多くの企業は、人手不足を解決するために、優秀な外国人労働者を採用しようとしています。しかし、その過程で「外国人労働者の家族」のことを忘れがちです。
家族が日本で安心して暮らせる環境が整えば、労働者も長く安定して働くことができます。

この記事では、「家族滞在」という在留資格について詳しく説明します。
外国人労働者を雇おうとしている企業の方は、ぜひ一度読んでみてください。

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在留資格「家族滞在」ってなに?

「家族滞在」とは、特定の在留資格を持っている外国人が、その配偶者や未成年の子供を日本に呼ぶための制度です。

この制度を使うと、外国人労働者は家族と一緒に暮らせるので、プライベートも大切にしながら安心して日本で働けます。
企業にとっては、家族を呼び寄せることで外国人労働者が家庭の事情で辞めるリスクを減らし、長く働き続けてもらえるというメリットがあります。
外国人労働者の家族を大切にすることで、彼らのモチベーションを保つこともできます。

身分系ビザとの違いは?

「家族滞在」と「身分系ビザ」は、どちらも家族に関係する在留資格ですが、それぞれの目的や条件にははっきりとした違いがあります。

まず、「家族滞在」は、おもに家族を支えるための資格で、働くことは基本的に認められていません。また、もし扶養者(家族を支えている人)が日本に住んでいる資格を失った場合、この資格も一緒に失われます。
一方、「身分系ビザ」は、永住者やその配偶者、定住者などが持っている資格で、他の人の在留資格に頼ることなく日本で長期間生活することができます。このビザを持っていれば、働くことに制限がなく、どんな仕事にも就くことができます。

「身分系」の在留資格 全4種類|就労系との違い、採用するメリットについて詳しく解説

家族滞在の外国人を雇用してもいいの?

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結論を先に言うと、家族滞在の外国人を雇うことはできますが、いくつかの条件があります。

本来、「家族滞在」は働くための在留資格ではありません。ただし、「資格外活動許可」を取得すれば、週28時間以内で働くことが可能になります。これは、パートタイムやアルバイトといった働き方を想定したものです。
もしもフルタイムで働いたり、28時間以上の就労を希望する場合は、在留資格の変更が必要です。

アルバイトで採用できる在留資格は? 資格外活動許可が必要な資格はある?

どんな人が家族滞在ビザを取得できるの?

家族滞在ビザの取得条件をわかりやすくまとめたイラスト

家族滞在ビザを取れるのは、以下の18種類の在留資格を持つ外国人に扶養される「配偶者」「子ども」です。養子や認知されている子どもも含まれます。

【対象となる扶養者の在留資格】

教授、芸術、宗教、報道、高度専門職、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、興行、技能、特定技能2号、文化活動、留学

ただし、親や兄弟を扶養していたとしても、「配偶者」と「子ども」以外の家族は家族滞在ビザの対象にはなりません。

ここからは、さらに詳しく取得要件を見ていきましょう。

① 扶養者との家族関係を証明できる

家族滞在ビザを取るためには、扶養者との関係が法律上で結婚しているか、親子関係にあることを証明する必要があります。

証明する方法としては、以下の書類を提出することが求められます。国によって名前が違うことがありますが、次のいずれかで証明できます。

  • 戸籍謄本
  • 婚姻届受理証明書
  • 結婚証明書
  • 出生証明書

また、書類が外国語で書かれている場合は、日本語訳も一緒に提出する必要があります。

② 扶養者の仕事と収入を証明できる

扶養者の職業収入も証明する必要があります。これには、次のような書類を提出することが求められます。

  • 在職証明書
  • 営業許可書
  • 住民税の課税証明書や納税証明書

もし扶養者が文化活動や留学など、就労ビザ以外の在留資格を持っている場合は、生活費があることを証明するために、以下の書類を提出する必要があります。

  • 扶養者名義の預金残高証明書
  • 奨学金給付に関する証明書(給付金額や期間が書かれたもの) など

③ 日本に滞在する目的が働くことではない

家族滞在ビザの外国人には、扶養される配偶者や子どもとして、日常的な活動を行うことが認められています。
日常的な活動には、たとえば「家事をすること」や「小・中学校に通うこと」などが含まれますが、「働いてお金を稼ぐこと」は含まれません。

