特定技能の運転免許|知るか知らないかでコストが30万円変わる話

特定技能制度の活用が進む中、建設、運輸、製造業といった分野では、特定技能外国人に自動車の運転を任せたいと考える企業が増えています。
しかし、外国人が日本で運転するためには、特有の手続きと注意点が存在します。これらを理解せず進めてしまうと、コンプライアンス上の問題や、業務開始の遅延につながるおそれがあります。
本記事では、特定技能外国人が日本で運転免許を取得するための具体的な方法と、企業が実施すべきサポート内容について、行政機関の公式情報に基づき網羅的に解説します。
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特定技能外国人が日本で運転するための基本ルール
結論から申し上げると、特定技能外国人は日本の運転免許証を取得すれば、日本で運転することが可能です。
ここで注意が必要なのは、「国際運転免許証」の扱いです。ジュネーブ条約に基づいて発行された国際運転免許証を所持していても、それだけで中長期的に運転し続けることはできません。
その理由は主に2つあります。
- 有効期間の問題:国際運転免許証で運転できる期間は「日本に上陸した日から1年間」と定められています。
- 再入国時の制限:日本の住民基本台帳に登録されている方が日本から出国し、3ヶ月未満の滞在で再入国した場合、その再入国日以降は国際運転免許証での運転が認められません。特定技能外国人はこの規定の対象となります。
したがって、中長期の就労を前提とする特定技能外国人には、日本の運転免許証の取得が必須となります。(参照:国外運転免許証取得手続(本人による申請) 警視庁)
日本の運転免許を取得する2つの方法
日本の運転免許証を取得するには、大きく分けて以下の2つの方法があります。
- 外国の運転免許証を日本の免許証に切り替える(外免切替)
- 日本で新たに運転免許証を取得する
企業の状況や本人の経歴によって最適な方法は異なります。それぞれの特徴を理解し、計画的に準備を進めることが重要です。
方法1:外国免許からの切替(外免切替)
「外免切替」は、費用と時間を大幅に節約できる可能性があるため、第一に検討すべき方法です。しかし、手続きが複雑なため、企業のサポートが成功の鍵を握ります。
企業のサポートが成功の鍵
外国人本人だけでは手続きが困難な場合が多いため、企業が主体的に関与することで、申請が円滑に進みます。
【チェックリスト】企業ができるサポート内容
□ 必要書類の案内と不備がないかの確認
申請書、写真、住民票の写し、健康保険証など、必要書類をリスト化して本人に伝え、不備がないか事前に確認します。
□ 免許証翻訳文の取得サポート
外国の免許証は、JAF(日本自動車連盟)などが発行する日本語の翻訳文が必須です。申請方法を案内したり、企業が代行したりするサポートが考えられます。
□ 運転免許センターへの事前予約
多くの免許センターでは外免切替は予約制です。担当者が電話などで予約を取ることで、スムーズに申請日を迎えられます。
□ 申請日当日の同行と通訳サポート
窓口でのやり取りや職員からの質問はすべて日本語です。通訳を交えて正確に受け答えをするためにも、当日の同行は非常に重要です。
必ず確認すべき2つの重要注意点
外免切替には、申請が受理されないリスクもあります。特に以下の2点は、事前に必ず確認してください。
1.免許取得後の「3ヶ月ルール」 外免切替の最重要条件として、「外国免許を取得した後、その国に通算して3ヶ月以上滞在していたこと」を証明する必要があります。これがパスポートの出入国スタンプなどで証明できないと、申請は受理されません。
- トラブル事例: 免許取得後、すぐに来日の準備に入ったため、母国での滞在期間が3ヶ月に満たず、切替ができなかった。
2.「知識・技能の確認」の有無 特定の国・地域(※)の免許証を除き、日本の交通ルールに関する「知識の確認(筆記試験)」と、コース内を走行する「技能の確認(実技試験)」が課されます。特に技能の確認は、日本の安全確認基準に慣れていないと、何度も不合格になるケースがあります。
- トラブル事例: 母国での運転経験は豊富だったが、日本の安全確認(ウインカー、目視など)の基準を満たせず、技能確認に想定以上の時間と費用がかかった。
(※)知識・技能の確認が免除される国・地域は、アイスランド、アイルランド、イギリス、イタリア、オーストリア、オーストラリア、オランダ、カナダ、韓国、ギリシャ、スイス、スウェーデン、スペイン、スロベニア、チェコ、デンマーク、ドイツ、ニュージーランド、ノルウェー、ハンガリー、フィンランド、フランス、ベルギー、ポーランド、ポルトガル、モナコ、ルクセンブルク、台湾の28カ国・地域です。(2025年6月時点)
(参照:外国で取得した運転免許証を日本の運転免許証に切り替えるには 警視庁、運転免許証の翻訳文 | JAF)
方法2:日本での新規取得
外免切替の条件を満たせない場合や、本人が運転免許を持っていない場合は、日本人と同様に日本で新たに免許を取得します。
最も一般的なのは、指定自動車教習所に通う方法です。
期間: スムーズに進めば、2ヶ月〜3ヶ月程度が目安です。
費用: 地域や教習所により異なりますが、普通自動車免許で30万円前後が相場です。
費用が高額になるため、企業が費用を負担(または一部補助・貸付)する場合は、対象者の条件や勤続年数の規定などを事前に整備しておくことが望ましいでしょう。
まとめ:計画的なサポートで、特定技能人材の活躍を促進
特定技能外国人の運転免許取得は、適切な知識と計画的な準備があれば、決して不可能なことではありません。
「外免切替が可能か、条件を満たしているか」をまず確認し、難しい場合は新規取得を検討するという流れが基本となります。どちらの方法を選択するにせよ、手続きの煩雑さや言語の壁を乗り越えるためには、採用担当者による主体的なサポートが不可欠です。
運転免許の取得は、外国人材の活躍の場を大きく広げ、移動の利便性向上による定着促進にもつながります。本記事が、貴社の外国人採用活動の一助となれば幸いです。
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