外国人材の採用が企業にとって重要な戦略となる現代において、特に「永住者」の資格を持つ外国人材は、在留期間の更新が不要であるため、安定した長期雇用が期待できます。

しかし、そのような永住者であっても日本で生活する以上、納税の義務を負うことを忘れてはなりません。納税の手続きは日本人と異なるのか、あるいは特定の在留資格であれば税金を納めなくてもよいのか、といった疑問も生じるかもしれません。

本記事では、永住権を持つ外国人が日本で納めるべき税金の種類と納税手続きのポイント、万が一滞納した場合に本人に生じるリスク、そして在留資格と納税義務の基本的な関係について、行政の情報をもとに詳しく解説します。

ガイダブルジョブス 外国人採用

外国人採用のプロに話を聞いてみる>>
Guidable Jobsのサービス概要資料のダウンロードはこちら>>

永住権を持つ外国人が日本で納めるべき主な税金と納税手続き

日本の永住権を持つ外国人は、原則として日本人と同様の納税義務を負います納税の手続きにおいても、基本的に日本人と変わりはありません。 以下に主要な税金とその手続きの概要を説明します。

所得税

所得税は、個人の所得に対して課される国税です。永住者の場合、日本国内で得た所得(国内源泉所得)だけでなく、国外で得た所得(国外源泉所得)も課税対象となる「全世界所得課税」が適用されます。これは日本人居住者と同様の扱いです。

源泉徴収・年末調整

給与所得者の場合、多くは毎月の給与から所得税が源泉徴収され、年末に企業が年末調整を行うことで納税が完了します。この手続きは、永住者である従業員も日本人従業員と全く同じです。

確定申告

給与以外の所得がある場合(例:不動産所得や一定額以上の副業による所得)、医療費控除など特定の所得控除を受けたい場合、または年収が2,000万円を超える場合などは、自身で確定申告を行う必要があります。確定申告の様式や提出方法、申告期間なども日本人と同じです。

住民税

特別徴収

給与所得者の場合、原則として勤務先の企業が毎月の給与から住民税を天引きして納付する「特別徴収」が行われます。これも、永住者である従業員も日本人従業員と同様に、企業が手続きを行います。

普通徴収

年の途中で退職した場合や、個人事業主などは、住所地の自治体から送付される納税通知書に基づき、自身で納付する「普通徴収」となります。この納付手続きも日本人と同じです。

参照:国税庁「No.1200 居住者・非居住者・永住者の区分

特定技能、技能実習の外国人の税金と年末調整の流れや重要なポイントについて

✔︎ 関連コンテンツ

外国人採用のプロに話を聞いてみる>>
Guidable Jobsのサービス概要資料のダウンロードはこちら>>

社会保険料との違いについて

税金と混同されやすいものに、健康保険料や厚生年金保険料などの社会保険料があります。これらは病気やケガ、老齢などに備えるためのものであり、税金とは目的や制度が異なります。永住者も、日本の企業に勤務する場合は原則として社会保険の加入対象となり、その手続きも日本人従業員と同様に進められます。納税義務と同様に、社会保険料の支払いも国民の義務の一つとされています。

参照:国税庁「No.1250 租税条約の概要

永住者の税金滞納が引き起こす深刻なリスクと罰則

永住権を持つ外国人が税金を滞納した場合、日本人と同様に法的な措置が取られるだけでなく、在留資格である「永住許可」にまで影響が及ぶ可能性があります。これは、採用を検討している、あるいは雇用している永住者本人の生活基盤を揺るがす重大な問題です。

延滞税・加算税の発生

納期限までに税金を納めなかった場合、法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じて延滞税が課されます。また、申告が適正でなかった場合には過少申告加算税や無申告加算税などが課されることもあります。これらのペナルティは、本来納めるべき税額に上乗せされるため、負担が増大します。

財産の差し押さえ

督促を受けてもなお納税しない場合、国税徴収法に基づき、預貯金、給与、不動産などの財産が差し押さえられる可能性があります。

永住許可の取消し

これが永住者にとって最も深刻な影響の一つです。

出入国管理及び難民認定法(以下、入管法)第22条の4第1項第6号には、「本邦に在留する期間中、公的義務(納税、公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務)を履行していないとき」は、永住許可を取り消すことができると定められています。

税金の滞納は、この「公的義務の不履行」に該当する可能性があり、悪質な場合や長期間にわたる場合は、永住許可が取り消されるリスクがあります。

将来の在留資格への影響

万が一、永住許可が取り消された場合、他の在留資格への変更も困難になることが予想されます。また、過去の納税状況は、将来的に何らかの在留資格関連の申請を行う際にも影響を与える可能性があります。

参照:出入国在留管理庁「在留資格の取消し

外国人と日本人にかかる税金の違い|どの税金に違いがあるのか、租税条約で軽減・免税ができるのか具体例を用いて解説!

✔︎ 関連コンテンツ

外国人採用の成功事例を無料でダウンロードする>>
[Guidable Jobs(ガイダブルジョブス)へのお問い合わせはこちら]

おわりに

重要なのは、日本に居住し所得を得る外国人は、その在留資格が永住者であれ他の就労資格であれ、原則として日本の税法に基づく納税義務を負うということです。「特定の在留資格だから税金が免除される」という一般的なルールは基本的に存在しません。

また、納税の手続き自体に日本人との大きな差異はありませんが、税金の滞納は、延滞税や財産差し押さえといった直接的な不利益に加え、最悪の場合には永住許可の取消しという事態を招きかねません。

永住者の方が日本で安定して生活し、活躍するためには、納税を含む公的義務をきちんと果たすことが不可欠です。

【食品製造向け】特定技能まるわかりガイドを無料ダウンロード>>
「外国人材とのコミュニケーションの課題を解決する方法」を無料ダウンロード>>

外国人の採用・受け入れでお悩みならGuidable Jobsへ

外国人材の受け入れ準備や採用活動そのものに関して、「自社の要件に合う優秀な特定技能人材をどこで見つければよいか」「採用後の複雑な諸手続きや定着支援をどのように進めるべきか」といった具体的な課題に直面されている企業様もいらっしゃると思います。

Guidable株式会社では、日本最大級の外国人向け求人媒体「Guidable Jobs」の運営を通じ、様々な業界のニーズに合致する外国人材の採用活動を支援しております。

優秀な外国人材の採用にご関心をお持ちでしたら、以下よりお気軽にお問い合わせください。

ガイダブルジョブス 外国人採用