ホテルのレセプションで外国人を採用するメリット|需要拡大の理由と仕事内容、採用のポイントを解説

人手不足が進んでいる宿泊施設では、外国人スタッフの採用を検討している方も多いのではないでしょうか。
外国人労働者の増加が注目されている今、レセプションスタッフとして採用することでどんなメリットがあるのか、気になる方も多いはずです。
この記事では、外国人レセプションスタッフを採用するメリットや、採用時に注意すべきポイントをわかりやすく説明します。
ホテル業界のレセプションとは?
ホテルのレセプションスタッフは、宿泊客を迎え入れる大切な役割です。この仕事では、宿泊客の対応を中心に、さまざまな業務を行います。
レセプションスタッフの仕事内容
レセプションスタッフは、ホテルにおける宿泊客の受付(フロント)業務を担当します。おもな仕事内容は、チェックインやチェックアウトの手続き、宿泊予約の確認、ルームキーの管理、そして宿泊客からの問い合わせや要望への対応です。
また、電話やインターネットでの予約受付や変更、キャンセル処理も行います。
宿泊客が快適に過ごせるように、ホテル内のサービスや周辺の観光情報を提供することもレセプションスタッフの役割です。
つまり、ホテルの「顔」として、宿泊客に良い印象を与えることが求められる、重要なポジションです。
レセプションスタッフに求められるスキル
レセプションスタッフとして働くには、コミュニケーション能力が欠かせません。宿泊客としっかりと会話し、ニーズを理解して適切なサービスを提供するために、明確で丁寧な言葉をつかう必要があります。
ホスピタリティ精神も重要です。親切で温かい対応を心がけ、宿泊客が快適に滞在できるようサポートします。
予期しないトラブルやクレームが発生することもありますが、臨機応変な対応力や問題解決能力があれば、冷静に対処できるでしょう。
また、最近は外国人客が多いため、語学力も重要なスキルとなります。外国語が話せると、より多くの宿泊客に対応でき、安心してもらえるでしょう。
ホテルのレセプションスタッフ、外国人採用が重要に!
最近、ホテル業界は大きな変化を迎えています。とくに、レセプション職では多言語対応や異文化を理解できる人材が求められるようになり、外国人を採用することが増えています。
インバウンド急増で、外国人レセプションスタッフの需要が拡大
日本に訪れる外国人観光客が増えており、そのためホテルのレセプション職の需要も大きくなっています。
2024年には訪日外国人の数が3,600万人を超え、過去最多となりました。この影響で宿泊施設の利用率が上がり、新しいホテルも増えています。
とくに外国人観光客が多い都市や観光地では、多言語に対応できるレセプションスタッフが重要な役割を担っています。そのためホテル業界では、英語や中国語などを話せる外国人を採用することが進んでいます。
語学力だけでなく、異文化を理解していることを生かした接客スキルも大切だと考えられています。
人手不足が続くホテル業界、外国人スタッフが活躍するチャンス
一方、日本のホテル業界は人手不足に悩まされています。帝国データバンクの調査によると、2025年1月時点で、ホテル業界の人手不足は正規・非正規を合わせて5割を超えています。
とくにレセプションや調理スタッフの確保が難しく、客室の稼働率に影響を与えているホテルもあります。
この背景には、以下のような課題があります。
- シフトの不規則さや長時間労働
- 有給取得率の低さ
- 離職率の高さ
こうした状況に対応するため、外国人の採用は重要な解決策とされています。
特定技能ビザや技術・人文知識・国際業務ビザを使って、長期間働ける人材を確保する動きも広がっています。
また、受付業務のデジタル化や自動化も進んでおり、外国人スタッフが機械を使って補助しながら接客するケースも増えています。今後、外国人レセプションスタッフはホテル業界でますます活躍するようになるでしょう。
参考:日本政府観光局(JNTO) 訪日外客数(2024年12月および年間推計値)
参考:株式会社帝国データバンク 全国「旅館・ホテル市場」動向調査
外国人レセプションスタッフを採用するメリット
ここでは、外国人スタッフを採用することで得られるメリットを紹介します。
多言語対応で観光客をサポートできる
外国人スタッフを採用する大きなメリットのひとつは、観光客に多言語で対応できることです。
日本を訪れる外国人にとって、言葉の壁は大きな課題です。ホテルで母国語での対応ができれば、外国人観光客が安心してサービスを受けることができ、滞在の満足度も高まります。
英語や中国語、韓国語などを話せるスタッフがいることで、予約やチェックイン、館内の案内などがスムーズに進みます。さらに、外国人スタッフは自国の文化や習慣を理解しているため、観光客のニーズに合わせた細やかなサービスを提供できるのも強みです。
このような対応ができれば、ホテルの評価が上がり、口コミやレビューを通じて新たな宿泊客の獲得にもつながるでしょう。
世界基準のサービスを取り入れられる
外国人スタッフの採用によって、国際的なサービス基準を取り入れることができます。海外のホテルや観光業界で経験を積んだスタッフは、業界のベストプラクティスを理解しているため、それを日本のホテルに応用することでサービスの質を向上させることができます。
たとえば、チェックイン・チェックアウト手続きのスピード向上や、トラブル対応の改善など、海外のホテルで一般的に行われている手法を取り入れることで、より洗練されたサービスを提供できるようになります。
国際的なイメージが強まり、ブランド力を向上できる
外国人スタッフを採用すると、ホテルや旅館の国際的なイメージが強まり、ブランド力の向上につながります。多国籍のスタッフがいることで、外国人観光客にとって親しみやすい宿泊施設として認識され、選ばれる理由にもなります。
また、国際的なホテルとしての印象が強まることで、信頼感が増し、他の宿泊施設との差別化にもつながります。
海外のお客様に合ったサービスができる
異なる文化や習慣を持つスタッフがいることで、さまざまな国の観光客に合わせた新しいサービスを展開することができます。
たとえば、特定の国の文化を取り入れたおもてなしや、宗教や食習慣に配慮した食事の提供、外国人観光客向けの特別なイベントの企画などが挙げられます。こうした工夫によって、お客様にとって特別な体験を提供できるため、リピーターの獲得にもつながります。
外国人レセプションスタッフを採用する際のポイント
ホテルで外国人スタッフを採用する際には、事前に確認すべきことがいくつかあります。ここでは、採用時に押さえておきたいポイントを紹介します。
どんな在留資格が必要?
