「人手が足りない。でも、外国人採用って手続きが難しそう…」そんなふうに感じていませんか?
外国人採用と聞くと、「専門知識が必要」と思われがちです。ですが、「定住者」という在留資格を持つ方であれば、日本人を採用する感覚にかなり近い形で雇用できます。

この記事では、定住者とはどんな人なのか、永住者との違い、在留カードの見方、採用するときや在留資格更新のポイントを現場目線で整理します。

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目次

在留資格「定住者」とは?

「定住者」とは、法務大臣が特別な理由(日系人である、離婚・死別したなど)を考慮し、一定期間の滞在を認めた外国人のことです。
2025年6月末時点では、225,914人がこの資格で日本に暮らしており、在留外国人全体の5.7%を占めています。

就労ビザのように「この職種で、この業務内容ならOK」といった枠が基本的にありません。そのため、現場仕事を含め、幅広い仕事に配置しやすい点が強みです。

参考:出入国在留管理庁 令和7年6月末現在における在留外国人数について

「永住者」とはなにが違う?

定住者と永住者の違いについて考える女性のイラスト

名前は似ていますが、大きな違いは「更新が必要かどうか」という点です。採用実務の視点で見ると、違いはほぼ「期限管理が必要かどうか」に集約されます。

違いを表にまとめると、以下のとおりです。

項目定住者永住者
在留期間6か月、1年、3年、5年無制限(期限なし)
更新手続き必要不要(カードの切替のみ)
仕事の制限なしなし
取得のしやすさ事情があれば柔軟に認められやすい非常に厳しい条件がある

身分系ビザとは? 就労制限がない外国人の在留資格をわかりやすく解説

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「告示定住者」と「告示外定住者」とは?

定住者の種類は、告示定住者と告示外定住者の2種類です。どちらのタイプであっても、「仕事内容の制限がない」という点は変わりません。
採用する側から見れば、在留カードに「定住者」と記載されていれば、どちらの区分であっても日本人と同じように柔軟に働いてもらえます。

専門書などに出てくる「告示(こくじ)」とは、簡単にいえば「あらかじめ決められたリスト」のことです。なぜ区分が分かれているのか、以下の表で整理しましょう。

区分わかりやすく言うと?代表的なケース
告示定住者「あらかじめ決まっている人」国がリストアップした基準に当てはまるケースです。

  • 日系2世、3世とその配偶者
  • 国が受け入れた難民認定者 など
告示外定住者「個別の事情で認められた人」リストにはないものの、人道的な理由などで特別に認められたケースです。

  • 日本人と離婚・死別した後の定住
  • 日本人の実子を育てる親 など

「告示外」の方は、日本での生活実績や家族関係などを個別に審査されてビザを取得しています。
そのため「日本に長く住み続けたい」という意志が強く、真面目に長く働いてくれる方がおおい点も特徴の一つです。

審査で見られるのは? 身分・収入・素行の「3つの条件」

入管は「その人が日本で真面目に、自立して暮らしていけるか」を厳しくチェックしています。
とくに、次の3つが重要なポイントになります。

  1. 身分的要件(特別な事情があるか)
    日系人である、日本人と一定期間結婚していた、難民であるなど、「認められるべき背景」が前提です。
  2. 独立生計要件(生活していける収入があるか)
    生活保護などに頼らず、本人の収入や資産で安定した生活を送れる力があるかを見られます。
  3. 素行要件(真面目に暮らしているか)
    犯罪歴がないことはもちろん、税金や年金、健康保険などの公的義務をきちんと果たしているかが重視されます。

定住者を採用する企業のメリットは?

採用条件と定住者がマッチしたイラスト

定住者を採用する最大のメリットは「職種を選ばない柔軟性」「定着率の高さ」です。
複雑なルールがおおい外国人雇用のなかでも、日本人と同じ感覚で現場の戦力として迎え入れやすい、扱いやすい在留資格といえます。

メリット① 就労制限がないから「日本人と同じ」感覚で雇える

定住者は、仕事の内容に一切の制限がありません。
一般的な就労ビザ(技術・人文知識・国際業務など)では認められない現場作業や接客、単純作業も含め、日本人と同じ業務を任せることができます。

たとえば、以下のように学歴や職歴を問われず、さまざまな現場で力を発揮してもらえます。

  • 飲食店のホール・キッチン、接客業務
  • 建設現場や工場での作業、製造ラインでの軽作業
  • 介護施設での介助・清掃、ホテルのベッドメイク
  • 事務、営業、翻訳、マーケティングなどのオフィスワーク

