日本の社会構造の変化に伴い、多くの産業で人手不足が課題となっています。特に、私たちの生活に不可欠なサービスを提供するコンビニエンスストアやスーパーマーケットといった小売業界では、その影響が深刻化しており、安定的な店舗運営すら危ぶまれるケースも散見されます。

本記事では、日本の人手不足の現状をデータにもとづいて分析し、続いてコンビニエンスストアとスーパーマーケットが直面している店舗数の変化や人手不足の具体的な影響について解説します。

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日本の人手不足の現状:データで見る労働力不足の実態

日本全体で人手不足が叫ばれて久しいですが、その実態は各種データにも明確に表れています。

厚生労働省が発表する「一般職業紹介状況」によると、企業の求人数を示す有効求人数は高水準で推移しており、求職者一人あたりに何件の求人があるかを示す有効求人倍率は、多くの月で1倍を超えています。

例えば、2024年度平均の有効求人倍率は1.28倍となり、依然として企業側の採用意欲が高い一方で、求職者が見つかりにくい状況が続いています。

また、総務省統計局の「労働力調査」によれば、日本の生産年齢人口(15~64歳)は長期的に減少傾向にあります。2024年4月分の結果では、15~64歳の労働力人口は前年同月に比べても減少しており、将来的な労働力の先細りが懸念されます。

このようなマクロな労働市場の需給ひっ迫は、特に労働集約型である小売業界にとって大きな打撃となっています。中小企業庁の調査においても、多くの小売業者が人手不足を経営上の大きな課題としてあげており、その深刻さがうかがえます。

これらのデータは、日本全体として働き手の確保が困難になっており、企業は従来の採用戦略だけでは立ち行かなくなる可能性を示唆しています。

参照:厚生労働省「一般職業紹介状況」、総務省統計局「労働力調査(基本集計)」、中小企業庁「中小企業白書

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コンビニ・スーパーの現状:店舗数の変化と人手不足の影響

生活に密着した社会インフラであるコンビニエンスストアとスーパーマーケットは、人手不足の波にどのように直面しているのでしょうか。店舗数の変化と、それによって顕在化している影響を見ていきましょう。

コンビニエンスストア

日本フランチャイズチェーン協会(JFA)の統計によると、コンビニエンスストアの店舗数は長らく増加傾向にありましたが、近年はその伸びが鈍化し、一部では飽和状態も指摘されています。

例えば、JFAの「コンビニエンスストア統計調査月報」によると、2023年度末の店舗数は約5万5千店台で推移しており、前年度と比較して微減または横ばいの傾向が見られます。

店舗数の飽和感に加え、深刻なのは人手不足による店舗運営への支障です。24時間営業の維持が困難になり、深夜帯の営業時間を短縮したり、元日休業を試行したりする動きが一部で見られます。

また、従業員一人当たりの業務負荷が増加し、きめ細やかなサービスの提供が難しくなる、あるいは、新商品の導入や清掃といった日常業務に支障をきたすといった声も聞かれます。これは、顧客満足度の低下や、ひいては売上機会の損失に繋がりかねない問題です。

スーパーマーケット

一方、スーパーマーケットの店舗数については、日本スーパーマーケット協会、オール日本スーパーマーケット協会、全国スーパーマーケット協会の3団体が合同で発表している「スーパーマーケット販売統計調査」によると、総店舗数は緩やかな増加傾向、あるいは横ばいで推移しています。

しかし、コンビニエンスストア同様、スーパーマーケットも人手不足の影響を免れてはいません。特にレジ打ち、品出し、総菜調理といった部門での人員確保が難しくなっています。

これにより、レジには長蛇の列ができ、顧客の待ち時間が増加する、商品の補充が追いつかず欠品が目立つ、夕方のピークタイムに総菜の種類が十分に揃えられない、といった問題が発生しています。

これらの問題は、顧客の店舗選択に影響を与える可能性があり、競争激化の中で看過できない課題です。

参照:日本フランチャイズチェーン協会「コンビニエンスストア統計調査」、日本スーパーマーケット協会・オール日本スーパーマーケット協会・全国スーパーマーケット協会「スーパーマーケット販売統計調査

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なぜコンビニ・スーパーで人手不足が深刻なのか?