そのため、日本で働くことを目的に家族滞在ビザを申請すると、基本的には許可されません。

 参考:出入国在留管理庁 在留資格「家族滞在」

例外

「特定技能1号」の人は、配偶者や子どもを「家族滞在」のビザで日本に呼ぶことはできません。
しかし、もしその人がもともと就労ビザや留学ビザなどで日本に滞在していて、「特定技能1号」にビザを変更した場合、すでにその人の扶養を受けていた家族は「特定活動」のビザに変更することで日本に住み続けることができます。
この場合、扶養される家族も、扶養者がビザを変更するタイミングで「特定活動」へのビザ変更の申請をしなければなりません。

参考:出入国在留管理庁 特定技能への移行を希望する留学生の皆様へ

家族滞在の外国人を雇う時に気をつけたいこと

家族滞在の外国人を雇う時に気をつけたいことをわかりやすくまとめたイラスト

ここからは、実際に雇用を検討している企業の方が覚えておくべきポイントを紹介します。

在留カードを確認する

まずは、在留カードの裏面を見て、「資格外活動が許可されているか」を確認してください。資格外活動の許可があれば、雇用することができます。
また、家族滞在ビザの在留期間は、扶養している人の在留期間に合わせて決まります。最長で5年間ですが、在留カードに書かれている期間がまだ有効かどうかを必ず確認しましょう。
もし扶養している人の在留期間が終わると、家族滞在ビザもその時点で使えなくなります。

「包括許可」を取得しているか確認する

包括許可は、「1週間に28時間以内で働くこと」「風俗営業でないこと」を条件に、働く場所や仕事内容を指定せずに働ける許可のことです。
資格外活動で働く外国人の多くが、この包括許可を持っています。

包括許可があるかどうかを確認するには、在留カードの裏面を見てください。そこに「許可(原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く)」と書かれていれば、包括許可を受けていることになります。

 「個別許可」を取得しているか確認する

個別許可は、具体的な職場や仕事内容を指定して許可を受ける資格外活動のことです。
たとえば、個人事業主として働いたり、業務委託で仕事をする場合など、就労時間の管理が難しいときに必要な許可です。
ただし、この許可では、スーパーのレジや工場の作業など「単純労働」は認められません。また、新しい仕事を始めるときには、再度申請が必要になります。

個別許可があるかどうかは、在留カードではなく「資格外活動許可書」という書類で確認します。
もし在留カードの裏面に「許可(資格外活動許可書に記載された範囲内の活動)」と書かれていれば、個別許可を受けていることを意味します。

参考:出入国在留管理庁 「家族滞在」の在留資格に係る資格外活動許可について

フルタイムで働くにはビザの切り替えが必要

もし、家族滞在ビザを持っている人をフルタイムで働かせたい場合、その人のビザを「家族滞在」から就労ビザに変更しなければなりません。しかし、就労ビザにはいくつか種類があり、それぞれ条件が違うので、注意が必要です。
たとえば、「技術・人文知識・国際業務」のビザでは、求められる学歴や職務内容が決まっています。一方、「特定技能」のビザでは、技能試験や日本語能力試験に合格する必要があります。また、希望する仕事がそのビザの条件に合っているかも確認しなければなりません。

さいごに

家族滞在は、外国人労働者とその家族が日本で安心して生活できるようにサポートする制度です。この制度を使えば、家族滞在の外国人をアルバイトなどで雇うことができ、日本の人手不足や働き方を改善する手助けにもなります。
就労には時間の制限がありますが、単純な仕事もできるので、企業にとってはメリットの大きい資格です。

ぜひ、この制度を活用して、外国人社員や企業の成長をサポートしてみてください。

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