世界的に見て、多くの国々が高齢化社会に直面しています。医療の進歩や生活水準の向上により、人々の寿命が延びる一方で、出生率が低下し、若年層の人口が減少しているためです。

特に日本は、世界で最も急速に高齢化が進んでいる国の一つです。高齢者が増加し、働き手となる若者が減少することで、労働力人口の不足が深刻な問題となっています。この労働力の減少は、経済全体に大きな影響を及ぼし、特にサービス業や製造業、医療・介護分野で顕著です。

本記事では、まず「高齢化社会」と「超高齢化社会」という用語を解説し、その後、日本がどのように高齢化社会から超高齢化社会へと移行してきたのか、そして世界的な高齢化の現状について説明します。さらに、日本や他国が直面している人手不足の状況を踏まえ、外国人労働者の採用がどのようにこの問題を解決する一助となるかを考察していきます。

高齢化社会と超高齢化社会の定義

高齢化社会

「高齢化社会」とは、総人口に占める65歳以上の人口の割合が7%以上の社会を指します。日本は1970年に高齢化社会に突入し、少子高齢化の進行に伴い、高齢者の割合は年々増加しました。そして、次の段階である「高齢社会」は、65歳以上の人口が14%を超えると到達します。日本は1994年にこの高齢社会へと移行しました。

超高齢化社会

さらに「超高齢化社会」とは、65歳以上の人口が総人口の21%以上を占める社会を指し、2007年、日本はこの超高齢化社会に突入しました。現在、日本では65歳以上の高齢者が総人口の約30%を占めており、超高齢化社会の中でも特に進んだ段階にあります。この状況は、他国と比べても際立っており、今後も続くことが予想されています。

日本の高齢化社会から超高齢化社会へのシフト

日本は、戦後の急速な経済成長と同時に、少子高齢化が進行してきました。1950年代から1970年代にかけてのベビーブーム世代が高齢化し始めると共に、出生率が急激に低下し、人口構成に大きな変化が生じました。

特に、1970年代以降の「一人っ子政策」のような要因や、都市化による家族構成の変化が、出生率の低下を加速させました。

この結果、日本は高齢化社会から超高齢化社会へと短期間で移行し、現在では65歳以上の高齢者が約3600万人に達しています。さらに、2040年にはこの割合が約35%に達するとも予測されており、日本社会全体で高齢者のケアや医療の需要が一層増加することが予想されます。これに対し、労働力の減少が進む中で、持続可能な社会の維持が課題となっています。

少子高齢化時代のメリット・デメリットとは? 労働力不足を外国人採用で乗り越えましょう!

世界的な高齢化の状況

65歳以上の人口が多い国TOP3

国名65歳以上人口比率
モナコ35.79%
日本30.07%
イタリア24.46%

15歳未満の人口が多い国TOP3

国名15歳未満人口比率
ニジェール48.76%
中央アフリカ47.84%
チャド47.35%

(参考:GLOBAL NOTE

日本だけでなく、世界全体でも高齢化は進行しています。特にヨーロッパ諸国やアジアの一部でも高齢化が著しく、国連の推計によれば、2050年には世界の高齢者人口が21億人を超えると予測されています。これは、世界の総人口の約22%を占める数字であり、多くの国々で高齢化に伴う課題が顕在化しています。

例えば、イタリアやドイツなどのヨーロッパ諸国では、すでに高齢化が進み、若年層の労働者不足が深刻な問題となっています。また、韓国や中国などのアジア諸国も同様に急速に高齢化しており、日本同様に出生率の低下が大きな課題となっています。

このように、世界各国が高齢化社会に直面しており、今後も労働力の確保が大きな問題となることは間違いありません。

日本における人手不足の現状

日本では、高齢化による労働力の減少が深刻化しており、特に次の業界で人手不足が顕著です。

介護・医療業界

高齢化に伴い、介護や医療の需要が増加していますが、若年層の労働者が不足しており、深刻な人手不足に直面しています。介護施設では、スタッフ不足により十分なサービスが提供できないケースも見られます。

製造業・建設業

これらの業界でも、体力を要する仕事が多いため、若年層の労働者が集まりにくい状況です。多くの企業が技能実習生制度を利用して外国人労働者を採用していますが、それでも不足しています。

サービス業

飲食店や小売業などのサービス業でも、労働条件の厳しさや賃金の低さが原因で人材不足が問題となっています。特に地方では、賃金が都市部と比べて低いため、より深刻です。

外国人採用の重要性

 

このような状況を打開するために、外国人労働者の採用が重要視されています。日本政府は、労働力不足を補うために、外国人の受け入れを積極的に進めています。2019年には新たな在留資格「特定技能」が導入され、一定の技能を持つ外国人労働者がより多く日本で働けるようになりました。

外国人採用のメリット

労働力の確保

外国人労働者は、日本の労働力不足を補う貴重な存在です。特に、若年層の労働者が不足している業界では、外国人の若い労働者が即戦力として活躍しています。

多様性の促進

外国人労働者を採用することで、職場に多様な文化や視点がもたらされ、イノベーションが生まれやすくなります。また、外国語を話せる労働者がいることで、国際的なビジネス展開や外国人観光客への対応がスムーズに行えるという利点もあります。

持続可能な成長

日本国内だけで労働力を賄うことが困難な中、外国人労働者を活用することで、経済の持続可能な成長が期待できます。特に、介護や医療、サービス業では、外国人労働者が今後ますます重要な役割を果たすと考えられます。

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外国人労働者を迎えるための準備

外国人労働者を採用するためには、企業側の受け入れ体制も整える必要があります。言語や文化の違いを理解し、外国人が働きやすい環境を整えることが重要です。具体的には、以下のような取り組みが考えられます。

言語サポート

日本語に不慣れな外国人労働者に対しては、優しい日本語や多言語対応のマニュアルを用意することが有効です。

研修制度の充実

外国人労働者が業務に早く慣れるよう、適切な研修やトレーニングプログラムを整備することが重要です。

生活サポート

外国人労働者が日本で生活する上でのサポート(住居の手配、行政手続きの支援など)も企業側で提供することで、長期的な定着が期待できます。

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おわりに

世界的な高齢化は日本においても深刻な課題であり、特に労働力不足が顕在化しています。日本が超高齢化社会に突入している中、国内の労働力だけでこの問題を解決するのは困難です。外国人労働者の採用は、日本の労働力不足を補うための現実的な解決策であり、企業にとっても多様な人材を活用することで成長が期待できます。

今後、ますます外国人採用が重要な選択肢となるでしょう。企業は積極的に外国人労働者を受け入れる体制を整え、労働市場の変化に対応していくことが求められます。