知らないと危険?在留カードと特別永住者証明書の違い【2025年最新版】

外国人材の採用が増加する昨今、採用担当者様が候補者の身分証明書を正確に理解し、適切に対応することは、コンプライアンス遵守の観点から非常に重要です。
特に注意が必要なのが、「在留カード」と「特別永住者証明書」です。
これらは日本に滞在する外国人が所持する主要なカードですが、就労制限の有無など、その法的性質は大きく異なります。
この重要な違いを認識せずに採用活動を行うと、採用可否の判断を誤ったり、意図せず不法就労を助長したりするリスクが伴います。
本記事では、外国人採用に携わるご担当者様に向けて、これら2つの証明書の基本的な違い、採用時に確認すべき具体的なポイント、および注意点について、行政機関の情報に基づき分かりやすく解説します。
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目次 [非表示]
外国人採用で「在留資格の確認」が不可欠な理由
外国人の方を雇用する際には、その方が日本で就労できる在留資格を持っているか、また、その在留資格で認められている範囲内の活動であるかを確認することが法律で義務付けられています。
【知らなかったでは済まされない!不法就労助長のリスクとは】
万が一、就労が認められていない外国人を雇用したり、許可された範囲を超えて働かせたりした場合、雇用主は「不法就労助長罪」に問われる可能性があります。
これは、たとえ雇用主が不法就労であることを知らなかったとしても、確認を怠った場合には過失ありと見なされることがあるため、十分な注意が必要です。
【スムーズな採用活動とコンプライアンス遵守のために】
採用面接時や入社手続き時に、提示された身分証明書(在留カードや特別永住者証明書)を正確に確認することで、採用可否を適切に判断でき、後のトラブルを未然に防ぐことができます。
これは、企業のコンプライアンス体制を維持する上でも不可欠なプロセスです。
【特にアルバイト・派遣採用で注意すべき点】
アルバイトや派遣社員など、比較的短期間での雇用や人の入れ替わりが多い現場では、採用プロセスが迅速に行われる傾向があります。
しかし、そのような場合であっても、在留資格や就労制限の確認を省略することはできません。
採用担当者は、常に正確な確認手順を徹底する必要があります。
(参照:出入国在留管理庁「不法就労防止にご協力ください。」)
まずは基本を理解!「特別永住者」とは?
「特別永住者」とは、主に1952年のサンフランシスコ平和条約の発効に伴い、
日本国籍を離脱した方々(およびその子孫)のうち、特定の要件を満たし、日本に永住する許可を得ている外国人のことです。
【一般的な「永住者」や他の在留資格との違い】
「特別永住者」は、出入国管理及び難民認定法(入管法)に定められる「永住者」とは異なる、特別な法的地位にあります。
「永住者」を含む他の多くの外国人が持つのは「在留資格」ですが、「特別永住者」は在留資格ではなく、「特別永住許可」という固有の地位に基づき日本に在留しています。
この違いが、所持するカードの種類にも影響します。
(参照:出入国在留管理庁「特別永住者証明書について」)
【ここが重要】「在留カード」と「特別永住者証明書」5つの違い
採用担当者が混同しやすい「在留カード」と「特別永住者証明書」。この2つのカードの主な違いを5つのポイントで整理します。
比較項目 | 在留カード | 特別永住者証明書 |
① 交付対象者 | 中長期在留者(特別永住者を除く) | 特別永住者 |
② カード名称 | 在留カード (RESIDENCE CARD) | 特別永住者証明書 (SPECIAL PERMANENT RESIDENT CERTIFICATE) |
③ 根拠となる法律 | 出入国管理及び難民認定法(入管法) | 日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法(入管特例法) |
④ 就労活動の制限 | あり(在留資格により定められた範囲内のみ) | なし(日本人と同様) |
⑤ 有効期間 | 在留期間満了日まで(永住者は7年) | 証明書の有効期間満了日まで(原則7年ごとの更新) |
【カードの名称と見た目 – 画像で比較解説!】
最も分かりやすい違いは、カード上部に記載されている名称です。必ずどちらの名称が記載されているかを確認してください。
在留カード:

表面

裏面
- 表面に「在留カード」「RESIDENCE CARD」と明記されています。
- 「在留資格」「就労制限の有無」といった項目があります。
(出典:出入国在留管理庁「『在留カード』及び『特別永住者証明書』の見方」)
特別永住者証明書:

