送金しているため、日本の職場における待遇はたいへん魅力的なのだといえます。

参考:協同組合FUIJ バングラデシュ

まとめ

本記事では留学生へのインタビューをもとに、バングラデシュ人の特徴や、現地の労働環境をご紹介しました。見ていただいたように、バングラデシュはあらゆる面で日本に近い国であるといえます。外国人採用では、さまざまな不安があると思いますが、最適な人材として、バングラデシュ人は期待でき、要注目です。

外国人採用をお考えの方はぜひ参考にしてみてください!