人手不足が深刻化する日本国内において、即戦力となる外国人材の確保は多くの企業にとって喫緊の課題です。中でも「特定技能」制度は、一定の専門性・技能を持つ外国人材の受け入れを促進する重要な仕組みです。

数ある国籍の中でも、なぜ今「特定技能」でフィリピン人材が注目されているのでしょうか。

本記事では、客観的なデータに基づきフィリピン人材を採用する優位性を解説するとともに、採用担当者が知るべき具体的な手続き、費用、期間の全てを網羅的かつ簡潔に解説します。

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1. 【データで比較】他国籍と比べてわかるフィリピン人材の優位性

 

特定技能制度においてフィリピン人材を選ぶべき理由は、情緒的なものではなく、客観的なデータによって裏付けられています。

出入国在留管理庁の最新データによると、2023年末時点での特定技能在留外国人数は208,462人にのぼります。国籍別に見ると、ベトナムが最も多く、次いでインドネシア、そしてフィリピンが続きます。

【国籍・地域別】特定技能在留外国人数(2023年12月末時点)

順位国籍・地域人数構成比
1ベトナム102,667人49.3%
2インドネシア34,475人16.5%
3フィリピン23,892人11.5%
4中国13,446人6.5%
5ミャンマー8,247人4.0%

(参照:出入国在留管理庁「令和5年末現在における在留外国人数について」

フィリピンは人数で3位ですが、他の国と比較して特筆すべき強みがあります。

  • 高い英語力: フィリピンの公用語は英語であり、多くの国民が堪能です。これにより、現場でのコミュニケーションやマニュアルの理解がスムーズに進むという大きな利点があります。
  • ホスピタリティと学習意欲: 国民性としてホスピタリティが高く、介護や飲食サービスといった分野でその特性が活かされます。また、親日的で日本語学習への意欲が高い人材が多いことも特徴です。
  • 政府による厳格な管理: 後述するフィリピン政府の海外雇用に関する厳格な手続きは、労働者の保護と同時に、送り出す人材の質を一定水準以上に保つ役割も担っています。

これらの点から、特にコミュニケーションとサービスの質を重視する企業にとって、フィリピン人材は極めて有力な選択肢といえます。

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2. 特定技能フィリピン人採用の費用と期間がわかる全ロードマップ

フィリピン人の採用プロセスは、採用する人材が日本国内にいるか、海外にいるかで異なります。それぞれの全体像を把握することが、計画的な採用活動の第一歩です。

ケース1:国内在住者(在留資格変更)を採用する場合

期間の目安: 約2〜4ヶ月

主な流れ:

1 求人・面接・内定

2 雇用契約の締結

3 登録支援機関との支援委託契約

4 在留資格変更許可申請(出入国在留管理庁)

5 MWOへの手続き(※原則、在留資格変更許可後)

6 就労開始

ケース2:海外在住者(新規入国)を採用する場合

期間の目安: 約6〜10ヶ月

主な流れ:

1 フィリピン政府認定の送出機関との契約

2 求人・面接・内定

3 雇用契約の締結

4 登録支援機関との支援委託契約

5 MWOへの手続き

6 在留資格認定証明書(COE)交付申請(出入国在留管理庁)

7 フィリピン本国での手続き(DMW)

8 ビザ申請・取得、来日

9 就労開始

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3. 【パターン別】具体的な採用手続きのステップ解説

ここでは、各パターンの手続きをステップごとに解説します。

ケース1:国内在住のフィリピン人を採用する場合

主に、技能実習や留学など、別の在留資格で日本に滞在している人材が対象です。

  1. 採用活動・内定: 自社求人や人材紹介サービスを利用し、候補者と面接、内定を出します。特定技能の要件(技能・日本語レベル)を満たしているか確認が必要です。
  2. 各種契約: 候補者と雇用契約を、登録支援機関と支援委託契約を締結します。
  3. 在留資格変更許可申請: 企業の所在地を管轄する出入国在留管理庁に対し、「特定技能」への在留資格変更許可申請を行います。
  4. MWO(駐日フィリピン共和国移住労働者事務所)への手続き: 在留資格の変更が許可された後、雇用契約書などをMWOに提出し、認証を受けます。これがフィリピン独自のルールです。(参照: MWO Tokyo – PHILIPPINE MIGRANT WORKERS OFFICE
  5. 就労開始: 全ての手続きが完了後、就労を開始できます。

