外国人材の採用が一般的になる現代において、コンプライアンスの遵守は企業の信頼性を左右する重要な経営課題です。特に、採用担当者が必ず理解しておくべき法律が「入管法(出入国管理及び難民認定法)」および、その具体的なルールを定めた「入管法施行規則」です。

本記事では、外国人採用に初めて携わる方や、改めて知識を整理したい採用担当者の方へ向けて、入管法と施行規則の基本、そして実務で押さえるべきポイントを、公式情報に基づいてわかりやすく解説します。

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外国人採用で「知らなかった」では済まされないコンプライアンスの重要性

厚生労働省の発表によると、日本で働く外国人労働者数は年々増加しており、令和5年10月末時点で約205万人と、過去最高を更新しました。(参照:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和5年10月末時点)|厚生労働省

多くの企業にとって外国人材が不可欠な存在となる一方で、採用ルールを正しく理解しないまま雇用してしまうと、企業は「不法就労助長罪」などの重い責任を問われる可能性があります。「知らなかった」では済まされないのが、法律の厳しさです。 安定した企業経営と、外国人材が安心して働ける環境づくりのためにも、採用担当者は法律の知識を正しく身につける必要があります。

【採用の前提知識】そもそも「入管法」とは?

入管法とは、「出入国管理及び難民認定法」の略称です。 この法律は、日本に入国し、または日本から出国するすべての人の公正な管理を行うとともに、難民の認定手続きを整備することを目的としています。簡単に言えば、「すべての外国人が、日本へ入国し、滞在するためのルールを定めた基本の法律」です。(参照:「出入国管理及び難民認定法」)

採用担当者が入管法を理解すべき最大の理由は、意図せず不法就労に加担してしまうリスクを避けるためです。入管法では、在留資格によって日本で行える活動の範囲(仕事内容や時間など)が厳密に定められています。企業がその範囲を超えて外国人を働かせたり、就労が許可されていない外国人を雇用したりすると、「不法就労助長罪」(入管法第73条の2)に問われる可能性があります。

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「入管法施行規則」とは?入管法との違いを解説

入管法が「骨格」となる法律であるのに対し、入管法施行規則は、その法律を運用するための具体的な手続きや書類の様式などを細かく定めたルールです。法務省令として定められています。(参照:「出入国管理及び難民認定法施行規則」)

例えるなら、以下のような関係です。

入管法(法律): 「在留資格の変更には、法務大臣の許可が必要です」という大枠のルールを定める。

入管法施行規則(ルール詳細): 「その許可申請には、この様式の申請書と、これらの添付書類が必要です」という実務レベルの詳細を定める。

在留カードの様式や、各種申請で提出する書類の具体的な内容などは、この施行規則によって定められています。採用担当者が日々の実務で参照するのは、むしろこちらの施行規則に関わる部分が多いと言えるでしょう。

【2025年最新】採用担当者が押さえるべき入管法の改正ポイント

外国人材を取り巻く状況の変化に対応するため、入管法および関連する施行規則は定期的に改正されます。2024年6月に改正法が成立し、今後(2027年までの施行を予定)の外国人採用に大きな影響を与える変更点が決まっています。

現時点(2025年6月)で採用担当者が押さえておくべき、今後の大きな変更点は以下の通りです。

ポイント①:技能実習制度に代わる「育成就労制度」の創設

人材育成と確保を目的とした新しい制度です。原則として3年間の就労を通じて特定技能1号の水準まで人材を育成し、本人の意向に応じたキャリア形成を支援する仕組みが導入されます。

ポイント②:「特定技能制度」の運用見直し

育成就労制度からのスムーズな移行を促進するための見直しや、対象分野の追加などが検討されています。

これらの制度の具体的な運用ルール(施行規則)は、今後順次定められていく見込みです。最新の情報を常に出入国在留管理庁のウェブサイトで確認することが重要です。(参照:外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策 | 出入国在留管理庁

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【採用シーン別】ここだけは押さえる!施行規則に関わる実務ポイント

ここでは、日々の採用業務で特に関わりが深い、具体的な実務ポイントを3つのシーンに分けて解説します。

① 採用決定時:在留カードの確認は絶対条件

外国人を採用する際は、面接時などに必ず在留カードの原本を確認し、就労が可能かどうかを判断する必要があります。これは企業の義務です。

【確認すべき主な項目】

  • 在留資格:「技術・人文知識・国際業務」「特定技能」など、どのような活動が許可されているか。
  • 就労制限の有無:「就労不可」や「指定書により指定された活動のみ可」となっていないか。
  • 在留期間(満了日):有効な期間内であるか。
  • 資格外活動許可欄:「許可」のスタンプがある場合、週28時間以内のアルバイトが可能(留学生など)。

在留カードが偽造されていないかを確認するために、出入国在留管理庁が提供する「在留カード等番号失効情報照会」サイトで、カード番号が有効かどうかも併せて確認することを強く推奨します。(参照:出入国管理庁在留カード等番号失効情報照会

② 入社手続き時:ハローワークへの届出義務

国籍を問わず、従業員の雇入れ・離職の際には雇用保険の手続きが必要ですが、外国人材の場合はそれに加えて「外国人雇用状況の届出」が義務付けられています。この届出は、雇用保険の被保険者であるか否かで様式が異なります。

  • 根拠法規:「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」(通称:労働施策総合推進法)および同法施行規則
  • 届出先:事業所の所在地を管轄するハローワーク
  • 届出期限:雇入れ日および離職日の翌月の末日まで
  • 届出方法:オンラインまたは届出用紙を提出

この届出を怠ると、30万円以下の罰金の対象となる可能性があります。(参照:厚生労働省「外国人雇用状況の届出について」)

③ 退職時:離職の届出も忘れずに

雇入れ時と同様に、外国人従業員が退職した際も、ハローワークへの届出が必要です。手続きは「②入社手続き時」に記載した届出と同じ窓口・期限となりますので、忘れないように社内の業務フローに組み込んでおきましょう。

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まとめ:正しい知識でリスクを回避し、円滑な外国人採用を実現

本記事では、外国人採用における基本の法律である入管法と、実務ルールである入管法施行規則について解説しました。

  • 入管法は外国人材の在留ルールを定めた基本法であり、施行規則は実務の詳細ルールである。
  • 採用担当者は「不法就労助長罪」のリスクを避けるため、在留カードの確認を徹底する義務がある。
  • 入社・退職の際には、ハローワークへの「外国人雇用状況の届出」が必須である。
  • 育成就労制度の創設など、法改正の動向を常に注視する必要がある。

コンプライアンスを遵守することは、企業自身を守るだけでなく、外国人材が安心して能力を発揮できる職場環境の提供にも繋がります。

もし手続きなどで不明な点がある場合は、自己判断せず、外国人在留総合インフォメーションセンター等 | 出入国在留管理庁などの専門機関に相談することをお勧めします。

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