コンビニエンスストアやスーパーマーケットで人手不足が特に深刻化している背景には、いくつかの複合的な要因が考えられます。採用担当者の皆様がこれらの背景を理解することは、より効果的な採用戦略を立案する上で不可欠です。

まず、業務の特性があげられます。コンビニエンスストアでは24時間営業が基本であり、深夜や早朝のシフトに対応できる人材の確保が常に課題です。スーパーマーケットにおいても、早朝からの品出しや閉店間際までの勤務があり、長時間の立ち仕事や重量物の運搬など、体力的な負担が大きい業務も少なくありません。

これらの業務特性は、一部の求職者にとっては敬遠される要因となり得ます。

次に、採用ターゲット層の変化も影響しています。かつては学生アルバイトや主婦層が主な担い手でしたが、少子化による学生数の減少や、女性の就業形態の多様化により、従来のターゲット層からの人材供給が細っています。

また、若年層を中心に、より柔軟な働き方やキャリアアップに繋がる職務を求める傾向が強まっており、小売業の現場業務が必ずしも魅力的に映らないケースもあります。

さらに、採用競争の激化も無視できません。他の産業でも人手不足が進行しており、限られた労働力を奪い合う状況が生じています。特に、より待遇の良い条件や働きやすい環境を提示する企業に人材が流れる傾向があり、賃金水準の引き上げが難しい中小規模の小売事業者にとっては厳しい状況が続いています。

これらの要因が絡み合い、コンビニエンスストアやスーパーマーケットにおける人手不足を深刻なものにしているのです。

コンビニ・スーパーが今すぐ取り組むべき外国人採用

深刻化する人手不足に対し、有効な打開策の一つとして注目されているのが外国人材の採用です。これまで見てきたコンビニエンスストアやスーパーマーケット特有の課題に対しても、外国人採用は多くのメリットをもたらす可能性があります。

第一に、労働力の確保という直接的な効果が期待できます。国内の労働力人口が減少する中で、働く意欲のある外国人材は貴重な戦力となり得ます。特に、これまで人材確保が難しかった時間帯のシフトや、体力が必要な業務においても、新たな担い手となる可能性を秘めています。

第二に、多様な視点やスキルの導入です。異なる文化背景を持つ人材が加わることで、職場に新しい発想や活気が生まれることがあります。

また、特定の言語能力を持つ人材がいれば、増加する外国人観光客への対応力向上(インバウンド対応)にも繋がり、新たな顧客層の獲得や満足度向上に貢献するでしょう。これは、特に観光地に近い店舗や、外国人居住者が多い地域で大きな強みとなります。

実際に、すでに多くのコンビニエンスストアやスーパーマーケットで外国人従業員が活躍しており、店舗運営に不可欠な存在となっています。彼らの真摯な勤務態度は、他の従業員にとっても良い刺激となるという声も聞かれます。

もちろん、外国人採用には留意すべき点もあります。

例えば、言語や文化の違いによるコミュニケーションの壁、在留資格の種類と就労範囲の確認、生活面でのサポート体制の構築などです。これらの課題に事前に備え、適切な受け入れ体制を整えることが、外国人従業員が安心して能力を発揮し、定着するための鍵となります。

具体的には、業務マニュアルの多言語化や図示化、社内コミュニケーションツールの工夫、あるいは地域社会との連携による生活支援などが考えられます。

これらの準備には相応の労力が必要となりますが、それを補って余りあるメリットが外国人採用にはあると言えるでしょう。

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おわりに

労働力不足は今後も継続する可能性が高く、従来の採用戦略だけでは限界があることは明らかです。

このような状況下において、外国人採用は、単なる人手不足の穴埋めという短期的な視点だけでなく、企業の持続的な成長と競争力強化のための未来を見据えた人材戦略として捉えるべきです。

多様なバックグラウンドを持つ人材が活躍できる環境を整備することは、企業のダイバーシティを推進し、イノベーションを生み出す土壌を育むことにも繋がります。

もちろん、外国人採用には、言語や文化、制度の違いといった乗り越えるべきハードルも存在します。しかし、それらを理解し、適切なサポート体制を構築することで、企業と外国人従業員の双方にとって実りある関係を築くことが可能です。

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