表面

裏面
- 表面に「特別永住者証明書」「SPECIAL PERMANENT RESIDENT CERTIFICATE」と明記されています。
- 「在留資格」や「就労制限の有無」の項目はありません。
(出典:出入国在留管理庁「『在留カード』及び『特別永住者証明書』の見方」)
【就労活動の制限 – 採用で最も重要なポイント!】
採用担当者にとって最も重要な違いは、就労活動に関する制限の有無です。
- 在留カードを持つ方は、カードに記載された「在留資格」によって就労できる活動の範囲が定められています。
「就労制限の有無」欄も確認が必要です。「就労不可」や「指定書により指定された就労活動のみ可」などの記載がある場合は、原則としてその範囲外の就労はできません(資格外活動許可を得ている場合を除く)。 - 特別永住者証明書を持つ方は、就労活動に法的な制限がありません。したがって、日本人と同様に、どのような職種にも就くことができます。
カード上にも「就労制限の有無」という項目自体が存在しません。
採用担当者が行うべき「特別永住者証明書」の確認ステップ
特別永住者の方を採用する際、特別永住者証明書の確認は以下のステップで行ってください。
必ず原本を確認するようにしてください。
(※以下のステップは、出入国在留管理庁「『在留カード』及び『特別永住者証明書』の見方」に基づく)
Step1:カード名称の確認
- カード表面上部の名称が「特別永住者証明書」であることを確認します。
Step2:基本情報の確認
- 顔写真と本人が一致するか確認します。
- 氏名、生年月日、性別、国籍・地域が、応募書類等と一致するか確認します。
Step3:有効期間の確認
- カード表面の「有効期間の満了日」を確認し、期限が切れていないかを確認します。
期限切れの場合は、更新手続き中であるかなどを確認し、有効な証明書の提示を求めてください。
Step4:住居地の確認
- 表面の「住居地」欄を確認します。引越しなどで変更があった場合は、裏面の「住居地記載欄」に新しい住所が記載されていますので、そちらも確認します。
Step5:就労制限がないことの再確認
- 「就労制限の有無」の欄がないことをもって、就労活動に制限がないと判断します。
【重要】偽造・変造カードに注意!チェックすべき共通ポイント
近年、偽造された在留カードや特別永住者証明書が出回るケースが報告されています。以下の点にも注意して確認してください(在留カードと共通の確認ポイントです)。
- ホログラム: カード表面左下のホログラム(文字やマークが角度によって変化)を確認します。
- 透かし文字: カード裏面右上に「MOJ」の透かし文字があるか確認します(光に透かすと見えます)。
- 不自然な点: 印字のかすれやズレ、フォントの不統一、不自然な厚みなどがないか確認します。
不審な点がある場合は、安易に採用せず、出入国在留管理庁に相談することも検討してください。
アルバイト・派遣、ブルーカラー(飲食・建設等)採用での注意点
- 職種・労働時間の制限なし: 特別永住者の方は、飲食店のホール・キッチン、建設現場作業、工場勤務、配送業務など、ブルーカラー職種を含め、あらゆる職種で、労働時間の制限なく就労できます。
- 短期・単発でも確認は必須: たとえ1日だけの短期アルバイトであっても、特別永住者証明書の確認は必ず行ってください。
- 他の在留資格との混同に注意: 同じ職場で働く外国人スタッフの中には、「特定技能」「技能実習」「留学(資格外活動許可)」など、就労に制限のある在留資格の方もいる可能性があります。それぞれの在留資格に応じた適切な確認が必要です。特別永住者だからといって、他の外国人の方の確認を省略しないようにしてください。
(※各在留資格の情報については出入国在留管理庁ウェブサイト参照)
これで安心!「特別永住者証明書」に関するQ&A – よくある疑問を解消!
Q: 特別永住者の方は「在留カード」も持っているのですか?
A: いいえ、持っていません。「特別永住者証明書」が、特別永住者の方にとって在留カードに代わる公的な身分証明書となります。(参照:出入国在留管理庁「特別永住者証明書について」)
Q: カードのデザインが古く見えるのですが、大丈夫ですか?
A: 2012年の法改正以前は、紙の「外国人登録証明書」が特別永住者証明書の代わりとされていました。一定期間はそれが有効とみなされていましたが、現在は原則としてカード型の「特別永住者証明書」へ切り替わっています。提示されたカードが有効期間内であるかを必ず確認してください。古い形式の証明書が提示された場合は、市区町村での切り替え手続きについて本人に確認するか、出入国在留管理庁に問い合わせることを推奨します。(参照:出入国在留管理庁「特別永住者の制度が変わります!」)
Q: 有効期間がもうすぐ切れそうなのですが、採用できますか?
A: 提示された証明書の有効期間内であれば、法的には問題ありません。ただし、採用後に有効期間が切れることが分かっている場合は、本人に更新手続きを行うよう促し、更新後に新しい証明書を再度提示してもらうように管理することが望ましいでしょう。
Q: 採用手続きで、他にどんな書類を確認すべきですか?
A: 特別永住者証明書の確認に加え、マイナンバーの確認(必要な場合)、雇用契約書の締結など、日本人を採用する場合と同様の一般的な採用手続きを行ってください。
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まとめ:正しい知識で特別永住者の採用をスムーズに!
「在留カード」と「特別永住者証明書」は、見た目が似ている部分もありますが、その法的根拠や意味合い、特に「就労制限の有無」において大きな違いがあります。
- 特別永住者証明書を持つ方は、就労活動に制限がない
- 採用時には必ず原本を確認し、有効期間をチェックする
- 不法就労助長のリスクを避けるため、正確な確認を徹底する
これらのポイントを押さえ、適切な確認プロセスを社内で確立することで、コンプライアンスを遵守し、スムーズな外国人採用活動を進めることができます。
やはり、外国人採用となると複雑に感じられる部分もあることでしょう。そうした実務上の疑問や必要なサポートについても、Guidable Jobsがお力になれるかもしれません。
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