メリット② 日本での生活基盤が安定しており、早期離職のリスクが低い

定住者は、ほかの在留資格を持つ外国人と比べて「長く働き続けてくれる」傾向があります。
多くの方がすでに日本に家族を持っていたり、日本を「住む場所」として選んでいたりと、生活の土台が安定しているためです。

  • 家族がいる:日本に家族や子どもがいるケースが多く、急な帰国や転居のリスクが低い
  • 生活に慣れている:数年、あるいは数十年日本で暮らしており、環境の変化によるストレスが少ない
  • 転職が少ない:技能習得や研修目的で来日している層より、今の場所で腰を据えて働きたい人がおおい

こうした背景から、短期的な労働力ではなく、将来のリーダー候補や長期的な戦力として迎えやすい点は、企業にとって大きな安心材料になります。

メリット③ 日本のマナーや文化の理解がはやく、即戦力として期待できる

定住者の多くは、入社後の教育にかかる負担が比較的少なく、早い段階から現場で力を発揮できます。
すでに日本での生活に慣れており、仕事の進め方や人との関わり方を体感として理解しているためです。

具体的には、次のような特徴があります。

  • 日本語力が高い:日本で育った子ども世代(日系3世、4世など)では、自然な日本語を話す方もめずらしくありません
  • 文化の壁が少ない:ゴミ出しのルールや職場でのあいさつ、時間厳守といった習慣が身についています
  • コミュニケーションが円滑:日本人スタッフやお客様とも意思疎通がしやすく、チームの流れを乱しにくいです

新しく海外から呼び寄せる場合と比べると、入社後のトレーニング時間を抑えやすく、生産性を落とさずに採用を成功させることができます。

どんな外国人が「定住者」になる? 代表的な4つのケース

顔を「?」で隠している人のイラスト

ひとことで「定住者」といっても、その背景はさまざまです。
ここでは、採用ターゲットとしてイメージしやすい代表的な4つのパターンをご紹介します。

1. 日系2世・3世とその家族(ブラジル・フィリピンなど)

定住者のなかで最も人数が多く、採用市場でのメイン層となるのが日系人の方々です。
歴史的な背景から日本人の血を引いており、その点を考慮して特別な在留資格が認められています。

特徴と背景

  • ブラジル、ペルー、フィリピンなどにルーツを持つ方がおおい
  • 日系3世やその配偶者、未成年の子どもなどが対象
  • 日本での就労実績が長く、現場仕事に慣れている方が多い

採用のメリット

親類が日本に住んでいるケースがおおく、生活基盤が非常に安定しています。
そのため、ひとつの職場で長く腰を据えて働いてくれる傾向があります。

2. 配偶者と離婚・死別後も日本に残る方

「日本での生活実績」が重視され、定住者として認められた、日本に深く根ざした方々です。
以前は「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」の在留資格で暮らしており、事情により切り替えたケースにあたります。

特徴と背景

  • 配偶者と離婚、または死別したあとも、日本での生活を希望している
  • 日本人の実子を親権者として育てている、または扶養している場合がおおい
  • すでに数年から数十年日本に住んでおり、日本語でのやり取りに不安が少ない

採用のメリット

子どもの学校行事や生活のために、安定した収入を求めている方がおおい傾向にあります。
その分、仕事に対して真面目で、責任感を持って取り組む方が多い点が特徴です。

3. 日本で教育を受け、高校を卒業した外国人の子

見た目は外国人でも、中身は日本人に近いと感じられるほど、言葉や文化の壁が少ない若年層です。
親の仕事の関係で幼少期に来日し、日本の学校を卒業した方々が対象になります。

特徴と背景

  • 父母に同伴して「家族滞在」で入国し、日本の小学校・中学校・高校を卒業
  • 母国語より日本語のほうが得意というケースもめずらしくない
  • 日本の価値観を十分に理解しており、教育コストがほとんどかからない

採用のメリット

高い日本語力と若さが大きな強みです。
現場のリーダー候補や、顧客対応が必要な業務でも即戦力として期待しやすい、有望な層といえます。

4. 人道的な理由で「難民認定」を受けた方

日本政府が正式に「保護すべき」と認めた方々です。
国が認めた定住者であるため、日本人と同じようにあらゆる業務を任せることができ、信頼性の高い人材といえます。

特徴と背景

  • 母国での紛争や迫害などにより帰国できず、日本政府から難民として認定されている
  • 日本で安心して暮らす権利を得ており、日本に長く住むことを強く希望している

採用のメリット

日本を安住の地として選んでいるため、生活のために一生懸命働く、真面目で勤勉な方がおおい傾向にあります。
母国へ帰るリスクが低く、一度採用すれば長く会社に貢献してくれます。