ケース2:海外在住のフィリピン人を採用する場合

フィリピン本国から新たに人材を呼び寄せる場合の手順です。

  1. 送出機関・登録支援機関との契約: まず、フィリピン政府(DMW)認定の送出機関と契約します。その後、日本の登録支援機関とも契約を結びます。
  2. 採用活動・内定: 送出機関を通じて候補者の募集・選定を行い、オンライン等で面接、内定を出します。
  3. MWOへの手続き: 日本側でMWOに対し、求人情報や雇用契約書などを提出し、審査・認証を受けます。原則として、この手続きを先に行う必要があります。
  4. 在留資格認定証明書(COE)交付申請: MWOの認証後、日本の出入国在留管理庁に在留資格認定証明書(COE)の交付を申請します。
  5. フィリピン本国での手続き: COEが交付されたら、フィリピンのDMW(移住労働者省)で手続きを行い、海外雇用許可証(OEC)を取得します。
  6. 来日・就労開始: 現地の日本大使館・領事館でビザを取得し、来日。空港での在留カード交付を経て、就労開始となります。

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4. 【概算一覧】特定技能フィリピン人採用にかかる全費用

 

採用費用は、依頼する機関や採用形態によって大きく変動します。以下はあくまで一般的な目安としてご参照ください。

費用項目金額の目安(1名あたり)備考
人材紹介手数料30万円~80万円海外からの採用の場合、高くなる傾向。
登録支援機関への支援委託費月額 2万円~5万円義務的支援の費用。
MWO・DMW関連申請費用5万円~15万円申請代行を依頼する場合の費用を含む。
在留資格関連申請費用10万円~20万円行政書士等に依頼する場合の費用。
渡航費(海外採用の場合)5万円~10万円航空券代など。
その他初期費用5万円~10万円住居の初期費用補助など。
合計(目安)国内採用: 40万円~ ・海外採用: 60万円~上記はあくまで一例です。

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5. 採用担当者が押さえるべき3つの最新注意点

 

注意点1:MWOの手続きはオンライン申請が基本

現在、MWOへの各種申請は、専用のオンラインシステムを通じて行うのが基本です。事前にアカウントを作成し、システム上で求人情報や必要書類のデータをアップロードする必要があります。英語での入力が求められ、操作も煩雑なため、実績のある登録支援機関に代行を依頼するのが一般的です。

注意点2:「特定技能2号」への移行で長期雇用が可能に

特定技能1号の修了者は、より熟練した技能が求められる「特定技能2号」へ移行できる可能性があります。2号になると在留期間の更新に上限がなくなり、要件を満たせば家族の帯同も可能です。これにより、人材の長期的な定着と、将来的な現場リーダーとしての活躍が期待できます。

(参照:出入国在留管理庁「特定技能2号の対象分野の追加について」 )

注意点3:フィリピン人材の採用・定着に強い登録支援機関を選ぶ

フィリピン独自のルールに対応するため、登録支援機関選びは極めて重要です。選定の際は、以下の点を確認することをお勧めします。

  • フィリピン政府認定の送出機関と正式な提携があるか
  • MWOへの申請代行実績が豊富か
  • 英語やタガログ語に対応できるスタッフが在籍しているか

まとめ:計画的な準備で、質の高いフィリピン人材の採用を成功させる

本記事では、特定技能制度におけるフィリピン人材採用の優位性から、具体的な手続き、費用までを解説しました。

フィリピン人材の採用は、他国籍とは異なる独自の手続きが必要であり、時間とコストを要するのは事実です。しかし、そのプロセスを経て採用に至る人材は、質の高い労働力として貴社の事業に大きく貢献する可能性を秘めています。

成功のカギは、正確な情報に基づいた計画的な準備と、フィリピンの制度に精通した信頼できるパートナー(登録支援機関)選びにあります。

この記事が、貴社の外国人採用戦略の一助となれば幸いです。

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