外国人労働者の受け入れは、多くの企業にとって重要な経営課題となっています。しかし、人材が早期に離職してしまう、あるいは期待した能力を発揮できないといった「ミスマッチ」に悩む声も少なくありません。

実は、その原因の一つが「求人段階でのコミュニケーション不足」にあることをご存じでしょうか。

厚生労働省の調査データなどからも、外国人労働者が離職に至る理由として、労働条件や仕事内容に関する認識の齟齬が挙げられることがあります。採用後の定着率を高めるためには、募集・選考という初期段階から、応募者との丁寧なコミュニケーションを通じて相互理解を深め、信頼関係を築くことが不可欠です。

この記事では、外国人採用を成功させるための重要な「ポイント」の中でも、特に「求人段階におけるコミュニケーション」に焦点を当て、ミスマッチを防ぎ定着率を高めるための具体的な5つのポイントを、行政機関の情報などをもとに解説します。

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【ポイント1】期待値ギャップを防ぐ!「仕事のリアル」を伝える誠実さ

求人において、企業の魅力を伝えることは重要ですが、良い面ばかりを強調しすぎると、入社後の現実とのギャップから早期離職につながる可能性があります。大切なのは、仕事の「リアル」を誠実に伝えることです。

もちろん、給与や勤務時間、休日といった基本的な労働条件は、職業安定法に基づき、求職者に対して明示することが義務付けられています。これらに加え、仕事の具体的な内容、一日の流れ、時には業務に伴う大変さや厳しさについても、可能な限り具体的に伝えることが、入社後のギャップを防ぐ上で有効です。

例えば、現場作業の動画を見せたり、職場見学の機会を設けたりすることも、口頭説明だけでは伝わりにくい仕事の実態を理解してもらう助けとなるでしょう。

参照:厚生労働省「労働者を募集する企業の皆様へ

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【ポイント2】能力を見極める!「スキル・経験」に関する的確な質問と確認

採用後のミスマッチを防ぐためには、応募者が業務に必要なスキルや経験、日本語能力をどの程度有しているかを、求人段階で正確に把握することが重要です。

求人票には、求める日本語レベル(例:「日本語能力試験N3相当以上」など、具体的な指標を提示すると分かりやすいでしょう)、必要な資格や実務経験などを明確に記載します。その上で、面接時には、求人票で示した要件を満たしているか、具体的な質問を通じて確認しましょう。

例えば、「これまでの職務経験で、〇〇のような状況にどう対応しましたか?」といった質問は、応募者の具体的な行動や能力を把握する上で役立ちます。

ただし、採用選考にあたっては、本人の適性や能力とは関係のない事項で採否を決定しないよう、厚生労働省が示す「公正な採用選考の基本」に留意する必要があります。

参照:厚生労働省「公正な採用選考の基本

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【ポイント3】文化・習慣への配慮を示す!「相互理解」を深める姿勢

外国人応募者とのコミュニケーションにおいては、文化や習慣の違いへの配慮を示すことが、信頼関係の構築につながります。高圧的な態度や、特定の文化を否定するような言動はNGです。

面接などの場面では、応募者がリラックスして話せるような雰囲気づくりを心がけ、疑問や不安な点がないか確認しましょう。また、企業として、多様な文化を持つ従業員が共に働きやすい環境づくり(例:宗教的な配慮、多言語での情報提供など)に取り組んでいることを伝えることも、安心感を高める上で効果的です。

厚生労働省が示す「外国人雇用管理指針」においても、外国人労働者が働きやすい職場環境の整備について言及されています。

参照:厚生労働省「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針

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【ポイント4】認識のズレを防ぐ!「労働条件・待遇」の丁寧な説明

給与体系や労働時間、休日、社会保険の加入、福利厚生といった労働条件や待遇に関する情報は、応募者にとって極めて重要です。これらの情報について、認識のズレが生じないよう、書面などを活用し、丁寧かつ正確に説明することが求められます。

特に、賃金や労働時間に関する取り決めは、労働基準法などの関係法令を遵守し、誤解のないように伝えなければなりません。可能であれば、母国語に翻訳した資料を用意したり、通訳を介して説明したりするなど、応募者が正確に理解できるよう配慮することが望ましいでしょう。

厚生労働省が提供している「外国人労働者向けモデル労働条件通知書」などを参考に、必要な項目を網羅し、分かりやすく伝える工夫をしましょう。

参照:厚生労働省「確かめよう労働条件」、同省「外国人労働者向けモデル労働条件通知書について

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【ポイント5】入社後の安心感に繋げる!「サポート体制」の事前告知

見知らぬ土地で働く外国人にとって、入社後のサポート体制が整っているかどうかは、企業を選ぶ上で重要な判断材料となります。求人段階で、どのようなサポートが受けられるのかを具体的に伝えることは、応募者の不安を和らげ、入社への意欲を高めることにつながります。

例えば、入社後の研修制度、業務に関する相談窓口の設置、日本語学習の機会提供、住居探しのサポート、あるいは同じ出身国の先輩社員によるメンター制度など、企業が実施している(または予定している)サポート内容を具体的に説明しましょう。

出入国在留管理庁の「生活・就労ガイドブック」なども参考に、外国人が日本で生活し働く上で直面しやすい課題を理解し、それに対する企業の支援体制を示すことが有効です。

参照:出入国在留管理庁「外国人生活支援ポータルサイト」内「生活・就労ガイドブック

メンター制度のメリットや導入するときに注意すべき点とは? 理解を深めて有効活用しましょう!

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おわりに

外国人採用におけるミスマッチを防ぐためには、採用プロセス全体を通じた丁寧なコミュニケーションが不可欠です。特に、採用の入り口となる段階において、仕事のリアルな情報、明確な労働条件、そして寄り添う姿勢を誠実に伝えることが、信頼関係を築き、入社後の活躍へとつながる重要なポイントとなります。

今回ご紹介した5つのポイントを参考に、ぜひ自社の求人コミュニケーションを見直し、より良い外国人採用の実現を目指してください。

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