【要注意】「定住者(難民)」と「難民申請中」のちがい

「定住者」と書かれた難民の方は制限なく雇えます。
しかし、現在「難民申請中」の方は就労に厳しい制限があるケースがおおく、注意が必要です。
同じ「難民」という言葉が使われていても、在留資格が異なれば、企業が負う不法就労のリスクは大きく変わります。

採用担当者が押さえておきたい違いを、以下の表にまとめました。

比較項目定住者(難民認定済み)難民申請中
ステータス国が難民として正式に認めた人現在、難民かどうか審査中の人
就労の制限なし(日本人と同じ)原則として制限あり
在留カードの表記在留資格「定住者」在留資格「特定活動(難民申請中)」
雇用の安定性高い不透明(不許可の場合は帰国が必要)

人事担当者のチェックポイント

面接に来た方が「難民です」と話した場合は、必ず在留カードの「在留資格」欄を確認してください。
そこに「定住者」と記載されていれば、心配せずに採用手続きを進められます。

一方で「特定活動」と書かれている場合は、現在審査中であることを意味します。
そのときはカード裏面もしくは指定書を確認し、資格外活動許可の有無を細かくチェックする必要があります。

定住者を採用するときのチェックポイント

チェックリストに書き込む男性のイラスト

定住者の採用で企業が確認すべきポイントは、「在留カードのチェック」「期限の管理」の2点です。
外国人雇用と聞くと、役所への複雑な届け出を思い浮かべがちですが、定住者の場合、日本人を採用するときの手続きとほとんど変わりません。

不法就労という大きなリスクを避けるためにも、以下のチェックリストを活用しましょう。

在留カードの「表面」で3つの項目を確認

在留カードは、外国人の身分証明書です。
カードの表面を見るだけで、その人が自社で働けるかどうかを判断できます。

次の3点を確認してください。

  1. 在留資格:「定住者」と記載されていること
  2. 就労制限の有無:「就労制限なし」と記載されていること
  3. 在留期間(満了日):期限内であること

ビザ更新のスケジュール管理

定住者の雇用で、企業側がとくに注意したいのはビザの期限切れです。
本人が手続きを忘れ、1日でも期限を過ぎてしまうと、その時点で働かせることができなくなり会社も不法就労助長罪に問われるおそれがあります。

これを防ぐため、次のような体制を整えておきましょう。

  • コピーの保管:採用時に在留カードの表・裏両面をコピーし、社内で期限を管理
  • 3か月前アラート:カレンダーに登録し、本人に更新の準備状況を確認
  • 更新後の確認:新しいカードが発行されたら、必ず再度コピーを取り、期限を更新

定住者ビザの必要書類は、基本的に本人が用意します。
しかし、会社側が在職証明書や給与明細などを発行することで、更新手続きがスムーズになることもあります。
「会社も協力する」という姿勢を示すことは、従業員との信頼関係を築くうえでも支えになるかもしれません。

よくある質問【FAQ】

Q. 単純労働(現場作業)をさせても本当に大丈夫ですか?

A. はい、問題ありません。

定住者は日本人と同様に就労制限がなく、製造ラインや建設現場、清掃といった業務も任せられます。
一般的な就労ビザのように、大学の専攻と仕事内容を一致させる必要もありません。

Q. アルバイトとして雇うこともできますか?

A. 可能です。

正社員に限らず、派遣社員やアルバイトなど、柔軟な雇用形態を選べます。
留学生のような週28時間以内といった制約もないため、シフト調整がしやすい点も特徴です。

Q. ビザの期限が切れたら会社が責任を問われますか?

A. 期限切れの状態で働かせ続けると、会社側も不法就労助長罪に問われる可能性があります。

故意でなくても重いペナルティを受けるおそれがあるため、期限管理は会社として欠かせません。
在留カードのコピーを保管し、3か月前から本人に更新を促す体制を整えておきましょう。

Q. 途中で離婚したり、事情が変わったりしたら、すぐに辞めてもらう必要がありますか?

A. いいえ、すぐに資格を失うわけではありません。

離婚や死別は次回の更新審査に影響しますが、現在の在留期間内であれば、そのまま働き続けることができます。
状況が変わったときは、専門家や行政書士に相談し、ほかの在留資格への切り替えが必要か確認することをおすすめします。

さいごに

外国人採用は、ビザの種類や手続きが多く、ハードルが高いと感じることもあるかもしれません。
ですが「定住者」の方は、日本人とほぼ同じ感覚で、柔軟に、そして長く活躍してくれる存在です。

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「定住者」のように制限なく働ける方だけでなく、雇用の選択肢を広げて検討し始めたとき、まず立ちはだかるのが在留資格の複雑さです。
どのビザで、どこまで働いてもらえるのか。判断に迷う場面も少なくありません。

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