日本で働くためには、仕事内容に合った在留資格が必要になります。まずは、候補者が適切な在留資格を持っているかを確認することが大切です。
技術・人文知識・国際業務
この在留資格は、外国人が専門的な知識や技術を活かして働くためのものです。
語学力を活かしてフロント業務や通訳業務、外国人観光客の対応を行うことができます。ただし、清掃などの単純作業は認められていません。
特定技能(宿泊分野)
この在留資格は、人手不足が深刻な業種で働く外国人向けのものです。
宿泊業では、レセプション業務のほか、清掃、レストランの接客、施設管理なども担当できます。メインの仕事が決まっていれば、付随する業務としてベッドメイキングなどの単純作業も可能です。
特定活動(46号)
この在留資格は、日本の大学を卒業し、日本語能力が一定レベル以上ある外国人に与えられます。
レセプション業務や観光案内、簡単な接客などを担当でき、語学力を活かした仕事がメインです。これらの業務に関係する範囲であれば、単純作業も認められます。
身分系の在留資格
「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」の資格を持つ外国人は、職種や仕事内容に制限なく働くことができます。日本人と同じ条件で採用が可能です。
資格外活動許可を持つ外国人
「留学」や「家族滞在」などの在留資格を持つ外国人は、基本的に働くことはできません。
ただし、資格外活動許可を取得すれば、週28時間以内のアルバイトが可能になります。レセプション業務だけでなく、ホテル内のさまざまな業務に従事できますが、フルタイムの正社員として働くことはできません。
日本人と同じ労働条件を整える
労働基準法では、国籍による差別的な扱いが禁止されています。これは、外国人労働者も日本人と同じように保護し、平等な労働環境を確保するためのものです。
具体的には、賃金、労働時間、福利厚生などの条件を日本人スタッフと同じにする必要があります。
また、適切な待遇を提供することで、外国人スタッフのやる気を引き出し、業務の質を高めることにもつながります。結果として、ホテルの人手不足解消やサービス向上にも良い影響を与えます。
研修体制をしっかり準備する
外国人スタッフが安心して働けるようにするためには、入社後の研修が欠かせません。
日本のホテル業界では、おもてなしの文化やビジネスマナーが重視されますが、これらは外国人にとって馴染みがない場合もあります。
研修では、以下の内容を重点的に教えると効果的です。
- 接客に必要な日本語の基礎
- お客様対応のマナー
- ホテルでの具体的な業務の流れ
- 職場でのコミュニケーション方法
また、実際の業務を通じて学ぶ OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)も有効です。
外国人スタッフが長く働ける環境を作る
せっかく採用した外国人スタッフがすぐに辞めてしまうと、人手不足の解決にはつながりません。長く働いてもらうためには、職場の環境を整えることが大切です。
まず、定期的な評価やフィードバックを行い、スタッフの成長をサポートすることが重要です。たとえば、以下のような項目を評価基準にすると、具体的な目標を持って働けます。
- 接客スキルの向上
- 予約管理やチェックイン業務の正確さ
- お客様への対応の質
また、メンター制度を導入し、経験豊富なスタッフが新しい外国人スタッフをサポートする体制を作ると、職場に馴染みやすくなります。職場での孤立を防ぎ、安心して働ける環境を提供することが大切です。
生活面でのサポートも定着率の向上につながります。たとえば、住居の手配や日本での生活に関するアドバイスを行うことで、外国人スタッフが新しい環境に適応しやすくなります。
さいごに
外国人レセプションスタッフの採用は、人手不足の解決だけでなく、サービスの質を向上させ、ホテルの競争力を高めることにもつながります。
これを実現するためには、在留資格の確認や研修体制の整備をしっかり行い、長く活躍できるスタッフを採用することが大切です。
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